2007年09月05日

Let's Go陰陽師(’S)。3 『太極の章』。




「いやあ、一時はどうなることかと思いましたなあ」
「まったくですなあ」


 とゆーわけで。我々は温泉に入っていた。

 前鬼不動滝そばにある、小さな温泉である。本当は木の湯桶を析出物で覆ってしまうくらい濃い湯質で知られる「入之波温泉元湯 山鳩湯」に行きたかったのだが、「一刻も早く風呂に入りたい! ヒルが! ひるがヒルが蛭がー!!」という思いは止めがたく、とりあえず見つけた温泉へとなだれ込んだ次第なのである。うむ、M先輩好判断。

 しかし、ここはここで良かった! 大浴槽と小さな露天の二つしかない小さな温泉なのだが、ぬるりとした湯質といい、非常に気持ちよかった。しかも。

「うおお!? 今時ネオジオの筐体がー!?」
「しかも入ってるの超名作、サムライ・スピリッツの初代とかだー!」
「ひゃ、100メガショーック!!」


 皆 様 大 興 奮 。


 友人MもM先輩も、スト2から始まったあの格ゲー黄金期に、膨大な金額をゲーセンに捧げた人間である。Bさんもそうだったらしい。さっそくかじりつき、ゲームを始める面々。一方グラディウスの1面もクリアできない脅威の反射神経を持った俺は、隣でぐうぐう寝るのであった。


 ちなみに1時間後。

「いや、違うんだよ! 久しぶりにやると操作システム忘れててさあ! 本当ならクリアできたんだよ! でもさあ!」

 と、言い訳するM先輩を、「どうでもいいのになあ」と思いながら車に乗り込んだ。でもナコルルは好きだ。←もっとどうでもいい


 その後にも色々あった。眠気覚ましに流そうとしたiPodが壊れてたり、ご飯を食べようと入ったお店が、ど真ん中にばかデカい生け簀があるファミレス風宴会専門店だったり。でも寿司はめちゃめちゃ旨かった。

 色々大騒ぎしたあげく、大阪駅で解散。

「今日は、ホンマお疲れ様でしたー! ひどい目に遭わせてスイマセンねえ」
「え? いや、めっちゃオモロかったよ! また行こうぜ!!」


・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。

 くそ。


 旅行が好きだ。おでかけが好きだ。

 可愛い女の子と行くのは大好きだ。パートのおばちゃん達と行くのも楽しい。会社の同僚と行くことだってある。

 でも、でもね。出かけて一番楽しい奴らは決まってるんだ。その条件は、たった一つ。すごくシンプルな、たった一つのこと。


道に迷った時、爆笑(わら)ってくれる奴ら。


 それが、俺にとっての、たった一つの冴えたやり方。お前ら最高だよまったく!

 俺は手を振り、皆に別れを告げた。身体は筋肉痛でギシギシと痛み、左足からの血はまだ乾ききっていなかったけど、俺の心は不思議と安らかだった。

 いつしか、心地良い眠りが俺を包んでいた。夢うつつの中、俺は考えていた。さあ、次はどこに行こう? 無限の荒野が俺たちを待ってるぜイエー。最近本当に人が行かない荒野みたいなトコばっか行ってるぜイエー!


 心に太陽。口元には微笑。カタン、コトンと柔らかな音を立てて、列車は俺を運んでいった。

 なお、見事に駅を乗り過ごし、その笑顔が半泣きになるのは、それから1時間後のことである。


(完)  


2007年08月29日

Let's Go陰陽師(’S)。2 『陰の章』。


 あ、どうも。Yシャツの胸ポケットの裏がすり切れて、貫通したものです。(実話)

 気に入ったケータイホルダーを捜して東奔西走幾星霜。今だ見つからないってんで、ケータイいつも胸ポケットに入れてんですけど、どーもそれと俺のマッスルボディの摩擦に耐えかねて、穴が空いたらしい。しかしまさか、ポケット縫いつけてる糸んとこじゃなくて、裏布に穴が空こうとはなー。前から見たら、何も起きてないようにしか見えないのよ!

 面白いので「ほうら胸ポケットに入れたケータイが、シャツの中から出てくるよ〜。It'sマジーック! イリュージョーン!!」ってやってたら、「お前が消えろ」と言われました。世知辛い世の中ですね。

 消えると言えば、今日せっかくの月食だったのに、曇ってなんも見えませんでしたね。こんな条件いいのってそんなにないらしいのに、なんてこったい! まったくイケズな奴だぜ月は! 「月は無慈悲な夜の女王」ってこのことだね!――って違いますかそうですか。



昨日の続き。


 なんでこんな事になったんだろう?

 俺は呆然と考えた。服と荷物はずぶぬれになり、くるぶしは血で染まっていた。ぬかるみに足が取られる。荷物が肩に食い込む。目に、雨が入る。重い。息が出来ない。足がガクガクと痙攣した。道はまだまだ続く。終わりは見えない。足下でなにかが跳ねた。

 ああ、ああ。俺は酸素を求めてあえぎながら、狂ったように足を振り回した。


 ――奴らが来る。




 川を渡ろう。そう、言いだしたのは誰だったか、今となっては思い出せない。数年前の台風で橋が落ち、道は荒れてはいるものの、対岸には滝見台へと続く道があるという。雑誌には、それほど険しい道ではない、と書かれていた。せっかくここまで来たんだ。一目拝んで帰ろうじゃないか。ともかく、そういう結論になったのだ。

 そしてそれが、僕たちをあの恐るべき惨劇へと導くことになるのだが、神ならぬ身。その時の我々には、そんなこと知るよしもなかったのだ。

 靴を脱ぎ、俺たちは川に足を踏み入れた。ざぷりと踏み込んだ澄み切った水に、赤いものが混じる。血だ。さっき、蛭に噛まれた傷口から、血が止まらないのだ。蛭は噛みつくに当たって、血液の凝固を阻止し、麻酔効果のある物質を注入するという。その効果は数時間続き、その主がいなくなってもなお、愚直にその役目を果たし続けていた。靴下はもう、鮮血に染まっていた。


「うお! いてててて!!!」
「うひゃー! あぶねー!!」


 歓声を上げながら、太股までの深さのある川を、俺たちはなんとか渡りきった。ふう、と息をつき、対岸から見えない場所に、荷物を隠す。その時、青い空に遠雷が響いた。


 ゴロゴロゴロ・・・。


 山の端を、黒い雲が浸し始めた。山の天気は変わりやすい。俺たちは道を急いだ。河川敷沿いに作られた遊歩道はあるいは崩れ、あるいは手すりが腐りで惨憺たる有様だった。おかしい。読んだ本では、ここまでの荒れ模様ではなかったが・・・。

 歩を進める。遊歩道は、もうすでに道の体をなしていなかった。仕方ない。河川敷を歩こう。誰かがそう言い、俺たちは道なき道へと歩を進めた。

 黒雲はもう、空の半分を覆っていた。自然に足が速まる。苔むした岩を昇り、割れ目を飛び越え、そして。

「見えた!」

 そう叫ぶ声がした。遠くから、ドドドドと、下っ腹に響く重低音が聞こえる。遠目に、見事な滝が見えた。

「もっと、近くに寄れる場所があるはずなんだけど・・・」

 そう問うた俺に、M先輩が頭上を指さした。途中でもげた、階段。見てくる。そう言って身軽に駆け上ったM先輩は、ややあって大きく手を振った。ダメだ。崩れてる。ここで、戻ろう。


 こらえかねたように、大きな水滴が落ちてきたのは、その時だった。


 程なく、雨は本降りになった。雲は厚く、いつやむかは見当もつかない。俺たちは歩を早めた。苔で、靴が滑る。行きはなんとか登れた岩も、下りとなるや恐怖だった。渇いていた時はガッシリと受け止めてくれた足場も、一転ふんばりのきかない危険な場所へと変わっていた。

 前を歩いていた誰かが、ビクッと体を震わす。人影。こんな山奥に? メシを食っていた2時間、人っ子一人通らなかったこんなところに?

 20代後半くらいの、男女だった。そぼ降る雨の中に、カッパを着て、たたずんでいた。こんにちは、聞こえるか聞こえないかくらいの大きさで呟きながら、急ぎ足で俺たちはその横を通り過ぎた。目は合わさなかった。・・・合わせられなかった。

 道を急ぐ。泥が跳ねる。ぬかるみに、身体が揺れる。もう少し、後少し。崩れていた道。ここを下れば、もうすぐだ。M先輩が、先導として先に降りた。大丈夫。この先の道はどうかな。見てくる。そんな言葉を残し、その姿が消えた瞬間。Bさんが、あ、と声を漏らした。続いて降りようと伸ばした足。その足下から。


 岩が、落ちた。


 一抱えもある、大きな岩だった。雨に濡れた地盤が、俺たちの重みに耐えかねたのだろう。岩は相当な勢いを持って、地面にぶち当たった。そこは、さっきまで、M先輩がこっちを見上げていた場所だった。そこで俺たちが降りるのを待っていたなら、きっと直撃していたことだろう。

 ぶるっと、寒気が走った。それは、身体中を濡らした、雨のせいばかりではなかった。


 足下を選び、慎重に下る。一歩一歩、確かめるように。地盤は思ったより緩かった。なんとか無事降りきり、隠していた荷物をひっつかむ。荷物もぐっしょりと、雨に濡れていた。中からタオルを取りだし、首に巻く。すえた、イヤな匂いがした。


 雨はまだ続いていた。早く渡ろう、とM先輩が言った。このまま雨が続けば、水量が増える。水の勢いが少し増しただけでも、人間なんて簡単に攫われてしまうんだ。だから。

 俺は荷物を担ぎ、靴下だけを脱いだ。ハダシで川を渡る大変さは、行きで身に沁みていた。この雨の中、荷物を持ってハダシで渡る自信はない。服同様、ずぶぬれになった靴下をしぼった。ドボドボと、びっくりするほど多量の赤黒い液体が、握り拳からこぼれて落ちた。

 おそるおそる、川へと足を踏み出す。心なしか水量が増しているかに見えた。うああ、と後ろで声が聞こえる。Bさんが石に足を取られ、転びそうになっていた。慌てて駆けよる。靴のおかげで、だいぶ楽に歩ける。ぐじゅぐじゅと、感触は気持ち悪いけれど。

 だいじょうぶ、とBさんは言った。バランス崩れるから、逆にそっとしといてくれないかな?

 手を引いた向こうで、M先輩の後を追って、友人Mが岸へたどり着くのが見えた。続いて、俺が。そして、Bさんが。雨はまだ止まない。

 もう少し上流の浅瀬を渡って、さっきのカップルがこっちにくるのが見えた。くそ。と友人Mが言った。また、蛭が食いついていた。ちょうど通りすがったカップルが「蛭ですか?」と言って、自分の足を見た。良かった。幽霊じゃなかったらしい。

 ええ。友人Mはそう言うと、蛭をタオルではじき飛ばし、岩に叩きつけた。靴底で思いっきり蹴りつける。ぷちゃ、と音を立てて蛭が潰れ、岩に真っ赤な花が咲いた。

 息を乱しながらも俺たちは荷物を抱え直し、立ち上がった。来る時に下った、300m近い山道。急峻で、しかも来た時よりも地面はぬかるんでいる。

 ぜいぜい、と息を切らして俺は登る。ランタンにホワイトガソリン。ガイドブック。調理道具。ゴミ。諸々を詰め込んだ10kgを越えるスポーツバッグが、俺の肩に食い込んだ。なんて重さだ。俺は悪態を付いた。くそ、これを放り捨てていいなら、万札だって払うぜ!

 身体中がギシギシと鳴った。ぐっしょりと濡れたTシャツが、肌にまとわりついて離れない。息はぜえぜえから、ひゅーひゅーといったかすれ声に変わった。目に、汗と水滴が入る。じくじくと鈍痛が響き、たまらず俺は右目を閉じた。足がガクガクする。太股が吊る。素足に履いた靴が、ぐじゅぐじゅとイヤな音を立てた。中敷きが、生ぬるくなった水でぬるぬると滑る。その度に少し伸ばした足の人差し指の爪が靴の先端に引っかかり、俺は爪が剥がれる恐怖に襲われた。

 それは多分、時間にすれば20分足らずの行程に過ぎなかったろう。だが俺には、永劫にも思える時間だった。


 ようやく山道を登り終え、車が見えた時、俺は大きな安堵のため息を漏らした。良かった。なんとか戻って来れた。急いで、車へと駆けよる。濡れた体を拭くのもそこそこに、荷物をトランクへと放り込み、どっかりと後部座席へと身を投げ出した。息が荒い。体は熱いが、どこか芯の方が冷え切っていた。太股が、足が痙攣する。肩には、痣が出来ていた。ぜぇ。ぜぇ。ぜぇ。空気を。空気を。空気を。

 その時、前の座席から悲鳴が聞こえた。

「うわっ!? 足に蛭が!!」

 そうか。と俺は思った。雨の最中、山道を歩いてきたんだ。そりゃ蛭の格好の餌食だろう。行きの、晴れた、しかも靴下はいた足にまで奴らは食いついてきたんだから。

 そこで、俺はふとあることに気づいた。あれ? 俺、川渡った後、靴下履かなかったんじゃなかったっけ?

 ぞわり、と背中を寒気が走り抜けた。まさか。まさか、な。

 カーキの、カーゴパンツ。その左半分は血にまみれ、赤黒く染まっていた。ちろ、と俺はそれをずりあげた。人差し指の第一関節くらいの、赤黒いものが見えた気がした。

 まさか。まさかだよな。自分を勇気づけるかのように、俺は自分に向かってそう呟くと、一気にスソをまくり上げ、そして息を呑んだ。


 そ ・ こ ・ に ・ は 。














(続く)  


2007年08月28日

Let's Go陰陽師(’S)。1 『陽の章』。

「しかし、指輪を打ち砕くというなら、力はまるきし役に立たん。(中略)
たった一つ方法がある。火の山、オロドルインの火口の底の滅びの罅裂を見つけだし、その中に指輪を投げ込むのじゃ。その指輪をこの世からなくし、永遠にわしらの敵の手の届かぬ所に置きたいと、しんからあんたが願っているのならば。」
(『指輪物語 旅の仲間 上』J.R.Rトールキン著、瀬田貞二・田中明子訳より)


 弘法筆を選ばすというが、それは嘘だ。名手ほど、道具にはこだわりを持つ。イチローにせよウッズにせよ、ミズノやナイキの最高の職人がマンツーマンで専門につき、彼らにあった最高の道具をカスタマイズしている。世界最高と謳われるソリストは、家を売ってでもストラディヴァリウスを手に入れようとする。

 それは古来から同じ。そして、その選ばれた英雄のもとには、選ばれた伝説の武具が訪れると決まっている。ヤマトタケルには草薙剣が。源頼光には童子切安綱が。クー・フーリンにはゲイボルグが。勇者の手にはロトの剣が。

うむ、最後のはちょっと違う。

 そして、物には「収まるべき場所」がある。いわくの武具は収めらるるべき場所に収められ、ようやく伝説を完成させるのだ。湖の妖精の元に戻ったエクスカリバーのように。

 俺は、目の前にあるブツをじっと見た。イカしたクマの絵が描かれたカップラーメン。そう! 以前『日清カップラーメン発明記念館』に行った時作ったカップメンである!!



 このぷりちーな絵が描かれたカップメン。しかし、賞味期限がもうすぐだ。俺は思った。旅立たねばならない。このカップメンにふさわしい場所で、このカップメンは喰らわれねばならない・・・!!!


 そして、我々は奈良の山奥へと向かった!!!(なぜ) メンバーは俺とM先輩、友人Mに、M先輩の友人であるBさんである。


「いやあいい天気ですな!」
「まったくまったく」
「しかし、女の子来るなら『ぐりとぐらのあのケーキ』作るとかにしても良かったかもしれんなー」
「なんじゃそりゃー!?」
「いや、ダチョウの卵でね・・・」

 相変わらず、そんな話をしながら俺たちは車中の人になった。向かうは前鬼不動滝。奈良の中でも超山奥であり、道路ができるまで訪れる人もまれだったというかつての修験道の聖地である。この地名の「前鬼」も、このあたりの人々はかの安部清明が使役した式神「前鬼」の子孫であるという伝承から名づけられたのだという。

 3時間近い行程を経て、俺たちは前鬼へとたどり着いた。車を停めて、荷物を担ぎ、さあ行くぜ!

「思ったより降りるの大変だねー」
「急な道、だいぶあるね」

 思ったより急峻な道をえいえいと降りていく。かついだ荷物が肩へと食い込む。右に左に折れ曲がる道を、100mほども下ったろうか。そして。

「おおー!!」

 開いた景色に、俺たちは歓声を上げた。緑したたる、という表現が相応しい山間に、澄み渡った清流が流れていた。

「お、これこれ」
「おお! 確かに橋が見事に壊れとる! 台風!?」
「そうそう。自然は偉大ですなー」
「ですなー」
「――って足に蛭がーッ!? 蛭がー!?」
「うわああああ、俺の足にもー!!!」



などという会話を挟みつつ、昼飯を食う場所を探す。河原で適当に、とか思ってたら、どでかい岩を発見。これがまた、あつらえたみてえにピッタリなんだ! 中央部がうまくヘコんでて、しかも平ら。バーナーが設置しやすく、しかも火ぃ焚いても風よけになってくれると来たもんだ。ありがとう自然!!

 火を焚き、お湯を沸かす。もっと早く沸くかと思ったが、火力が足りないのか、思ったより付くのが遅い。

 待ってる間、川の渡りやすい場所を探してくると、M先輩が川へざぷざぷ歩いていった。それをBさんが横で見ている。

「どうですかー! いい場所ありますかー!!」
「んー! 思ったより深いぞー!!」

 せせらぎの音にかき消されるのか、二人は大声で叫び合っていた。うひょー、冷めて!と言いつつM先輩がざぱざぱ歩く小川の水は、遠くから見てもバカみたいに澄んでいた。

 空には、雲一つ無い。湯の沸くのを待ちくたびれた友人Mが、スモークチーズをあてに、冷えたビールをぷしゅりと空けた。やがて、湯が沸いた。おのおの、自分が用意したカップメンに湯を入れて、3分間。三々五々に食い始める。旨かった。俺は汁まで飲み干して、ごちそうさま、と手を合わせた。それが、クマとの別れだった。



 M先輩が、岩の上に転がる。ちょっと失礼するぜ、と言って、程なく寝息を立て始めた。Bさんはその横で、せせらぎと川を渡る風に耳傾けているように見えた。俺はあまったお湯をドリップバッグのコーヒーにそそぎ、道の駅で買った水饅頭をほおばった。友人Mは、2本目のビールを空けている。

 遠くで、蝉の鳴く声が聞こえる。川面はキラキラと輝き、緑を映して飽かず流れていく。俺は、もう一度空を仰ぐと、コーヒーのお代わりをした。

(続く)