2008年07月01日
The Road to SANUKI。
うどんー♪ それはー♪ 君が見た光ー♪ 僕がー見たー希望ー♪ うどんー♪ それはふれあいの心ー♪ 幸せの白い麺ー♪ ←「青雲」の節で
とゆーわけで。
讃岐まで、うどん食いに行ってきた! これでもう20回近くになるのではなかろーか。「バカじゃないの?」と思ったそこの君。本人もうすうす気づいてんだからそっとしといてやれ。
今回の同行者は、俺の愛してやまない某お総菜居酒屋のオーナーと店長のCちゃん、ご友人のHさんとKさんの計5名である。
思えば、最初に「つれてって下さいよ!」と言われたのが、2年ほど前であった。「いつでもOKッスよー!」と快諾したものの、おたがい多忙な社怪人。休みがなかなか合わず、この度ようやく実現した企画なのである。
気合い入れていくぜ!
・・・・・・と言ってもまあ、今回参加者ほぼ30越えのロートル軍団である。そんなに食えない。しかも初めての人間ばかりとあって、行く店も定番ばかりをチョイスした。ちなみに写真がないのは、ケータイを忘れていったからである。会社から電話入ってんじゃねえかと、旅行中、気が気じゃなかったよ。入ってたよ。次の日怒られたよ。気にしてないけど。(しろよ)
「Hさん、先週も讃岐うどん食べにいったんよね?」
「うん、行く気なかったんやけどなー。突然四国で仕事が入って、誘われて」
「へえ! 四国で仕事ってどんな?」
「ん? いやちょっと頼まれてフェラーリのエンジン直しに」
「何者だアンター!?」
そこから始まったHさんの爆笑トークで車内がどっかんどっかん沸き立っているうちに、車はいつしか四国へ入っていた。出発は朝6時。高速をかっ飛ばし、着いたのは9時だった。
走らせながら、脳内で経路をシミュレートする。一軒目は、ジャブである。どこに行くかなー。ハイトーン・ボイスと記念写真で有名な赤坂製麺所や「るみ子お婆ちゃんの店」として人気の池上製麺所など、おばちゃんが面白くて交流が楽しめる店か、池内などのシチュエーションが面白い店か。
よし、と俺は思った。ここは池内で行こう。あそこなら山越にも近いし、便利だろう。テンション高い一行とはいえ、朝一番はノンビリはじめたいではないか。おばちゃん元気系は、朝からフルターボなのだ。
さあ、着いた! ものっそい狭い隙間をくぐり抜け、鯉を見ながらうどんが食える「池内」のシチュエーションに驚愕するがいい!――と思って行ったんですが。
定 休 日 で し た 。
しまった、肝心なもんのチェック漏れてたー!?
結局一軒目から「山越」へ。釜玉食わして喜ばせた後、続いて「なかむら」「やまうち」へ行くことになった。もういまさら解説するまでもない、べったべたなラインナップです。
山越は一番人気の有名店だけに、いつも3~4軒目くらいにいくんだけど、この「一番最初に行く」というの、思ったより良かった。空いてるし、「釜玉」って普通のうどんより味が強いというか、「重い」んですよね。あとで食ってたのは、けっこうしんどかったのかもしれない、とその時思い当たった。
2軒目の「なかむら」も、9時半とあれば、さすがに行列もまだできてない。車もあっさり止められたし、すぐ食えた。あいかわらずの軟体麺は旨かったが、ここでこんなにノンビリできたのははじめてだ。次回からも順番こうしようかな。
やまうちは場所も大きいし、営業時間も長く、また車でしか来れないこともあってそんなに混みまくってるイメージはないが、それでもやはりゆったりモードだった。しかし、ここの天ぷらうめえ! レンコンのテンプラのっけて食ったんだけど、衣に味が付けてあるのかな? それがちょっと濃いめの炒り子だしに浸かったときのこのハーモニーよ! どっしりした腰のムチムチ麺をがじがじやって、時々天ぷらかじって。
たまんねえええええ!!!! 一度ここであつあつのうどん(大)頼んで、ゲソ天や芋、レンコンなど、好きな天ぷら全部のっけて腹一杯食ってみたい。それが俺の夢だぜ。いつもうどん巡りの時しか来ないから、見果てぬ夢だけど。
ただうれしくはあったが、やはりこの空きッぷりは誤算だった。全然並ぶ必要が無く、この超人気店3店を、1時間かからず回れちゃったのだ。まだ11時だよ! 中野うどん学校1時半からしか予約してねえよ!
早くも「おなかいっぱい」とほざきだした一行に小休息を与えるべく、「へんこつ屋」へ。ここは奥の座敷一面に、びっしり習字の紙が貼られていることで有名なお店なのだ。まさに耳なし法一状態。江戸時代からの老舗なのだが、観光客が書いた習字の紙を、お茶セットに付いてくる楊枝ではっつけて帰ってくるのが名物なのだ。
「20円。」「実はそばも好き」など、思い思いの文字を書き、抹茶セットのおまんじゅうと羊羹を食ったら、すでに旅行終了モード。「いやあ、良かった。もう帰りましょうか!」と言い出す奴らである。来る前の「7杯は行けますよ!」の言葉はどこに行ったきさまら。
本気で腹一杯くさいので、相談の結果、腹ごなしに丸亀城に昇ることに決定。急峻な坂道を昇り、なんとか踏破。絶景である。江戸時代のものがそのまま残るという天守閣から街を見下ろし、しばし心地良い風に身をさらす一行。
さあいい時間になってきましたよ! 旅の続きへLet's Go! 「昼寝がしたい」「疲れた」「もう帰ろう」。そんな心の声をただよわせる奴らを尻目に、俺はほくそ笑んだ。そんなだらけた状態なのも今だけだ! 思い知るがいい!
並み居る駐車場案内のオヤジをなぎ倒し、金比羅さんの門前へと車を着ける。いつの間にか増設されてた巨大な駐車場へ車を止め、俺は奴らをお土産屋である中野屋へ――いや、その中の「中野うどん学校」へと放り込んだ。
そして、1時間。ぐー。←自分は参加せずに近所で仮眠中
「うおおおー!!!」
「これはいい経験させていただきました!!」
「そこの滋賀グループ完璧って褒められましたよ!」
「H、名前が"神場笛彰"(ジンバブエ・アキラ)って誰やねん!?」
「いやあ、なんとなく」
「それ見て先生"高貴な名前ですねー"って言ってたやん!」
「いやあ、まわりを考えてだいぶセーブしてたよ俺たち!」
テ ン シ ョ ン ダ ダ 上 が り 。
ううむ、お祭り大好きメンバーだし、盛り上がるとは思ってたが、ここまでとは。見学に行かなかったのは、ちょっともったいなかったかもしれん。
昼寝をし、元気を取り戻した俺は、テンション上がる一行とともにうどんめぐり最終章へと旅だった! さあ後半は一般店巡りだ!
(キキキーッ)「長田in香の香-! 絶品のだしを思い知るがいい!」
「うは、旨い! これは確かに飲める!」
「釜揚げ美味しいねえ! 麺のフレッシュさがたまりません!」
「すごいねこれ! あ、だし買えるんだ」
「ええ。あ、さっきうどん学校で作った麺をゆでてこれで食ったら、絶品釜揚げ家で食えますよー♪」
「おお! 確かに!! お土産のだし下さい! 一升!」
「一升ー!?」
しかも、帰宅まで5時間つーたら、水入れて凍らしたペットボトル付けてくれた。なんて親切なんだ!!!
さて、ここでまた一服。
「飯山に、シーズンの一ヶ月くらいしか売ってない、めちゃめちゃ旨い桃のアイスとシャーベットがあるらしいんですよねえ。お土産に欲しいんで、よってもいいですか?」
「いいじゃないですか! 買いに行きましょう!」
「ありがとう! JAの直売所4時までらしいんですよねえ。間に合うかなあ――ってギリギリだ! 3時57分!」
「おお! ここですね! ええと道の駅滝宮?」
「・・・・・・」
「MADさん?」
「間違えた。ここ、最後による予定だったうどんアイスのあるとこだー!?」
「えええー!?」
「くそう! この怒りをどうすればいいんだ! 口惜しいからみんなうどんアイス食ってくれ!」
「桃アイスとうどんアイスじゃえらい違いだー!?」
「うわ、うどんアイス、中からいりこが顔出してるよ!? あとうどんの切れ端が中に!?」
「ふふふ、オーナーもぜひどうぞ」
「分かりました! おばちゃんよもぎ餅アイス一つー♪」
「えええええ!? 見損ないましたよオーナー!? 男として生き様を疑います!」
「アイス一つでそこまで!?」
そしてオーラス。我々は“醤油うどん発祥の地”小縣屋に突入した。
「ひそかに俺が一番好きな麺がここのです! さあ醤油うどんの衝撃にひたるがいい! あ、到着まではこの大根おろしてて下さいね。自分で擦るのが小縣屋流」
「あいさ」(ガガガガガッ)
「は、早エエ!? さすがプロの料理人と競輪選手!? 技術とパワーが違う!?」
「うほ、うまい! 大根おろしとすだちがたまらんねー!」
「さっぱりしてて、締めに最適やね!」
「でしょでしょ! しかも大根で消化良くなるから、家に帰る頃にゃまたお腹減って讃岐うどん食いたくなッてんですよねー。で、また来たくなると。そーゆー罠です」
「罠なの!?」
以上、食いも食ったり5杯。いつもに比べるとやや少なめだが、満足していただいたようでした。いやあ、良かった。
今回のポイントは、ネットで知り合ったやぐさんに教えていただいた「中野屋でうどんお土産にできる」って情報。これがでかかった! めちゃめちゃ役に立ちました! あれがなければ、午後からの2軒、絶対回れなかったよなあ。感謝感激。
中野うどん学校は盛り上げ上手の講師が多いし、体験系は思い出作りに最適なので毎回入れてたんだけど、実食がその後にあるってのがネックだったんだよな。あれが一番旨かったって言うヤツも多いほど美味しいんだけど、量が結構あってねえ。持って帰れるならその分よそで食えるし、時間も短縮できるし、お土産にもなるしで一石三鳥! 素晴らしい! 知らなかったよ!
も う 7 回 も 卒 業 し て た の に 。
行き過ぎだ俺。
いや楽しかった。あまりに楽しかったので、次回また別企画があるかもですよ! まかせとかんかーい!
ところで、それはいいんですが、帰ってきてガソリン満タンにしようとしてビックリですよ。リッター168円で、明日から10円アップー!? えええええ!?
1 リ ッ ト ル で う ど ん が 食 え る 。
ガソリンがなければうどんを食えばいいのに、と思った。
2007年09月06日
『愛媛トンカツ紀行 第四篇』。

「愛媛トンカツ紀行 〜東奔西走右往左往。トンカツ食ってウマかった〜 第四篇」
清まるへの2度目のチャレンジはあっさり成功した。車を店舗裏手の駐車場へ停め、俺たちは店へとはいった。
メシは昼に食っただけ。時間はもう17時を過ぎていた。この腹具合では、トンカツパフェだけじゃ物足りない。そこで、定食も一緒に頼むことにした。なんだか間違ってる気もするが、きっと気のせいだな。
さて、よーやく今回の旅行のメインイベント、「トンカツパフェ」の登場である! トンカツパフェとはなにを隠そう、トンカツのパフェのことである! そりゃそうだ!
その出現に、俺たちは息を呑んだ。抹茶アイス、リンゴ等が盛られたパフェに、10枚以上のトンカツが突き刺さる。なんてシュールな光景だ。わざわざ一度揚げたてのカツを常温で冷ましてから盛りつけるため、出てくるまで30分近くかかるというこだわりの品。このトンカツを指で鷲づかみにし、アイスとリンゴを乗せて食うのがこのパフェの食べ方だ。当然指が汚れるので、指を洗うためのフィンガーボールが着いてくるのだが、時々このフィンガーボールの水を飲むというバカが出現するのが侮れない。
「道理でただの水だなあと思ったんです」(MADさん談)
それはいいのだが。
「うーん、・・・びみょ〜」
楽しみにしてきた、今回のメインイベント「トンカツパフェ」。そのお味は微妙であった。マズくはない。しかし二度食おうとは思わない。それなりのお味でありました。無念。
しかし。
「この定食めちゃめちゃ美味いな!」
そう、しかしここのトンカツ定食はどれも絶品揃いであったのだ! 福井でソースカツ丼食った時も思ったが、旨いトンカツってのは油が後に引かない。胸焼けもしないし後口も残らない。
ここの女将は研究熱心で肉にもこだわり、油にもこだわっているので有名だ。トンカツパフェやトンカツケーキなどのお遊びメニューやブログにも、その熱心さと過剰なまでのサービス精神はあふれている。そんな店のメニューが美味くないわけがないわな。
「これは・・・しかし」
「うむ。遅れてきて大正解でしたな!」
昼にあのまま食ってたら、この定食は食わないままだったろう。であれば、俺たちはメインイベントで不満を抱えたまま帰ることになったってわけで。
「やっぱ俺たちってツイてるぜ!」
「昼間のライダー達センキュー!」
ど こ ま で 幸 せ な 奴 ら な ん だ 。
その後、道後温泉に入り、街で開催されていた夏祭りに猛烈に心引かれながら帰還。瀬戸大橋を渡って一路神戸を目指す――はずだった。
ところが。橋を渡り、あとは山陽道目指して突っ走るのみ!となったところで、我々は電光掲示板に衝撃の一文を発見したのである。
「事故にて神戸〜姫路間は一部通行止めになっております」
なんたるちゃー!!
どこが通行止めなのか。どこまでなら行けるのか。高速の集金所のおっちゃんに聞いても分からない。交通ラジオの周波数も知らない。困ってしまってワンワンワワンなわが輩達である。さあ、どうする。
ここで、我々は決断した。大回りになるが中国道を走って帰ろう、と!
「ぶわははは! ちゅ、中国道て! 俺、明日の岡山洞窟探検ツアーでここ来る予定だよ! 同じ道走ってやんのぶわははは!」
「遠回りになんなあ。MADくん、終電何時やっけ?」
「神戸発で23時45分くらい」
「今何時?」
「23時」
「「「ぶわはははは!!!!!!」」」
最後に! 最後に来てこんなトラブルが! 来た! きまくりやがりだ! 一気に車中のテンションが上がりまくる。いやあ、これぞ旅の醍醐味ですね!(違います)
「ひー、オモロイ。ああ、腹痛い。あ、去年シーカヤック行った時泊まったあのホテル。神戸クアハウス。あっこまで送ってよ。あそこならこの時間からでも泊めてくれるから」
「ラジャー!!」
言って、友人Mが車をかっ飛ばす。そろそろ疲労困憊。彼が眠くならないよう、横で混ぜっ返すのが俺の仕事だ。
「そうそう、ホントはこーゆー時の為のビデオiPodだったんだよね! 前も経験あんだけどさ、映像だと音楽よりも“ハッ”ってくる感覚デカイのよ! マジで一瞬で目が覚めるよ!」
「バッテリー切れで動かないけどね」
「そうだね・・・」
混 ぜ っ 返 し 失 敗 。
仕方ないので転職してえなあ、でも出来ねえなあ、みたいなダメサラリーマンの定番会話をして過ごしてみた。そして走ること2時間。車はようやく神戸に着いた。
「おおお! ここは三ノ宮! 翼よこれが神戸の灯だ!」
「車だってば」
神戸クアハウス前で下ろして貰い、俺は荷物を取り出す。余談だがそのさい慌てたあまり車のハッチに思いっきり頭をぶつけ、その後一週間に渡ってコブがガンガン痛みまくることになるのだが、それは別の物語である。
俺は荷物を担ぎ、友人MとM先輩を振り返った。二人はこれからさらに家まで、1時間ほどのドライブをせねばならない。しかも二人とも明日会社だ。
「お疲れ。事故らないようにな!」
「うん。まあでも、楽しかったよ。じゃあね!」
車が走り出した。半ば虚ろな目でハンドルを握る友人Mを見ながら、ああ、と思った。
トラベルの語源は「トラブル」だという。しかしそれは俗説であり、本当の語源はラテン語の「トラベイユ」。それは「労働」「苦痛」「苦労」を意味する言葉だ。
――なるほど。昔の人は巧いこと言うなあ。
なにごとも先達はあらまほしきことなり。俺は遠ざかり行くクルマに向かい、手を合わせた。南無阿弥陀仏。成仏しろよ。
俺はホテルへと向かいながら、今日を思った。苛酷だったが、楽しい一日であった。
俺 だ け は 。
奴らの一日は、まだまだ長そうであった。(ちーん☆)
(完)
2007年09月03日
『愛媛トンカツ紀行 第三篇』。

「いやあ、案外簡単に見つかりましたな!」
「まったくまったく!」
目指すトンカツ・パフェの店「清まる」はびっくりするほどあっさり見つかった。ケータイで住所を検索し、るるぶ愛媛の地図を見ながら該当する地域を走っていたのだが、たまたまネットで見かけた写真の後ろに映っていた、ヤマハの看板を発見。俺が「あれー! ヤマハー!!」と叫ぶのと、「見つけたー!!」「うおおスゲー!!」と叫び声が上がるのは、ほとんど同時であった。捜索にかかった時間、わずか10分。あの時の俺の誘導はカツレツキッカを越えたと、後に俺は語っている。
100円パーキングに車を止め、さあ入るぜミステリアス・トンカツ屋! なぜかたむろっている十数人のライダーを掻き分け掻き分け、俺たちは颯爽と扉を開けた。さあ清まるよ! 私は来た! トンカツパフェ食わせろブフー!
鼻息荒く乗り込んだ俺たちにおかみさんはニッコリ笑って聞いた。
「ご予約の19名様ですか?」
・・・なにそれ?
「いや、違いますけど」
「ええ!? あらあらごめんなさい! 実は大口のご予約様が入ってまして・・・」
店前のライダー軍団はそれかー!!
店に入ろうともせず、でもバイク駐車場に止めてしゃべってるからおかしいと思ったんだ。ピンチ! いきなりメイン・イベント崩壊の予感!
「あ、あの!」
「はい?」
「一時間くらい待ったら食べられますかね!?」
「そうですね。いつもこんなに混むことはまずありませんし、団体さんが終わられたら今日はもうお待たせすることはないと思いますよ」
さて、どうすっか。一時間待つか? 道後温泉にでも入りながら。悩む俺たちに対し、友人Mが敢然と言った。
「いや、宇和島城に先に行こう」
宇和島城に?
「ああ。宇和島めちゃめちゃ遠いで。僕たちには時間がないんや!」
そうか! わかった! 俺たちは車へ乗り込んだ! 着いた! ゴメン助手席なのに寝てた! 1時間以上かかる道のりなのに、おかげで一瞬の体感時間ですよ!(最低) 目を覚ました時の、友人Mの疲れ切った笑顔が忘れられません。ゴメン。本当はもう忘れた。
しかし目を覚ましてしばらく経つと!
ンどどどどどどど!!!!!!!!!!!!
豪 雨 。
「夕立!?」
「すげえ雨だようぎゃー!!」
城に着くタイミングを見計らったかのごとく、大雨襲来。誰だ雨男は。(←俺)
仕方ないので10分ほど時間を潰し、小雨になってから出たんですが。結果的に、この雨が実に良かった。

宇和島城は大戦の戦火を免れ、江戸時代創建の天守閣を今に残す名城である。公園として解放されている城跡も、創建以来の巨木や石段などが見事に形を残している。その苔むした石段や鬱蒼とした緑が、サッと打ち水をされた状態になったのだ。
木々を渡る風は絶妙の冷気と草いきれをはらみ、足下の苔は青々と光り輝く。薫り高い雨上がりの空気を存分に味わいながら、俺たちは急な石段を昇っていった。
「宇和島城、けっこうデカイねえ。造ったの、藤堂高虎だっけ? なんで当主伊達なの?」
「政宗、長男を秀吉に人質として出しててんな。で、『秀吉の側にいたから、家督譲るには相応しくない』ってこって、継がせよらんかったの。それを家康が聞いて殊勝じゃ、つーこって宇和島与えたらしいよ」
「おお、そうなんか」
友人Mは司馬遼太郎を愛読する歴史オタクなので、こーゆー時に非常に重宝である。まさしく人間データベース。ちなみに、これが昨今のアニメ事情などになると、聞く対象はM先輩に替わる。便利便利。
あとで調べたところによると、宇和島藩主となった伊達秀宗は庶子であり、家督を継げなかったのは血筋の面というのも大きかったらしい。
それはいいんだが伊達秀宗。
母 親 が 「 猫 御 前 」 っ て な ん だ 。
縁側で猫ヒザに抱いてひなたぼっこしてんのか? もしかしてネコミミ!? ネコミミ!? さすが“独眼竜”伊達政宗! マニアックな趣味だぜ! つーことは、秀宗もネコミミ少年なわけで。
なるほどこりゃあ秀吉が入れ込んで名前一字あげたうえ、秀頼のお側小姓にしたり、宇喜多秀家が人質にしたり、家康が伊予宇和島十万石を与えるわけだぜ! みんなネコミミ萌えだったんだな!? 今明かされる戦国最大の秘密。冥王星が惑星じゃなくなるなんて目じゃねえぜ! よっぽどビッグにスキャンダラス!

あ、宇和島城はさすが再建じゃないだけあって、古色蒼然たる非常にいいお城でした。階段スゲエ急だけど。かなり気に入った。
あとで気づいたんですが、宇和島と言えば日本一長い109メートルの廊下を持つ旧木造校舎(現宇和米博物館)を雑巾がけし、タイムを競う「Z−1グランプリ」を開いてる場所。うわ俺、あれやりたかったんだよなー! 確か開催時以外も数百円でやらせてもらえるはずなんだ。気づかなかったよ不覚!
機会があればぜひ、またゆっくり来たいものである。うちの父方の実家、愛媛の八幡浜なんで、来ようと思えば来れるんだけどね。
疲れ切った友人MからバトンタッチしたM先輩の運転で、俺たちは再び松山へと向かった。
(続く)
2007年09月02日
「愛媛トンカツ紀行 第二篇」
「愛媛トンカツ紀行 〜東奔西走右往左往。トンカツ食ってウマかった〜 第二篇」
早朝午前8時。俺は神戸駅へと降りたった。
駅のロータリーに向かい、待っていた車へ乗り込む。そこには、運転手席に座った友人Mと、後部座席に座ったM先輩とが待ち受けていた。
「じゃあ、行きますか!」
「おう!」
言って、クルマは走り出した。軽く挨拶をかました俺に、友人Mが問うた。
「で、どこ行けばいいの?」
「うむ。知らん!」
「・・・は?」
「いやあ、レンタカー調べるのに夢中で、トンカツ屋の場所印刷してくんのすっかり忘れてさあ! あっはっは」
「マジかい!? じゃあ、どうやって行くのよ!?」
「だいじょぶだいじょぶ! 道後温泉の側だってのは分かってるし、近所まで行ったら本屋寄ろうぜ! グルメ本とか見たら絶対載ってるって!」
「ホントかよ・・・」
「ホントホント! なんとかなるさ!」
断言する俺に対し、疑いの目を向ける二人。なんて疑い深い奴らだ。人を信じられないとはなんて哀れな! 人と人との繋がりが希薄となった現代社会の病巣が今ここに!――って、なに? 信じられないのは人じゃなくてお前個人だ? さいですかおかしいなあ。
それはともかく。今回はBGMに秘密兵器を持ってきたんですよ秘密兵器!
「ほう、どれどれ」

見るがいい! 新型iPodと外付けスピーカーmm50の勇姿を!
「おお! なにこれなにこれ!!」
ふっふっふ、今までとは違い、今度のiPodは動画を見ることができるのです! さあ、聞くがいい見るがいい! そしておののき崇めるがいい! まずは旅立ちの曲。コレだポチッとな!
そこのだれかさん♪ 準備そろそろOK?
「金注かー! こりゃ懐かしい!」
ほうれ見ろ! テンション上がっただろう燃えただろう!?
「でもコレ、音悪いね」
「ケータイの音増幅したみたいな音がする」
「高音耳障りだし」
「画面も見づらいし」
ちょ、いきなり酷評!? 俺、これ作って夜3時間しか寝てねえんだぞ!?
「知るか! つか、そんな時間あるならとっとと清まるの地図印刷しとけ!」
んだとゴルァッ!? うるせえ! 黙って俺の歌を聴けーッ!!!!!!!!
そう叫び、懐かしアニメOP・ED集を垂れ流しまくった3時間半後。
全電力を使い果たしたiPodさんは、早くも永い眠りに就かれていた。(チーン)
「ちょ、もう電源切れかよ!?」
「そのようでございます。南無」
「君がBGM持ってくるって言うから、なんも音源用意してないよ僕!?」
「仕方ねえだろ! 動画だから電気食うんだよ!」
「なら音だけ鳴らせよ!」
「アホかー! 俺はこの動画ネタのためだけにこれ買ったんだ! やらんでどうする!」
「アホはお前だ」
「ほっとけ! ええい、だいたい俺のコンバーター持ってクルマで出かけたうちの兄貴が悪い! 分かったよ! どっかそこらの電機屋かオートバックスで止めろよ! コンバーター買ってくるからさあ!」
叫んで、たまたま見かけたコジマに入るが売ってない。ええいコジマめ! うちの近所のヤマダとK's電気には売ってたのになんて品揃えが悪い! 電機屋といいうちの後輩といい、コジマと付くにはろくなもんがねえぜ!(言いがかり)
仕方ないので友人M号に搭載の、ケツメイシとかの普通の曲で我慢することになった。くそ。
「しかし今回、予定バタバタやな!」
「ネタが、なかなか決められかったからなあ。今回さ、色々悩んだのよ」
「なにをよ?」
「台風来てるから友ヶ島とサンドボードはダメとして、逆にそれがメリットになる遊びもあるわけでさ」
「ほう」
「シャワクラとかラフティングは水が多いほど楽しいわけやん! こりゃ千載一遇のチャンスかなあと」
「まあ、それも良かってんけどねー」
「それにさ! 夜光虫カヤックは俺の中でもかなり当たりの確信ですよ! 空に星、そして漕ぎ進むその足下にも星ですよ! こりゃあたまらんですタイ! まるで星を行く舟ですタイ! それにそれに!」
「ほい?」
「主宰会社が『村上水軍商会』ですよ!? こりゃあ勝ったも同然じゃないですか!」
「なにに勝つんだなにに!?」
余談だが、会話内容はiPod切れてからの方が圧倒的に楽しかった。動画BGMは、流れてる動画ネタに話が支配されすぎる気がするので、皆が眠気を抱き始める旅行後半に、刺激剤として残しておく方がいいのかもしれん。その方が電源も持つしな!
そんな感じでワイワイ騒ぐうちに、クルマは愛媛、松山に着いた。
(続く)
2007年09月02日
『愛媛トンカツ紀行 第一篇』
トラベルの語源はトラブルだという。
旅行は家に帰るまでが旅行である。一方、その開始は準備段階から始まっている。それを忘れ、のんきに10時過ぎまで残業をしていた俺を、一通のメールが襲った。
――それが、この旅行の幕開けだった。
「愛媛トンカツ紀行 〜東奔西走右往左往。トンカツ食ってウマかった〜 第一篇」
・・・シーカヤックと乗馬組み合わせて『南船北馬ツアー』ってどうだろう?
ども。いきなり脱線でコンニチハ。高校時代、「パフェ兄ちゃん」と呼ばれていた者です。(実話)
なんの話だっけ? ああ、メールね。うん、覚えてる覚えてる。ホントだって! 忘れてねえって! だってちゃんと思い出したもん!
のんきに仕事してると友人Mからのメールが届いたんですよ。でんでろりん。(着信音)
「クルマ、用意できないかも☆」
・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
ぶわはははは!! おもしれえじゃねえかこの野郎!
なんでも、兄貴が彼の車を乗って行ってしまい、連絡が取れないのだという。ちなみに、もう一人の同行者、先輩Mさんの愛車は、車検で入院中。うちの兄貴も車使ってて、俺に手持ちのカードもない。
『じゃあ、レンタカー狙うか! 7時半に三ノ宮集結して、8時にレンタカー屋絨毯爆撃。空いてる車なんでもいいから借りて、それで行こうや!』
『おけー!!』
行く前から旅行ピンチ。さすが友人M。前の晩からこんな小ネタを仕込んでくれようとは。さあ、面白くなってきましたよ!
俺は高鳴る胸を押さえ切れぬまま、チャリンコをかっ飛ばして家路へとついた。
明けて、翌日。5時に起きて旅行準備を整えていた俺を、再び一通のメールが襲った。ざこびっち。(受信音)
『オヤジの軽なら準備できるけど?』
先輩Mさんからであった。
おお、それは天の助け! 実は昨晩、1時間くらいかけて24時間営業の店舗に電話したり予約状況見たりしててんけど、予約満杯ばっかだったんだ。よー考えたら夏休みの日曜やもんね。そら高稼働率やわ。
値段の安いオリックスかマツダ、タマ数の多いトヨタあたりを順に当たってみるつもりで、地図も数枚印刷はしておいた。が、その三つにクルマが無ければどうするか。ちょっと心配してたところだったのである。やるな先輩Mさん! これほど先輩Mさんの評価が高まったことはありませんよ! 歴代2位です! ちなみに3位はあんぱんおごってくれた時で、1位は『ぱんださんようちえん』のCD焼いてくれた時。名曲である。
『じゃあ、友人Mに連絡取って下さい! で、集合場所は神戸駅に変更ってことで!』
『ラジャー!!』
それから数分後、今度は友人Mからメールが届いた。
『クルマ準備出来てんで?』
俺 の 昨 晩 の 苦 労 は 一 体 。
わざとやってんじゃないのかコイツ? 聞くならく、なんとか兄貴と連絡が取れ、夜中0時にクルマを取りに行ってくれたのだという。まあ、それは大変ありがたいのだが・・・。危ねえ危ねえ。24時間の店舗で、予約取れなくて良かったよ。
まあよし! 結果良ければ全て良しだ! これで後顧の憂いはなくなった。俺は神戸へ向かう列車へと、颯爽と乗り込んだ。
(続く)
旅行は家に帰るまでが旅行である。一方、その開始は準備段階から始まっている。それを忘れ、のんきに10時過ぎまで残業をしていた俺を、一通のメールが襲った。
――それが、この旅行の幕開けだった。
「愛媛トンカツ紀行 〜東奔西走右往左往。トンカツ食ってウマかった〜 第一篇」
・・・シーカヤックと乗馬組み合わせて『南船北馬ツアー』ってどうだろう?
ども。いきなり脱線でコンニチハ。高校時代、「パフェ兄ちゃん」と呼ばれていた者です。(実話)
なんの話だっけ? ああ、メールね。うん、覚えてる覚えてる。ホントだって! 忘れてねえって! だってちゃんと思い出したもん!
のんきに仕事してると友人Mからのメールが届いたんですよ。でんでろりん。(着信音)
「クルマ、用意できないかも☆」
・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
ぶわはははは!! おもしれえじゃねえかこの野郎!
なんでも、兄貴が彼の車を乗って行ってしまい、連絡が取れないのだという。ちなみに、もう一人の同行者、先輩Mさんの愛車は、車検で入院中。うちの兄貴も車使ってて、俺に手持ちのカードもない。
『じゃあ、レンタカー狙うか! 7時半に三ノ宮集結して、8時にレンタカー屋絨毯爆撃。空いてる車なんでもいいから借りて、それで行こうや!』
『おけー!!』
行く前から旅行ピンチ。さすが友人M。前の晩からこんな小ネタを仕込んでくれようとは。さあ、面白くなってきましたよ!
俺は高鳴る胸を押さえ切れぬまま、チャリンコをかっ飛ばして家路へとついた。
明けて、翌日。5時に起きて旅行準備を整えていた俺を、再び一通のメールが襲った。ざこびっち。(受信音)
『オヤジの軽なら準備できるけど?』
先輩Mさんからであった。
おお、それは天の助け! 実は昨晩、1時間くらいかけて24時間営業の店舗に電話したり予約状況見たりしててんけど、予約満杯ばっかだったんだ。よー考えたら夏休みの日曜やもんね。そら高稼働率やわ。
値段の安いオリックスかマツダ、タマ数の多いトヨタあたりを順に当たってみるつもりで、地図も数枚印刷はしておいた。が、その三つにクルマが無ければどうするか。ちょっと心配してたところだったのである。やるな先輩Mさん! これほど先輩Mさんの評価が高まったことはありませんよ! 歴代2位です! ちなみに3位はあんぱんおごってくれた時で、1位は『ぱんださんようちえん』のCD焼いてくれた時。名曲である。
『じゃあ、友人Mに連絡取って下さい! で、集合場所は神戸駅に変更ってことで!』
『ラジャー!!』
それから数分後、今度は友人Mからメールが届いた。
『クルマ準備出来てんで?』
俺 の 昨 晩 の 苦 労 は 一 体 。
わざとやってんじゃないのかコイツ? 聞くならく、なんとか兄貴と連絡が取れ、夜中0時にクルマを取りに行ってくれたのだという。まあ、それは大変ありがたいのだが・・・。危ねえ危ねえ。24時間の店舗で、予約取れなくて良かったよ。
まあよし! 結果良ければ全て良しだ! これで後顧の憂いはなくなった。俺は神戸へ向かう列車へと、颯爽と乗り込んだ。
(続く)