2010年06月15日

a・ chi-a・chiアドベンチャー!第五階層


 あれ? 「a・ chi-a・chiアドベンチャー!」って言いながら、3と4、全然a・ chi-a・chi関係なくね?

 まあいいや! とりあえず続きー!!


「じゃあ、そろそろ宿の方に向かう?」

と聞いた俺に、友人Mが「いや待て」と言った。

「ん? どした?」
「近所に小松姫の墓があるぞ?」
「なん……だと?」

 小松姫は上田藩初代藩主(後に松代藩に移封)真田信幸の正室である。

 第一次上田合戦における真田の軍略に惚れ、そして恐れたかの”戦国無双”本多忠勝が、自陣営への取り込みを謀って、自分の長女を輿入れさせたのだといわれている。なお、このとき家康は、小松姫を自らの養子(一説には秀忠の養子)にしてから嫁がせている。真田家と、信幸への評価の高さがうかがえる逸話である。

 気の強さで知られる女傑であり、通称”鬼嫁”。某やる夫真田の雑談スレでは、「陰謀大好きの親父と空気読まない弟、それに鬼嫁がいなければ、信幸さんはもうちょっと長生きできたのに……」と言うのが鉄板ネタとなっている。(※真田信幸の享年は93歳)

 ちなみにその女傑っぷりは、嘘か誠か、こんな逸話が残されていることからも偲ばれよう。


●小松姫仏恥義理伝説その1「婿取り」

(´(●●)`)「小松よ。ぬしにもそろそろ、誰かをめあわせねばな」
ξ゚ ⊿゚)ξ「ほう? ”東方不敗”本多忠勝の娘にして、家康様。お主の義娘でもあるこの我に、嫁に行けと? おもしろい。婿候補を、一堂に集めい!」


――某日。某所の大広間

(なになに? なんで俺たち集められたの?)(なんか、すげえ目で睨んでる女いるんですけど!?)(あれ、本多平八殿の娘らしいよ!?)(マジで!? あの親にしてこの子ありだな!)(しかも、大殿様の義娘)(えええええ!? 超VIPじゃん!)(うあああああ!? なんかこっちに突っ込んでくるー!?)


ξ゚ ⊿゚)ξ「そち、顔を見せい!」(ガッ!)


(!!)(武士の命とも言うべき髷を引っ張った……だと!?)


ξ゚ ⊿゚)ξ「違うな。ではそち、顔を見せよ」(ガッ!!)


(まただ!)(なんと無礼な!)(しかしあの娘は、本多平八殿の娘にして、大殿の義娘!!)(く!? 我らには、耐えるしか残されていないというのか!?)


ξ゚ ⊿゚)ξ「違う! こいつも違う! ほらほら、顔を見せるがいい! 我の目にかなう男はおらんのかー!? ウワハハハハー!!!」


パシィーンッ!!!!


ξ゚ ⊿゚)ξ「ぬう!?」


(!!!!)(あの若侍!)(扇子で!)(小松姫の手を打ちおった!?)


  _、_
( ,_ノ` )y━・~~~「よしな、嬢ちゃん。髷は、武士の命。気軽に触っていいもんじゃねえぜ?」


ξ゚ ⊿゚)ξ「我の手を打つとはな。命が惜しくないか、無礼者。名を聞こうか」

  _、_
( ,_ノ` )y━・~~~「信幸。真田安房守昌幸が嫡男、源三郎信幸だ」


ξ゚ ⊿゚)ξ「くくく、面白い! この戦国末世の世に、汝がごとき漢がまだいようとはな! 気に入った! 汝を我が夫と認めよう!」

  _、_
( ,_ノ` )y━・~~~「……え?」

ξ゚ ⊿゚)ξ「この三国一の幸せ者め! さあ、皆の者! 祝言の準備じゃ!」

  _、_
(;,_ノ` )y━・~~~「え? いや、ちょ、ちょっと待って」

ξ゚ ⊿゚)ξ「大殿様、よろしいですな!」

(´(●●)`)「信幸くん、義娘をよろしく頼む。まさか、そんなことはありはしないと思うが。よもや嫌とは言うまいね? な あ 、 平 八 ? 」

(▼(工)▼メ)「ま゙っ」

( ゚Д゚)y━・~~~「」

(゜Д゜)y━・~~~「」


 か く し て 二 人 は 結 ば れ た 。



●小松姫仏恥義理伝説その2「銃後の守り」

( ´_ゝ`)「兄上と敵対し、豊臣方につくことに決まったわけですが、父上。なんでとっとと上田に帰らず、兄上支配の沼田に寄るんですか?」

( ゚皿゚)「分からぬか信繁! これが今生の別れになるかもしれん。最後に孫の顔が見たいんじゃよ!」

( ´_ゝ`)「なるほど」

(▼皿▼メ)「(……てクク! 本当は城に入れたが最後! そのまま沼田城乗っとるって寸法じゃーい!)」

( ´_ゝ`)「(あーまた、なんか企んでやがるよこの糞親父)――ってあれ? 父上?」

( ゚皿゚)「どうした?」

( ´_ゝ`)「城の城門の前に、義姉上がおられますよ? 戦 装 束 で 」

( ゚皿゚)「なんじゃとー!?」



ξ゚ ⊿゚)ξ「おう、義親父。なにしに来やがった」

( ゚皿゚)「いや、あの、今生の別れに孫の顔を見せていただきにですね」

ξ゚ ⊿゚)ξ「あ!? 寝言は寝てから言いやがれこの山猿が! てめえが敵に回ったってのは、うちの亭主から聞いてんだよ! そんな奴を城に入れられるか!」

( ゚皿゚)「ぼ、ボク何も企んでないよ? オイラ怪しいもんじゃないよ!?」

ξ゚ ⊿゚)ξ「うるせえ! ここを通りてえってんなら、アタイを殺してから通んなぁー!!!!」

(; ´_ゝ`)「うわあ父上! 義姉上が薙刀ブン回して突っ込んできますー!?」

( ゚皿゚)「うひゃああああ!? 退けー! 信繁、退くのじゃああああー!?」



 ――数刻後。近隣の寺、正覚寺にて。


( ゚皿゚)「うう、ひどい目にあった」

( ´_ゝ`)「さすが義姉上、銃後の守りは万全ですな」

( ゚皿゚)「くそ、あの鬼嫁め! いつか目にもの見せてやっからな!」

ξ゚ ⊿゚)ξ「あら? なにかおっしゃいまして?」

( ゚皿゚)「げぇ!? 小松!? いや、さすがは本多忠勝の娘。武家の妻女とはこうあるべきだと褒めてたんだよ? ホントダヨ?」

ξ゚ ⊿゚)ξ「あら、それは光栄ですわ」

( ゚皿゚)「それより小松! なぜここに!?」

ξ゚ ⊿゚)ξ「何をおっしゃってるんです? お義父様にお会わせしようと、子どもたちを連れてきたに決まってるじゃありませんか」

( ´_ゝ`)「え?」

ξ゚ ⊿゚)ξ「先程は、大変失礼いたしました。徳川方の目もございますし、あの時は、ああするしか無かったんですの」

( ゚皿゚)「!!! そうだったのか! すまん小松! お前を誤解したワシを許してくれい!」

ξ゚ ⊿゚)ξ「いいんですのよ、お義父様。さあ、お前たち、お祖父様ですよ?」


ヽ(゚∀゚)ノ ワーイ ヽ(゚∀゚)ノ オジイチャーン キャッキャ


(●^皿^●)「フフフフフ」


 ――城にあっては舅といえどその中に入れず、さりとてその願いを無碍にもせずに、場を改めて孫と会う機会を作る。

 小松姫のこの行いは、後世、良妻賢母の鑑として讃えられた。



( ´_ゝ`)「ありがとうございます、義姉上。……ところで」

ξ゚ ⊿゚)ξ「どうしました?」

( ´_ゝ`)「 こ の 寺 を 取 り 囲 ん で い る 兵 は 一 体 ? 」

ξ゚ ⊿゚)ξ「あ、気づいてた? いやーねえ☆ ただの護衛よ!」

( ´_ゝ`)「ご、護衛?」

ξ゚ ⊿゚)ξ「ええ! ほら、最近物騒じゃない? か弱い女性と子どもだけじゃ危ないでしょ? 決して、監視とか、示威行為とか、 ア タ イ ら に 手 ぇ 出 し た ら ブ チ 殺 す ぞ と か 、そーゆーんじゃないからね☆」

(; ゚ _ゝ゚ )「」

(;゚ _ゝ ゚ )「」




●小松姫仏恥義理伝説その3「小松、その愛」

( ´_ゝ`)「父上! 父上大変です! 石田治部少輔が、関ヶ原で敗れ、処刑されたそうです!」

( ゚皿゚)「なん……だと!?」

( ´_ゝ`)「どういたしましょう? これで我らも叛軍。程なく徳川より、処罰の兵が押し寄せましょう!」

( ゚皿゚)「臆するな信繁! この上田城は天険の要害! 我らはこの城に拠り、かつては家康を、そして此度は秀忠のこわっぱ目に一泡吹かせてやったではないか!」

( ´_ゝ`)「!! では、父上!」

( ゚皿゚)「うむ! まだ北に上杉、伊達、九州には島津があり、なにより大阪に秀頼公がおわす! 勝負が決まったわけではない! この上田城にこもって、徳川めに、今一度目にもの見せてやろうではないか!」

( ´_ゝ`)「さすがです父上ー! ――ってどうした? なに? 沼田の義姉上より手紙が? どれどれ」(ガサガサ)



J( 'ー`)し 義父上へ げんきですか いま書状してます

( ゚皿゚)   うるさい死ね 寺、監視の兵で囲みやがって 書状送ってくんな殺すぞ

J( 'ー`)し ごめんね。小松姫書状はじめてだから、ごめんね

( ゚皿゚)   うるさいくたばれ、書状送んな

J( 'ー`)し 食事はしていますか? 心配です

( ゚皿゚)   死ね鬼嫁

J( 'ー`)し 沼田にいる上田城兵の家族たちも心配しています

( ゚皿゚)   え?

J( 'ー`)し だから、皆の不安を和らげるため 「安全な」 沼田城に避難させてあげました

( ゚皿゚)   ちょ? 小松姫さん、ちょっと――

J( 'ー`)し 身体に気をつけてね そして


ξ゚ ⊿゚)ξ 上 田 城 兵 の 皆 さ ん に よ ろ し く な



(; ´_ゝ`)「父上、これって……」

(; ゚皿゚)「うん」


(; ゚皿゚)(; ゚_ゝ゚) 「 「 人 質 と ら れ た ー ! ? 」 」


(; ゚_ゝ゚) 「ど、どうしましょう父上!?」

(; ゚皿゚)「あ、慌てるでない信繁! この昌幸とて、表裏比興の者と謳われた男よ! ワシに考えが!」

(; ´_ゝ`)「……」

(; ゚皿゚)「考え……が……」

(; ´_ゝ`)「……」

(; ゚皿゚)「……」



 間 も な く 上 田 城 は 開 城 し た 。



●小松姫仏恥義理伝説その4「小松ニズム」

(;´Д`)「加賀の殿様より預かった献上品、大事に運ばねばならんのう」

(-@∀@)「まったくじゃあ。なんといっても、将軍家への献上品じゃからのう」

ξ゚ ⊿゚)ξ「まったくよねえ」(ガサゴソ)

Σ(´д`;)「誰ー!? つか、なんでアンタ献上品を漁ってんの!?」

ξ゚ ⊿゚)ξ「わが名は小松姫。この上田を治める領主、信幸様のハニーよ!」

(;-@∀@)「真田伊豆守の奥方様!? なんでそんな方が、略奪なんて真似を!? この品は、加賀前田家から将軍家への献上品ですぞ!? いくら奥方様と言えども――」

ξ゚ ⊿゚)ξ「バッカねえ、アンタたち、知らないの?」

(;´Д`)(;-@∀@)「は?」

ξ゚ ⊿゚)ξ「アタシはね、大御所様の義娘なの。将軍家の一員。だから」

(;´Д`)(;-@∀@)「だから?」

ξ゚ ⊿゚)ξ「将軍家のものはアタシの物! アタシの物はアタシの物なのよ!」

(;´Д`)(;-@∀@)「ひぃぃぃぃ!? ジャイアニズムー!?」



(;●´(エ)`)「……で、代わりにこの書状を持っていけって、お前らに渡したわけか」

・゚・(ノД`)「そうなんでございます、将軍様ー!」



ξ゚ ⊿゚)ξ『献上品は確かにいただきました。前田家を怒っちゃやーよ☆ Comats☆EYE』



(;●´(エ)`)「……そうか」

(;●´(エ)`)「……」

(;●´(エ)`)「……」



(;●´(エ)`)「 小 松 な ら 仕 方 な い な 」


ΣΣ(゚д゚lll)「エエエエエエー!?」


 か く し て 、 前 田 家 に も 、 真 田 家 に も 、 何 も お 咎 め は 無  か っ た 。



●余談 その略奪品の送り先


 ――紀州九度山某所。


J( 'ー`)し 義父上へげんきですか。いま書状してます

( ´皿`)  あ、こりゃどうも小松姫様。いつもありがとうございます

J( 'ー`)し ごめんね。小松姫書状ヘタだから、ごめんね

( ´皿`)  いやいやそんなこと無いっスよ! 源三郎くんと小松姫様からの書状、超楽しみにしてます!

J( 'ー`)し お金ふりこんでおきました。たいせつにつかってね 食事はしていますか?

( ´皿`)  いやー、いつもすみませんねえ ご飯はね、なんとか食べられてるんですけど、さすがに家臣が16人も付いてきちゃったから、色々物入で

J( 'ー`)し え?

( ´皿`)  あと10両! いや、5両でいいんですけど、なんとかならない!?

J( 'ー`)し いや、あの、うちも今ものすごく厳しくって、送ったお金も、ハニーと切り詰めまくって、なんとか工面した――

( ´皿`)  あとね、僕いい馬が超欲しいの! それも、生きの良い若駒が! 買ってー☆ お・ね・が・い☆

J( 'ー`)し いや、だから、そんなお金、うちには――

( ´_ゝ`) あ! 義姉上だ! 鮭、送ってくれて あざーっす!

J( 'ー`)し あ、源次郎殿! 

( ´_ゝ`) 超旨かったっス!!


J( 'ー`)し (フフ、さすが源次郎殿は、義父上と違ってしっかりしてらっしゃる) いいんですよ――

( ´_ゝ`) で、姉上! 次はね! サケはサケでも、できれば焼酎送ってくれませんかね!? 

J( 'ー`)し え?

( ´_ゝ`) ちゃんと瓶の上までなみなみとついで、ガッチリ蓋して送ってくださいね!

J( 'ー`)し えええー!?

( ´皿`) いやあ、できた息子と嫁を持って、僕たちは幸せだなあ

( ´_ゝ`) まったくですなあ、父上


( ´皿`)( ´_ゝ`) ハッハッハ!!!


ξ゚ ⊿゚)ξ ( こ の 、 ニ ー ト ど も が … … ! ! ! ) 



 ことほど左様な伝説を今に残す、小松姫。その人柄が偲ばれようと言うものである。そのお墓がここにあるのだと言う! そりゃあ、行かずばならんでしょう!

 細い道を右往左往しながらなんとかたどり着いたのは正覚寺。桜をはじめとする多くの花が植えられた、立派なお寺さんでした。





 立ち並ぶ墓石の間をくぐりぬけ、少し奥の方にある立派な霊屋と並んで、小松姫様のお墓はありました。石灯籠のような、大きな墓石でした。





 さやさやと風が鳴り、繚乱と桜の花弁が舞う中、手を合わせ、しばらくして退去した。

 稀代の猛将を父に持ち、文字通り激動の時代に真田家を陰から支えた小松姫。信幸は彼女を深く愛し、当時の武将としては異例なことに、彼女の生前には妾を持たず、生涯においても、彼女以外に室を持っていない。

 晩年病にかかり、江戸から草津温泉へ湯治に向かう途中、武蔵国鴻巣で亡くなったという。夫の信幸はこれを悲しみ、「我が家から光が消えた」と言って嘆いたという。光と言っても、決して小松明の光ではない。決して。 

 戒名は大蓮院殿英誉皓月大禅定尼。享年は48歳。墓は埼玉県鴻巣市勝願寺、長野県上田市芳泉寺、そしてここ、群馬県沼田市正覚寺の三ヶ所に分骨されているのだが、 彼女が亡くなった当時、信幸自身は上田で政務をとり、沼田には我が子信吉を置いて治めさせていたと言う。その沼田にあえて分骨したことからも、彼女がいかにこの地を愛し、また領民達からも慕われていたと言うことが偲ばれよう。そして、その細やかな配慮に浮かぶ、信幸の妻への思いも。


 小松姫。


 数々の伝説に彩られる真田の歴史の中に、ひときわ大きく、清冽な香りを乗せて、華やかに咲いた花の、それが名前である。

 続く。  


2010年06月13日

a・ chi-a・chiアドベンチャー!第四階層


 沼田城。

 1532年沼田顕泰により築城された丘城であり、北関東の要衝として、諸勢力の争奪戦の的となった堅城である。

 1560年、上杉謙信に攻略され、直属(城代支配)となったが、その死後、北条氏によって奪取された。しかし、甲越同盟の成立で上杉景勝が武田の沼田攻略を承認したことにより、武田氏の攻勢を受けることになる。1580年、武田氏配下の武将真田昌幸の調略によって、沼田城は武田の手に落ち、さらに武田氏滅亡後、そのまま真田家支配となった。

 当初城代を任されたのは真田幸綱(幸隆)の弟であり、真田昌幸の叔父に当たる武将矢沢薩摩守頼綱。”表裏比興の者”と謳われ、家康も恐れた謀将真田昌幸をして「薩摩守がすることは、俺がすること同じだ。あの叔父ごが負けるなら、俺が沼田にいても負くることになるわ」と言わしめた名将である。



< 矢 沢 頼 綱 支 配 時 の ヌ マ タ ブ ル グ 伝 説 >

・城主が「小松明(こたいまつ)」とか言う鬼神殺しの槍を持ってる
・「小松明(こたいまつ)」、これを天にかざすと本物の松明のような明かりが穂先がおおうという特殊能力を持ってて、夜襲に超便利
・しかも持ってる奴をその光で包んで敵から見えなくするっていう極悪機能付き
・城主69歳。合戦では、こいつがこの槍持って、自らブッ込んでくる
・3500の兵がいるから大丈夫だろうと思って北条が会戦を挑んだら、500の兵に襲われて負けた
・リベンジに70,000の軍勢で城攻めしたら、2,000の兵で撃退された
・沼田城攻めで伏兵にあう確率が150%。沼田兵に一度襲われて、同士討ちで味方兵に襲われる確率が50%の意味


 ちなみに、これでも「まだ負けてないやい!」と意地になって沼田攻めを行っていると、漏れなく真田昌幸が後方撹乱して、兵站線がズタズタになってもっと酷い目に遭うというおまけ付き。どう考えても人外魔境です。本当にありがとうございました。



 江戸期の沼田城主は真田家5代、天領、本多家3代、黒田家(譜代大名)2代を経て、土岐家12代目に明治維新を迎えている。真田氏時代には5層の天守や3層の櫓が建てられたが、時代とともに縮小し、本多氏時代には三の丸を改修して館を建てる程度の規模になった。

 明治維新後、1916年に旧沼田藩士の家の久米民之助によって城地が購入され整備された。1926年には沼田町(沼田市)に寄付され、現在は沼田公園となっている。
(wikiの同項を引用、一部改変)


 というお城である。


「いやあ、ホンマにええ公園やねえ」
「近所に本気で欲しい」

 上にも書いてあるが、現在は沼田公園として、市民の憩いの場となっている。公園中に桜が植えられているのだが、我々が訪れたのはちょうど満開の時期だったらしく、公園中が花煙の中に浮かんでいた。





 BBQをする者。花を愛でる者。子どもたちと駆けまわる家族連れ。屋台で買った軽食をかじりながら歩きまわる者。公園を、思い思いに、人々が散策している。

 潮騒のように、少年たちの声も聞こえる。城跡の一角には学校が立てられ、公園のすぐそばに、テニスコートも整備されている。練習試合なのだろうか。そこでは試合が行われ、それを取り囲むように、数十もの少年たちが、かつては戦の鬨の声があふれたであろうこの場所で、応援の声を上げていた。いつ「ワシの波動球は108式まであるぞ!」とか、「俺様の美技に酔いな」とかやって、敵をバックネットまで吹き飛ばしたり恐竜を滅ぼしたりするのかと見ていたが、やはり練習試合ではそこまでしないのか、普通にラリーとかしていたのは残念であった。


 空はどこまでも青い。


 桜に見惚れるかたわら、城の石垣跡や縄張りを確認し、隣接する史跡「旧生方家(うぶかたけ)住宅」と「旧土岐(とき)家住宅洋館」(この二つも、見ごたえのある、大変興味深い建物だった)を散策するなどして公園を堪能し、2時間ほどを過ごして、我々はようやく沼田公園を後にしたのだった。続く!


  


2010年06月12日

a・ chi-a・chiアドベンチャー!第三階層


「だから、a・ chi-a・chiの魅力はね、うまいとか下手とかを飛び越えて『聞いてるだけでウキウキしてくる』『自分も歌い出したくなっちゃう』、そーゆー、なんて言うかなあ! 楽しさとか、喜びとかがぎゅっと詰まってて、触れた途端バチン! バチン!と弾けてこっちを巻き込まずにはいない、そんな歌声だと思うんですよ!」
「あー、なんか分かる!!!」

 レンタカー屋を飛び出し、首都高に乗った我々は、iPodより流れるa・ chi-a・chiの歌声に、さっそくノリノリであった。

「お、『WRONG NUMBER』からですか! ほんでお次は――『DREAMS COME TRUE』か! 懐かしいなあ!」
「だろー!」
「アルバム?」
「そうそう! アルバムの曲、全部入れてきた! 苦労したぜ! 『STEP』と『EVERLASTING』はあったんだけど、さすがに『RONDO』までは持ってなかったからなあ。Amazonで、中古の見つけて買った!」
「わざわざ!?」
「おう! でも、プレミアとかついてなくて普通にお買い得で、なんか嬉しいような悔しいような複雑な気分だったさ!」
「お母さーん、馬鹿だよー? 馬鹿がいるよー?」

 などという会話をかましつつ、車は一路、群馬へと向かってひた走っていった。

 そして、走ること2時間。我々がまずたどり着いたのは、群馬県沼田市にある、『姫本』という料理屋さん。昼飯に沼田名物の「だんご汁」を食べようとして立ち寄ったのである。

 「だんご汁」はとろみのある野菜たっぷりの汁に、小麦粉を練った「だんご」を入れた汁料理である。ぶっちゃけて言うと、「すいとん」とほとんど同じ。

 かつては沼田城主も召し上がったと言う郷土料理であり、現在ではこれで町おこしもしていると言う名物料理。歴史好きとして、こりゃあ食っとかねばいかんだろ!と思って行ったんですが!

「どこから来たの? 関西から? あらまあ」


 友 人 M が い き な り 地 元 の お ば ち ゃ ん に 捕 ま っ て る 。


 車にガイドブックを忘れて、鳥に帰って戻ってみると、隣に座っていたおばちゃんに話しかけられている友人Mなのである。さすがだ。

「こんなとこまでナニしに来たのー? 観光?」
「いえ、老神温泉で一泊の予定なんですが、名物のだんご汁が美味しいと聞いて、このお店にお邪魔したんです」
「あらあら、そうなのー? だんご汁ねえ、名物でねえ」
お店の奥さん「だんご汁、この前も若いカップルの方が食べに来てたわ」
「あらあら、そうなのー? 美味しい? 美味しいでしょ?」
「ええ。あっさりしてて、美味しいですねえ」
「そうでしょう! 食べた事ないし、私も今度食べてみようかしら」
「 な い ん か い 」

 おばちゃん、絶好調でした。

 ちなみに、団子汁は醤油ベースのお味で、美味しかったです。ただ、すげえ腹にたまる! 「だんご汁ふる里セット」 っての頼んだんだが、ボリュームも満点ですよ! 俺、きのこの天ぷらが大好物なんで、思わずこの辺の名物「舞茸のてんぷら」まで頼んでたから、死ぬかと思った。





 お陰さまで腹一杯で、楽しみにしていたもうひとつの沼田名物、みそパンなんざ、入る余地もないていうか、もう、視界に入るのもノーセンキュー状態。正直な商売しすぎだろ!?

 ちなみに。飯を食ってたら、ここの看板犬の豆柴「姫ちゃん」がとっとこ寄ってきてくれたんですが。

 ウルトラ可愛えええええー!!!!!





 ヤバイ! この可愛さは超ヤバイ!!! 俺様メロメロ。ご近所にいたら通っちゃうレベル。貢いでも本望。だいたい、名前からして絶対に勝てない。「姫ちゃん」だもんなあ。元気なー君が好きー♪


◆姫本
http://r.tabelog.com/gunma/A1003/A100301/10004926/


 身も心も満腹になった我々は、次の目的地、沼田城址へと向かうのであった。続く!!!  


2010年06月12日

a・ chi-a・chiアドベンチャー!第二階層


 私が羽田空港を訪れたのは、まだ風も寒さをはらむ、4月の終わりのことだった。

 年間の航空機発着数約28万5000回。航空旅客数は約6673万人。正式名称を「東京国際空港」というこの空港は、1931年の開港以来、日本最大級の空港として、日本全国から旅人を受け入れ、また、送り出してきた。

 今日、私もその一人となった。

 窓ガラスを通し、私は一機の飛行機を見る。それは、私を伊丹から運んできた飛行機だった。薄曇りの空の下で、灰色の地面の上に身を縮こまらせるようにうずくまったその姿は、まるで仕事と、人生に疲れた老年の男のように見えた。

 窓に息があたり、白くけぶる。同じ飛行機に載っていたと思しき、通行人達の声が、聞くとも無しに、耳朶に響いた。


「仕事が」「ディズニーランドに」「乗り継ぎで成田へ」


 当たり前の話だが、通り過ぎる人たちには、それぞれに旅の目的があり、そして同じ数だけの人生があった。袖すり合うも他生の縁、と言うが、ここですれ違った人たちの大半とは、きっと、二度とすれ違うことすらないのだろう。

 曇った窓に、一人の疲れた男が映った。うずくまる飛行機と重なったその姿に、私は思った。


 私と言う名の飛行機の、その行く先はどこなのだろう――と。



「――で?」
「うん? どうした友人M?」
「いや、だから、その借りたレンタカー屋はどこにあるのよ!?」
「それが見当たらなくてさあ! ぶひゃひゃひゃひゃ!」

 窓から顔を離し、俺は爆笑した。

 お陰さまで、MAD号というその飛行機は、見事に遭難していた。まあ、いつものことだがな! 大丈夫! 最後に目的地に着きゃあいいのさ! すべての道はローマに通じ、俺の後に道はできるのである! ロング・ロング・ワインディングロードッ!!

 現在、日本のレンタカー業界は価格破壊の真っ最中にある。トヨタをはじめとするレンタカー会社が、小型乗用車で12時間5,000円超で貸し出していた時代は終わり、ニコニコレンタカーをはじめとする業界の新興勢力が、その半額以下でレンタルを開始していた。

 今回我々が借りたのは、そういった格安レンタカー会社のひとつ、Jネットレンタカーというレンタカー会社であった。群馬→東京間の高速道路は、高崎以東が死ぬほど混む。なので、最初はニコニコレンタカー高崎店で借りて、そこまでは電車で行こうと考え、車も抑えていた。その予定を変えたのは、同行の友人Mの言葉であった。


「いーじゃん。渋滞を考慮に入れて、帰りを2時間くらい、早くしたらいいんだろ? 車のほうが騒げて楽しいやん」


 その意気や良しッ!!


 俺も、「旅行は行く最中の車の中が一番楽しい」というタイプである。しかも、今回の旅は、a・chi-a・chiアドベンチャー! 車の中で、a・chi-a・chiの曲をかけまくり、歌い踊りつつゆかりの地をめぐると言う趣旨である! ならば、車に乗っている時間は、長い方がいいッ!

 そんなわけで、出発3日前に急遽予定を変え、羽田空港近辺でレンタカー屋を探し、見事見つけたのが、Jネットレンタカー羽田空港店だったのである。リース料はJ2マーチクラス・2日間で9,240円。バッチリである。

 勇躍予約し、ここまで来たのであるが。


 お 店 の 場 所 メ モ す る  の 忘 れ た ☆


 つか、てっきり空港内に受付カウンターがあると思ったら、無かったのである! そらそーだ。良く考えてみたら、格安レンタカー屋が、そんな金のかかる受付なんざ、維持してる訳ないわな。

 逆境である。いきなり迷子である。だがしかし! このMAD、その程度の逆境は日常茶飯事だ! 舐めてもらっては困る!

 俺は不敵な笑みを浮かべ、スチャッ!とケータイを取り出した。そして、おもむろにgoogleへと接続。検索。数秒後、ケータイの画面には、お店の場所が映し出されていた。

 フ、と俺はハードボイルドな笑みを浮かべた。隠そうとしても無駄さ。お前はもう、俺の手の中だ。俺の手は、おまえらの考えているより、遥かに長い。

「いや、だから、最初からちゃんと調べて、地図とか用意してこいよ」
「おにょにょのぷう」

 京急空港線に乗り、大鳥居駅で下車。歩いて5分のところに、その店はあった。我々はそこで車に乗り込み、一路群馬を目指して旅だったのであった。続く!!  


2010年06月01日

a・chi-a・chiアドベンチャー!第一階層


 4月24日。早朝7時50分。伊丹空港。

 旅立ちの飛行機に乗るべく、空港で集結した我々は

「ぬおおおおー!!!」
「とりゃああああ!!!」


 激 走 し て い た 。


 話は30分ほど前に遡る。

 群馬でa・chi-a・chiゆかりの場所をめぐる「a・chi-a・chiアドベンチャー!」という旅行を思いついた我々二人は、さっそく宿の手配を取った。交通手段は、飛行機である。最初は夜行バスか新幹線で行くつもりだったのだが、JALの”おともdeマイル割引”とゆーサービスを見つけて気を変えた。これを使うと、伊丹・東京間が、2人分で1万マイル+10,500円で行けるとゆーのだ。2人で割り勘すると、一人片道5,250円。空港までの交通費を考えても安い! しかも、時間は1時間しかかからないのだ。こら乗るしかなかんべ!

 予約したのは、大阪伊丹8:00発JAL104便。京都からの空港バスに乗り、空港へ着いた俺は、椅子に座って友人Mを持っていた。俺のケータイがプルルと鳴ったのは、その時だった。


『スマン。バスが混んでて、ギリギリに着くのにしか乗れん!』


 ブハハハハ! いきなりだな!(笑)


『まー、しゃーないねー。頑張ってくれ』


 と返信を送り、一応のため、JALの案内のおねーさんに聞いてみる。友人が遅れそうなんですが、便を変えるとか無理ですかね?

「通常でしたらできるんですけど、”おともdeマイル割引”を使われていると、ダメなんです……。バスが渋滞で遅刻、などでしたら、対応出来ることもあるんですけど」
「ですよねー」

 まあ、仕方ない。遅れたら遅れたで、その時考えよう。とりあえずチケット発券して、来たらすぐ合流できるよう、入り口近くへ移動して、と。

 7時50分。入り口から友人Mが飛び込んできた。

「遅れてすまーん!」
「うはは、走れ走れー! つか、ホンマ、ギリギリだな! こーゆーのは、普通ラストのクライマックスにするイベントじゃねえの!?」
「俺は最初からクライマックスだぜー!」

 なんて軽口をたたきながら、身体検査の窓口へ飛び込む。金属探知機に俺のベルトが反応して時間を取られたりのトラブルがあったりしたものの、なんとか55分には飛行機へ乗り込むことが出来た。

「ゼエゼエ、いやー、ギリギリでしたなー。あと1分遅かったら、窓口へ『スミマセン。乗れません』て謝りに行くとこだったよ!」
「すまんねー。バスが予想以上に混んでて」
「――って、飛び立たんね」
「結局10分遅れかよ!? 僕はこのことを予想して!」
「それはない」


 自分たち以上に遅れた人がいたのか、結局飛行機は10分ちょっと遅れて飛び立ち、1時間後、無事羽田へと着いた。続く!