2008年12月28日

K井たちの夜。~鳥取旅行殺人事件~(後編)


 「堀川巡り」。

 それはその名の通り、松江城のお堀を舟で巡るというなんとも優雅な観光である。今なお往時の姿を色濃く残す、掘割の景色を船から仰ぎ見るという、そののんびりとした周遊に刺激を与えるのが、16もあるという橋の「くぐり抜け」である。堀にかけられた橋の下をくぐるというものだが、その中に3つ(だったかな?)、橋が低すぎて、そのままでは潜り抜けられない橋があるのだ。

 となると、手は3つしかない。

1、避けて通る。
2、爆破する。
3、現実は非情である。激突して沈没。



「――いやあ、堀川めぐり楽しかったねえ!」
「まったくですな!」

 変形合体堀川めぐりを堪能したわれわれは、ついで松江城へと乗り込んだ! ここの天守閣は先にも言ったとおり、1600年(慶長5年) 関ヶ原の戦いで戦功のあった堀尾忠氏によって建設されたものが、今なおそのままの姿で残っているという貴重なものである。しかも、築城が江戸時代以前とあって、いまだ戦の気配が濃厚なころ。おかげで質実剛健、実用本位。荒々しき戦国の気風を漂わせる、堂々としたその姿を、現代のわれわれにも見せてくれているのである。

その後堀尾忠晴が没し、嗣子無く堀尾氏は3代で改易となった。1634年(寛永11年) その後を継いだのが京極忠高である。若狭国小浜藩より出雲・隠岐両国26万石で入封。三の丸の修築を行い、松江城の全容を完成させた。しかし、1637年(寛永14年) 忠高も嗣子無く没し、京極氏は廃絶。その後を受けて1638年(寛永15年) 信濃国松本藩より松平直政が18万6千石で入封。以後、明治維新まで続いたのだそうな。
(Wikiの松江城の項よりコピペ整形)






「この城も京極氏なんやなあ。なあ、友人M、京極氏ってあんま知らんけど名流なの?」
「え?」
「いやこの前・MDさんと福井行ったとき、同じく現存天守の丸岡城見たのよ。あれも小さいながらシビれる城だったんやけど、そこの当主も京極氏やって、さらにここと同じく、廃絶したとこに入封してたのな。廃絶したとこに入れられて、しかもこれだけ多くの石高与えられるって、相当の扱いやんか」
「まあ、確かに」
「しかも、そいつが廃絶の後、後を襲ったのが松平家やろ? 将軍家縁戚やんか。めっちゃ家格高いやんか。んで、戦国時代にあまり聞かん名やけど、有名なんかな、て」
「あー、なるほど。よう覚えてへんけど、もともとは浅井長政にやられた北近江の武将やったんちゃうかったかなあ。あ、確か浅井三姉妹の次女嫁にもらってたはずやわ」
「浅井の次女ってーと、淀殿こと茶々の妹?」
「そうそう! んで三女の督が徳川秀忠の正室やし、縁戚で重用されてたんじゃない?」
「浅井ってすげーな! 娘は豊臣と徳川の正室で、自分の嫁が信長の妹、お市の方かよ! 戦国の三傑一人で抑えてるよ!」
「しかも離反したのに、娘離縁とかされてないからねえ」
「浅井の人柄が偲ばれますな。さすが義の人。それにしてもドラマチックな三姉妹だなあ。敵味方の頭目に分かれたあたり、宋家の三姉妹を髣髴とさせんな」
「あ、思い出した! 初だ! 京極氏に嫁いだの!」
「 な ん で お 前 そ ん な の 覚 え て ん だ 。 茶々はともかく、そんなマイナーな次女なんて普通知らねえよ!」
「なんだと!? こんなの一般常識だろうが!」
「どこの一般だ!? 『三姉妹』で常識なのは『風間三姉妹』くらいなモンだゴルァッ!?」
「ゆ、唯・結花・由真ー!?」


 そんなことをくっちゃべりつつ、我々は松江城へと乗り込んだ。続く!  


2008年12月27日

K井たちの夜。~鳥取旅行殺人事件~(中編)


「つきましたよー!」
「フガ・・・?」

 K井さんの声に目を覚ますと、車は鳥取に着いていた。ほとんどワープであった。ちなみにこの後、俺は車に乗っている時間の実に9割9分5厘寝ているという快挙をなしとげるのであるが、それはまた後の話である。つか、俺がドライバーならそんな同乗者放り出すな。山奥で。

「どこっすか、ここ?」
「お昼ご飯です! しじみ汁食べますよー!!」

 聞くに、そこは今、朝の連ドラでもおなじみの島根の県庁所在地松江であった。鳥取旅行記と言いつつ、いきなり島根に着いている自分のお茶目さに微笑まざるを得ない。

 松江と言えば宍道湖。宍道湖と言えばしじみ。完璧無比なる三段論法にて我々が訪れたのは、そのしじみ料理を名物とする名店「季節(とき)の風 藏」というお店であった。

 松江でシジミ料理を出す店は多かれど、このお店はひと味違う。なんと、経営しているのが米穀店なのだ! お米の専門家とも言うべきプロが、こだわりを持って炊きあげたご飯に「七珍」と呼ばれる宍道湖名物を掛け合わせ、オリジナルの丼ものを提供しているというのだ! そりゃあ行くだろ! そりゃあ食うだろ!! こいつぁ期待できるぜ!


 ま あ 、 探 し て き た の は K 井 さ ん な ん で す け ど 。


 俺はホイホイついてっちゃっただけです。ありがとうK井さん! 調査お疲れ様ですK井さん! このご恩はさっきまで忘れてましたが、思い出したので今年いっぱい忘れません! 





 俺が頼んだのはじゃこ丼。名物のシジミ丼は他の皆が頼んだので、別のにしたのだ。それに加えて、粒が大きいのを選ったという、限定の特上シジミ汁を頼んだ。

 さて、と。まずしじみ汁飲むか。(ずずー)


 旨ス!


 あっさりとした味だけど、なんだろねこのじんわりしたコクは! ご飯も甘くて美味しいし、なんか身体の中がきれいになる気がするよ!

 そう言えば、今回のメンバーは俺を除けば、全員呑み助ばかり。肝臓にいいって言うし、3リットルくらい飲みまくればいいのに、と思った。


 さて満足し、次に向かうは松江城である! 千鳥城の異名を持ち、日本に12箇所しか現存しない、江戸時代以前建造の天守を有する黒鴉の城である。こいつぁ見物だぜ! 車を止めて、さあ行きましょう! うおお、興奮するなあ!


「ああ、MADさん、その前に」
「なんですかK井(嫁)さん」
「舟乗りますよ舟ー♪」
「はぁ!?」


 なんでも、前に来たとき乗った、城のお堀を巡る「堀川巡り」が非常に楽しかったのだそうな。で、皆にもぜひ体感して欲しい、と。


「イヤですか?」
「トンデモ8分、歩いて5分」


 小泉八雲ことラフカディオ・ハーンが愛し、今なお町並みに風情を残す古都松江。そこは昔、水路を張り巡らせた水の港でもあったという。古きその町並みと城を水路から眺め、往事のよすがに浸るというのも一興であろう。


「あ、ちなみにその舟、変形しますから」
「へ、変形!?」

 なんだか意味不明の言葉に不安を抱きつつ、我々は舟へと乗り込んだのであった。続く!  


2008年12月27日

K井たちの夜。~鳥取旅行殺人事件~(前編)


 なんか最近忙しすぎで、このままだと書けずに終わりそうなので軽く書くぜ!

 この前マイミクのK井さん夫婦に誘われて、鳥取旅行に行ったんだぜ! コンセプトは「大人の旅行」。豪華な貸し切りロッジで一夜を過ごしつつ、のってりまったり鳥取を周遊しようと、まあそう言う企画だ。参加者はK井さん一家と、毎度おなじみ大学時代の友人M他、K井さんのゲーム友達2名様である。このメンバーでなぜ俺が呼ばれたのかは謎だが、「車の移動中ヒマだから、珍獣を見て楽しもうと思った」説が学会では有力である。

 朝8時に大阪に集まり、車へと乗り込む。


「いやいやコンニチハ」
「どもどもお久しぶり」


 挨拶も軽やかに車へと乗り込む。さあ行きましょうヒアウィゴー! ドッカリ最後部席に陣取った俺は、ニッコリ笑って10分後。

 グ ゴ ゴ ゴ ゴ 。


 大  爆  睡  。


 それから最初の目的地に着くまでの2時間、爆睡に次ぐ爆睡! 超爆睡であった!! 仕方ねえんだよ! 前日も12時過ぎまで仕事だったんだよ! 最近平均帰宅時間22時半&睡眠時間4時間なんだよ! まあ、帰ってからニコニコ見たり日記書いてるのが原因の8割だけど!

 そう言えば、動物園でも虎やライオンもパンダもカモノハシも、だいたい珍獣って寝てるよね。そんな思いを皆に抱かせつつ、車は鳥取へ向かってひた走っていった。

(続く!)