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Posted by 滋賀咲くブログ at

2010年01月17日

鎌倉ストラッド。その2


 絵本カフェを満喫し、次に我々が向かったのはもちろん、“鎌倉のボルタック商店”こと、山海堂である。鎌倉に来て、あそこに寄らずに帰れようか! それはともかく。

「鎌倉、めっちゃええとこだな」
「まったくだ」

 絵本カフェから江ノ電と平行に走り、長谷寺へと通じている「由比ガ浜大通り」ってとこを歩いてたのだが、鎌倉、めっちゃいい! なんか、気の利いたこじゃれたお店や、やたら興味のそそる楽しげなお店が、要所要所にあるのよ!

 薪ストーブのお店とか。すんごい数並べたコロッケ屋さんとか。鰻屋さんとか。今風のカフェとか。

 あとで調べたところによると、由比ガ浜大通りは元鎌倉最大の繁華街で、すんごい数並べたコロッケ屋さんはいまだにサザンの桑田佳祐さんが買いに来たり、鰻屋さんは川端康成さんが愛したお店だったりするらしい。なんて油断大敵な街だ。

 あと、個人的にヒットした店名。





 阿部さん吹いた。w


「お? MAD、MAD、旨そうなラーメン屋があるぞ。地元の人でいっぱいだし、あれは絶対に旨い! 昼飯あそこにしね?」
「いいけど、さっきケーキ食ったばかりでまだ腹減ってないし、山海堂いった帰りにしねえ?」
「そりゃいいな」
「うわ!? なんかすげえ旨そうな鯛焼きのお店が! 志野、今まで秘密にしてたが、俺はアンコが大好きなんだ!」
「さよか」
「ようし、これも帰りに食おう! 絶対だ! 決めた! 武士に二言はない!」
「お前いつから武士になった」
「ぬう!? なんか不思議なお店があるぞ!? 麩まんじゅう? しかし、店頭にはなにも置いてない?」
「なんだろな」
「ぬう! どうやらこだわり系のお店と見た! 店頭に置いておくと劣化するから、注文来たときに奥の冷蔵庫から取り出してくるタイプの! うちの近所にも、そーゆー洋菓子屋ある! くう、志野、これは困ったぞ!」
「なにが?」
「今まで秘密にしていたが、俺は麩まんじゅうが大好きなんだ!」
「……はあ」
「しかし、これを食うとさすがに鯛焼きは食えぬ! だが、お腹がすくまで持って歩いたりすれば、劣化は必至! それは、こだわっておられるお店の方に、あまりに申し訳ない! くう、ここはあえて我慢し、武士の一分を通さねばなるまい!」
「だからお前武士じゃねえって」
「なんとー!?」
「んで、今度はどうした」
「なんて旨そうなケーキ屋! 志野、今まで隠していたが、実は俺は、洋菓子も大好きなんだ!」
「知ってたよ! つかお前、結局甘い物ならなんでもいいんだろ!?」
「失礼なことを言うな! 俺はおいしいものを愛するだけ――ってふんぎゃらはあ!?」
「ああ!? 今度はなんだよ!?」
「くおお、みたらし団子だと!? 志野、今まで内緒にしていたが、俺はあらゆる団子の中でみたらし団子が史上最強に好きで」
「いいかげんにしやがれー!?」


 というトークをかましているうちに、我々は山海堂へと着いた。


 山海堂。











 写真をして語らしむ。

 相変わらずのステキさでしたが、10年前に来た時にくらべると、商品が相当減っててショックでした。5分の1くらいになってるんじゃなかろうか。

 前回来たときは文字通り「埋め尽くされている」勢いで、普通のお土産物は「先代のお爺さんが嘆くから、形だけ置いてます」と冗談交じりに言われたほど、「一角に押し込められている」状態だったのが、だいぶ復活。ナイフのたぐいが全撤去になってただけでなく、剣も厳ついのが軒並み姿を消している。

 銃刀法の改正が効いてるんだろうなあ。残念なことである。

 志野は初めて来ただけあって、喜んでくれたみたいで、保育園の子ども達に遊ばすように、ニンジャグッズを色々仕込んでました。それを横目に、俺の目を釘付けにしてたのはガントレット。





 カウンター奥のガラスケース内に納められていたから良かったものの、さわれる場所にあって、手にはめでもしてたら、間違いなく買ってたと思う。ヤバかったー。

 そして、帰路。





「鯛焼きカリカリで超うめえええええ!!!! いやあ志野、鎌倉超いいとこだな!」
「だな!」
「しかし、来るには遠いなあ。頼朝、なんでこんなとこに幕府開いたんだろね? “こんなとこ”って言うと失礼だけど」
「うむ。当時は政治の中心って京都だし、交通の便的にも、全国に指令出しにくい場所だと思うんだけど」
「伊豆あたりに港があって、水運で交通してたのかね?」
「よー分からんなあ。お? なんか不思議な建物がある。写真、写真、と」


「あれは元加賀のお殿様の別邸なのじゃよ」


 うわあ!? なんか突然、見知らぬお爺さんに声かけられたあ!?

 てゆーかこのお爺さん、さっきまで俺たちの前を歩いていたけど、頼朝の話を始めた途端、こっちチラチラと見始めて、歩く速度を落としてたお爺さんだ! 歩くのしんどいのかと思ってたら、話に入りたかったのか! つか、格好から見ても、観光ボランティアガイドっぽいし! サービス満点だな! しかし、こういうお爺さん、俺の大好物である!


「観光か? 観光にいらっしゃったのか?」
「ええ」
「そうか。あの建物は昔、かの加賀100万石、前田家の別荘でな。国に5分の4(だったかな? 忘れた)を寄付して、そこが今文学館になって公開されておるんじゃ」
「ああ、文学館ってそうだったんですか!」
「その前は田中角栄とかが別荘として使っておったりしてなあ。そのときはその坂の前の角に、いつも厳つい警官が、絶対見張っていたよ」
「へえ! 街に歴史有りですね! この街並みもスゴイですよねえ。よその都市ならシャッター通りになってるところが、ちゃんと生きてて」
「いやいや! 昔はもっともっとすごかった! 今は鶴岡八幡宮に通じる小町通りの方が賑やかになっているが、昔はこっちの通りの方が賑わっていてなあ! そう言えば鶴岡八幡宮には行ったかね?」
「いえ、まだ」
「なんと! それは行かないと! もともとこの鎌倉という街はあの鶴岡八幡宮を中心に発展した町で云々」
「ほほー」


 と、ここで昼飯を食う約束をしていたラーメン屋に到着。名残は尽きないが、残念ながらお爺さんとはここでお別れになった。もうちょっといろいろ聞きたかったけどなあ。無念。

 そして、ラーメン屋。










 えーと、ですね。

 前から公言しているが、俺はラーメンの味が分からない。この「分からない」というのは文字通りの意味で、その食べているラーメンが、美味しいのか、美味しくないのか、分からないのである。自分の中に基準がないのだ。

 なので、皆が「すごく旨い!」と絶賛しているラーメン屋に行っても「うん、ラーメンだね」と思って食っているし、逆に「これは最悪だ!」とけなされているラーメンも、「うん、ラーメンだね」と、特段まずいとも思わず食っている。

 俺にとってラーメンは、旨いとも、まずいとも思わない食い物なのだ。


 だがここは。


 正直、美味しい、と思った。


 鰹節のきいた和風魚介系醤油だし。肉の塊ッ!って感じのする、ガッツリチャーシュー。トロットロの半熟味玉。たまらん。

 「あー、俺、ラーメン美味しいって思える人だったんだなあ」って思った。なんかうれしい。また、ナチュラル系のお店の内装がステキなのさ。明かりがいっぱい入ってきて、なんだか時間も和やかで。鎌倉だからなのか、お客さんも、どこか優しげな人が多かったよ。時間帯のせいかもしれんけど。

 オススメです。「らーめんHANABI」。また食べに行きたいなあ。鎌倉だけど。(笑)


◆らーめんHANABI
http://www.ramen-hanabi.com/


 そんなこんなで、我々は鎌倉を後にしたのであった。

 いや、いいとこでした鎌倉! 観光スポットも多いし、どことなく瀟洒! 次回はぜひ、伊豆あたりで一泊して、また散策したいものです。か着きれなかったけど、その他にも焼きたてせんべいやジェラートなど魅力満載で、俺この辺に住んでたら1年で糖尿病になる、とけっこう本気で思った。

 あと、余談だが、鎌倉土産に志野オススメの「小鳩豆楽」とゆーお菓子を買った。鳩サブレで有名な豊島屋のお菓子で、鳩をかたどった豆粉の落雁なんだが、これが味といい歯ごたえといい、超好みで、確かに美味しかった。が、家に置いてたら、おかんに1日で食われて、一個しか食えなかった。俺は泣いた。完。  


2010年01月14日

鎌倉ストラッド。その1


 リアル脱出ゲームの翌日、志野が「ちょっと行きたいカフェがある」とゆーので、我々は鎌倉探索の旅に出た。

 思えば、リアル探索ゲームの言い出しっぺも志野であった。そして、翌日の予定まで奴の意見を取り入れてあげるとは、我ながら、なんといい奴なのであろうか! 決して自分の方に予定もネタもなかったからでは、ちょっとしか無い! 深読みしないように!!

 横浜からJR東海道本線を乗り継ぎ、戸塚で乗換え、鎌倉駅へ。そこから江ノ電に乗り込み、たった2両の車両に揺られること一駅で、我々は和田塚駅に着いた。目指すカフェは、そこから歩いて数分の所にあった。そのカフェの名は、「SONGBOOKCafé」といった。





 SONGBOOKCafé!

 それは絵本作家の中川ひろたかさんが営んでおられるという、とってもキュートなカフェである。白を基調にした明るい店内で、まず目に付くのは壁に飾られた絵本作家さんたちによる直筆のイラストと、ぐるりと部屋を取り囲む本棚。





 むろん、「カフェ」を名乗る以上、飲み物と甘い物も取りそろえられている。それは、素材にこだわった、体と心に優しい品々である。





 それらを楽しみつつ、この本棚に並べられた、中川さんがお選びになったのだろう、児童書の良作を、中央に置かれた大きなテーブルに広げ、ヤコブセンのアントチェアに腰掛けながら、親子でじっくりと選べるという趣向なのである。


http://www.songbookcafe.com/cafe/index.php


 子供もいない、おっさん二人連れ。このステキなカフェに、これ以上ないくらい似合わないとゆーか、なんか誤解されて通報されそーなコンビである。それがなんでここに来たかとゆーと実は志野は寺の関係で保育園の園長をやっていて、ここのお店の方とおつきあいが――ってフオオオオオ!?

「どうしたMAD!?」
「あ、あの『横浜国大附属小学校司書スズキ先生の「子どもの時に読んでおきたい」童話50選』とそのコーナーを見ろ!?」
「あ?」
「なんと素晴らしいラインナップか! 角野栄子さんの『ズボン船長さんの話』だと!? 鈴木浩彦さんの『グランパ・シリーズ』と並び、俺を“ホラ吹きジジイ”萌えにさせた超名作ではないか! 『グランパ・シリーズ』と言えば宇宙将棋だったか囲碁だったかをする話とか大好きだったなあ!――ってふんぎゃらはあ!?」
「なんだよ!?」
「岡田淳さんの『二分間の冒険』! 我が人生4大名作の一つではないか! それにミヒャエル・エンデの『モモ』C・S・ルイス『ライオンと魔女』アン・フィリパ・ピアス『トムは真夜中の庭で』だと!? く、まさに鉄板のジェット・ストリーム・アタック! 俺としては『モモ』よりも『はてしない物語』を推したい気がするが!――て、のっちょりぷそーん!?」
「それ驚きの擬音?」
「『大どろぼうホッツェンプロッツ』だと!? く、まさかここでその名に出会おうとは! スズキ先生とやら、グッジョブだ! ホッツェンプロッツに出てくるウィンナーのおいしそうさは無敵!」
「はあ」
「くう、なんというシンパシーを感じる50選! 俺的にはルパンは南洋一郎訳、あとトールキンの『ホビットの冒険』や舟崎克彦さんの『ぽっぺん先生』シリーズも入れたいとこだな! 『ズッコケ三人組』シリーズは、どうせ本好きのガキはみんな読むからいいだろ。でも、『あやうしズッコケ探険隊』は入れておきたいな!」
「へえ」
「佐藤さとるさんの『だれも知らない小さな国』は100年の歳月も超えるであろう金字塔さ! あと俺50選を作るなら、マージェリー・シャープ『ミス・ビアンカシリーズ』とわたりむつこさんの『はなはなみんみ物語』シリーズ、E・W・ヒルディック『こちらマガーグ探偵団』、それになにより芝田勝茂さんの『ドーム郡物語』は外せないな! あ、できたら旧版和田慎二さんの挿絵版でお願いします! 再版のももちろんすごくいいんだけど、小学校以来で思い入れが半端ないんです!」
「ふーん」
「なんだてめえその態度は! 歯ァ食いしばれェい!」
「うぺらきゃあ!?」

 みたいなやりとりがあったり無かったりしたあと、我々はお店を出た。ああ、テンション上がった! 超楽しかった! 続く!