2010年02月21日

【ネタバレ有り】キャラメル「南十字星駅で」を見てきたよ!




 大阪サンケイホールブリーゼまで、俺の愛してやまない劇団「演劇集団キャラメルボックス」の芝居、「南十字星(サザンクロス)駅で」を見に行ってきたよ!

 サザンクロスっつーても、超時空騎団や南斗聖拳の使い手は出てこない。これはキャラメルがここ数年公演してきた、梶尾真治氏原作の連作短編「クロノス・ジョウンター」シリーズの完結編とも言うべき物語である。――って、当たり前ですかそうですか。


 ストーリーは例によって簡単。


━『南十字星(サザンクロス)駅で』━

2051年3月、野方耕一は57年前へ飛ぶ。
57年前に事故で亡くなった、萩塚敏也を救うために。

元エンジニア・野方耕市(のがたこういち)は、79歳。ある日、熊本の科幻博物館から、収蔵品の修理を依頼される。それは、43年前に自分が開発した、クロノス・ジョウンターだった。修理するうち、野方の脳裏に青年時代の記憶が蘇る。大学4年の夏、野方は親友を失った。名前は萩塚敏也(はぎづかとしや)。萩塚は屋久島で沢登りしている最中、鉄砲水に流されて亡くなったのだ。萩塚に屋久島行きを勧めたのは、野方だった……。萩塚と最後に会った日に、もう一度行こう。野方はクロノス・ジョウンターに乗り込み、57年前の過去へと飛ぶ。

[出演]西川浩幸/坂口理恵/岡内美喜子/畑中智行/三浦剛/左東広之/渡邊安理/多田直人/原田樹里

ぴあの紹介ページより)



 以下、ネタバレ有りまくりの感想。


 うん、面白かった。

 さすがはキャラメル。西川さんをはじめとする役者陣の安定した演技と演出はさすがだし、話も堅い。脚本の成井豊さんも解説で書いておられたが、今回の話は、まさに「クロノス」シリーズの総括と言える作品だったろう。

 クロノス・ジョウンターの制作者として、第1作の「クロノス」の時から、一貫して皆を止める立場だった野方耕一。

 その彼が、ついに本作でクロノス・ジョウンターに乗り込み、過去を変えようとする。「クロノス」の吹原和彦や、「ミス・ダンデライオン」の鈴谷樹里など、多くの者達が思いを込めて旅立つ姿を「見送る」立場だった野方が、自ら旅立つ立場に――彼らと同じ思いを共有する存在となったのだ。

 戻った過去で、老いた身体に苦しみながらも、なんとか目的を果たす野方。

 そして、現代に帰った彼は、クロノス・ジョウンターに最後の改造を施す。十数年後に現れるであろう、第1作「クロノス」の主人公吹原和彦に、その思いを叶えさせるための改造を。

 かくして物語は第1作「クロノス」へと、また帰っていく。「大切な人を救いたい」。変わらぬその思いを乗せて。


 あー、エエ話であり、いいシリーズでしたわ~。


 今回の話にだけ限れば、ちょっと盛り上がりに欠けた感はあった。「きみがいた時間 ぼくのいく時間」の時も思ったけど、初期三篇と比べると、明らかに障害が少なく、やきもき感に欠ける。

 自分としてはその分、出来れば、彼が護ろうとしたもの、そして護ったものがどれだけはかなく、かけがえのないものであったかという描写を入れて欲しかった。

 「青春時代が夢なんて 後からほのぼの思うもの」。年を経るだに、この歌の文句が胸に迫る。

 今回野方が助けたいと願った親友萩塚と、高校や大学時代にどんな風に過ごし、親友となったかって話や、初恋の相手珠貴に心惹かれるキッカケとなったエピソード、そして彼が救った萩塚と珠貴が、その後「南十字星の下で」どんな人生を過ごしたか、など、そういう描写があれば、野方への感情移入も増し、そして、それを護れたのだということが判明したときのカタルシスも増したと思うのだが……。

  まあぶっちゃけ、俺が「過去を振り返るお年寄りモノ」が好きで、超弱い、というのだけなんだけどなっ。

 タイムパラドックスにたいする説明も放り投げて、あっさり記憶を残したまま、萩塚と珠貴が生きている未来に帰ってきたというのも、違和感を感じたなあ。

 ハーフタイム・シアターという、時間的制約のある1時間の小編なので、全部の説明は出来なかったろうし、細かい描写も難しかったんだろうとは理解してるし、仕方ないとは思っているんですけどね。


 それにしても、この物語をとりまく現実もまた、この物語にふさわしい。


 5年前、キャラメルボックス設立20周年記念作品として幕を開けたこのシリーズが、設立25周年記念作品として今、完結したこと。

 そしてなにより、今回の芝居「南十字星駅で」自体が、原作者の梶尾真治氏が芝居をご覧になったさい、脚本家成井豊さんが付け加えた「野方耕一が手放さない、かつて片思いをしていた女性のシャープペンシル」にインスピレーションを得て、書き下ろした作品だということ。

 物語の主人公達が過去へ飛び、その真摯な思いで大事な人たちを取り戻し、新たな未来を形作ったように、キャラメルボックスの芝居が梶尾真治氏の心を揺さぶり、新たな物語を導いたのだ。

 人の思いが、また別の人の心を揺らし、ちょっと素敵な「なにか」を運んでくる。

 ああ、そうですよ。

 うん。

 キャラメルを見に行くたびに、俺の心にも生まれてくるそんな「なにか」。

 それを受け取るために、俺もキャラメルの芝居に足を運んでいたんだった。

 俺が今までキャラメルからもらい、ささやかながら、周りにもお裾分けしたいと思うもの。

 例えるなら、春の日の木漏れ日のような。

 そんなものを再確認させてくれるような、お芝居でした。


 あー、しかし、こうなるとやっぱ『ミス・ダンデライオン』も見とけば良かったって思うなあ! 再演だし、2作とも見ると8,000円かかっちゃうので、ちょいとお財布に厳しい。そう思って今回はパスしたんだけど、やっぱり1作見ると、見たくなるんだよなあ。

 しかも、『ミス・ダンデライオン』、ここ10年のキャラメル作品の中でも、1番のお気に入りだし。

 一度見た作品は、二度と見返さないタイプの俺が、DVD買っちゃうほどのお気に入りだし。

 うおおおおー!!!! やっぱり見ておけば良かったー! 12時間ほど前の俺のバカー! なんでそんなこと考えちゃったんだー!


 野 方 さ ん ク ロ ノ ス ・ ジ ョ ウ ン タ ー 貸 し て く だ さ い 。  


Posted by MAD at 04:05Comments(0)観劇録。

2009年06月04日

五右衛門ロック!




 ※劇団新感線の芝居『五右衛門ロック』のネタバレ有り。  続きを読む


Posted by MAD at 00:53Comments(0)観劇録。

2009年02月20日

【感想】すべての風景の中にあなたがいます。


 今日は大学の友人Mと、大阪のサンケイホールブリーゼまで行って、俺の愛してやまない劇団「演劇集団キャラメルボックス」の芝居を見てきましたよ!

 今回は「ハーフタイムシアター」と銘打たれたキャラメルの独自企画、一日に短編二つを上演するという趣向であったため、演目は二つ。それも、新旧実力派作家二人の作品を原作にすると言う、非常に意欲的な舞台である。

 一つは日本SF界を代表する叙情派作家「梶尾真治」氏の手になる『すべての風景の中にあなたがいます』。

 そしてもう一つは、推理小説から青春小説、ヤングアダルト、サスペンスにいたるまで幅広い作品を物し、ゾーリンゲンの刃を思わせる、硬質で鋭く、されどどことなく艶やかな作風で絶大な支持を受ける「恩田陸」氏の『光の帝国』である。


 梶尾真治氏と恩田陸氏!


 なんとすばらしい組み合わせであろうか! まず梶尾真治氏。ここ最近キャラメルボックスは氏の連作『クロノス・ジョウンターの伝説』を元にした芝居を、立て続けに上演してくれていたのだが、どれも良い作品だった。中でもその内の一作『ミス・ダンデライオン』は「これだ! 俺がキャラメルに求めてるのはこれなんだよぅ!!!」と、久方ぶりに俺を随喜の涙でおぼれさせてくれた傑作であった。その梶尾真治氏の作品がまた!!!

 一方、恩田陸氏。こちらは新潮社ファンタジーノベルシリーズとして刊行されたデビュー作『六番目の小夜子』を読んで以来、ずっと、「作家として」追いかけていた方であった。しかも、『光の帝国』はとても好きな短編集なのである。さらに、都合のいいことに、同作品を読んだのはもう5年は前。ということは、若年性アルツと名高いマイ脳みそが、ちょうど話を忘れている頃なのだ! いやっほぅ! バカ万歳! ダメな脳みそでアリガトー!!

 しかし、今回は大阪公演が4日しかない! 勇躍俺は予約をしたね! 久しぶりに先行予約なんぞ申し込んで! そして見事、席は取れたのだ! あとは見るだけですようははははー!!!!


「あー、奇怪な雄叫びを上げてるとこ悪いが、MAD君」
「なんスか係長?」
「19日、退職するA君の送別会なんでよろしくな」
「ハァッ!?」


 送別会は8時半から。キャラメルの芝居は『すべての風景の中にあなたがいます』が6時半開演。『光の帝国』が、8時半開演。


 ムリだ、見れない。orz


 しかし、送別会をブッチするなど、人としてあるまじき所行。結婚式と葬式なら、葬式を優先しろという言葉もあるではないか! 祝祭はまた出会えるかもしれないが、別れはハイ、それま~で~よ♪なのである。さよならは別れの言葉じゃなくて 再び会うまでの遠い約束という歌もあるが、だいたい遠すぎてその約束は果たされないものなのだ。

 ――あ、でも、いつもハーフタイムシアター1時間上演だし、先の分だけは見れんじゃね!? ンで、終わってすぐ帰れば間に合うんじゃね!? そうだ! そうに決まった! 俺がそう決めたぁぁぁ!!!!


「――と、送別会に遅刻したのはそういうワケなんですよ。刑事さん。もとい係長」
「死刑」



 以下、ネタバレを挟みつつ感想。


『すべての風景の中にあなたがいます』

■原作

梶尾真治『未来(あした)のおもいで』
(光文社文庫刊)


■脚本・演出

成井豊+真柴あずき


■CAST

岡田達也
温井摩耶
岡田さつき
細見大輔
左東広之
多田直人
久保田晶子
稲野杏那


■ストーリー

4月、イラストレーターの滝水浩一は、熊本と宮崎の県境にある、白鳥山に登った。山頂近くで、突然の雨。上から駆け下りてきた女性とともに、洞窟に飛び込む。女性は、滝水がいれたコーヒーを飲むと、また雨の中へと去っていった。一冊の手帳を残して。手帳の最後のページには「藤枝沙穂流」と書いてあった。数日後、滝水は手帳を届けるため、沙穂流の家を訪ねる。ところが、その家に住んでいたのは、「藤枝詩波流」。よく似た名前だが、沙穂流とは全くの別人だった。はたして、沙穂流はどこに?

以上、公式HPより。


 クロノス・ジョウンター・シリーズと同じく、「別の時代に生き、それを超えようとする恋人達」のお話。ジャック・フィニィの佳編「愛の手紙」のように、二人が出会った洞窟に置かれた「鉄箱」に納めた手紙を通して交流を図る様など、胸が熱くなりました。岡田さんは本当に、こういう「真摯な夢見人」を演じさせるとうまいなあ。言葉がド直球ストレートに、胸を貫いてくれる。


 いいお話でした。


 ただなあ! なんか! なんかこう、弾けきってくれないんですよ! 胸の感動メーターが、振り切れてくれないんですよ!

 ハーフタイムシアターという時間制限のせいか、描写がですね、「足りない」感じがするんですよ!

 例えば、沙穂流が若い頃に亡くなったというご両親の話。滝水はそれを止めようとするんですが、失敗する。でも、なんで失敗したか、理由語られないんですよね。描写もないんですよね。

 例えばそこで、滝水が止めようとしたのを振り切って出かけちゃうとか、言うこと聞いて別の場所にいたんだけど、別の事故に巻き込まれて、とかいう描写があったら、この作品の最大の難関である「歴史は変えられない。滝水も死に、二人は二度と出会えない」という“歴史”の非情さや困難、そしてそれを打ち破ったときのカタルシスも増したと思うんですが。

 最後の遭難シーンもなあ。滝水と沙穂流のシーンをカットバックしていくとか、滝水の「沙穂流に逢いたい!!!」という思いを入れてくれるとかして「滝水ー! 死ぬな滝水ー!!」という思いを抱かせてくれたらすげえ盛り上がったと思うんですが。原作が、ああいう感じなのかな? 文章だと確かに、すごくキレイな描写になりそうな展開だったし。

 あー、やっぱり2時間のフルで見たいよなあ!!! あんなにいい作品なのに! 役者さんだって、あんなにすてきな芝居をしてくれてるのに! もったいねええええええ!!!!

 くそう、きっと『光の帝国』もいい芝居だったんだろうなあ! 見たかったぜコンチクショー! 誰かー! 俺の歴史も変えてー!!!!  


Posted by MAD at 04:28Comments(0)観劇録。

2008年11月17日

11月15日(土)晴れ。 2/3


【前回までのあらすじ】

『時に西暦200X年11月15日。主人公“always sleepy(常に眠たきもの)”MADは、追い求めていた「伝説の名探偵」の部屋があるという噂を聞きつけ、神戸へと降り立った。向かうは異人街。かつて“鬼”とも呼ばれ、恐れられた異人達を封じ込め、日本の中の異界“居留地”として隔離したという治外法権の街である。


「・・・水先案内人はお前か」
「ああ。さあ行こうぜうぇ~っぷ!!」


 案内人である旧友“drunken samurai(酔いどれ剣士)”友人Mに連れられ赴いた魔窟「英國館」。だが、その扉はただでは開かなかった。


「さあ、あの屋敷に奴の部屋があるのは分かっている! 入れてもらおうか!」
「ケーッケッケッケ、あの家に入りたいなら、このババアからチケットを買うんだねえ」
「クソ、足下見やがって! いくらだ!?」
「700円さあ。でも、お得な3枚つづりがオススメだよケーッケッケッケ!!」


 そして、魔窟へと乗り込む二人。しかし、その部屋に名探偵の姿はなかった。


「・・・もぬけの殻か、うぇ~っぷ」
「いや、この部屋の乱雑振り、まだ遠くへは行ってないはずだ。捜せ!」


 二人が次に飛び込んだのは、「洋館長屋」。かつて異人達を押し込めた、狭く暗き迷宮である。


「洋館と言うより、むしろ“妖館”だな」
「吐き気が増してきたぜ、オェ。・・・出口はここだな。てぃやっ!!」


 そして首尾良く迷宮を突破した二人がたどりついたのが「ベンの家」であった。数ある“異人”の中にあって、同胞からも畏怖された男“Max's rifle(魔弾の射手)”ベン・アリソン。一丁の単発銃を武器としたこの“彷徨える英國人”の前には、空を制した大鷲も、地を支配した大虎も敵し得ず、ただ一撃の下に葬り去られたという。

 その最強の戦士の館に足を踏み入れた二人は、驚愕の表情を浮かべた。


「く、友人M、これは!?」
「ああ。――囲まれているな」


 翼長3mは凌ごうかという怪鳥ハクトウワシに、猛々しい瞳を向ける白き魔狼。巨大な角を構え冷徹な瞳で睥睨するオリックスに、小馬鹿にしたような冷笑を浮かべる山猫。そして彼らの後には、2.5mを越える巨躯を誇る、地上最大最強の肉食獣北極熊が屹立していた。


「なるほどここは“屍獣の館”というわけだ」
「またまた、すぐには出られそうにないな。――オェップ」


 二人は一瞬視線を交差させニヤリと笑うと、群がる屍獣の群れめがけ、一気に間合いを詰めるのであった。』



 う ん 、 嘘 は 言 っ て い な い 。



 まあ、そんなこんなで我々は、次の目的地神戸オリエンタル劇場へと向かったわけなんですよ! そこでは本日、俺が愛してやまない演劇集団キャラメルボックスの芝居『君の心臓の鼓動が聞こえる場所』が公演されることになっているのだ!





 ただ、さすが人気劇団とあってチケットは完売。ただ補助席を使った当日券があるというので、それを目当てに訪れたワケなのである。

 12時ごろたどり着いたが、本日は夜公演もあるとあって、列は6人程度と大したことはなかった。折りたたみ式の椅子を借り、列に並ぶ。チケットの販売は1時からだ。さすがにこのあたりで体力も限界。俺と友人Mは、ここでしばしの仮眠を取った。すさまじい勢いで時間が吹っ飛び、目を閉じたと思ったら、もうチケット販売。1時間が10分のようだった。

 なんとか、一階中央最後部補助席という、まあまあの場所を確保し、我々はワクワクテカテカしながら、劇場へと足を踏み入れた。さあ、久々のキャラメルですよ! テンション上がるぜ! 楽しみだうっひょー!(≧▽≦)

 今回は久々の看板座付作家成井豊さんの書き下ろし新作! ストーリーは以下の通りですよっ!


『テレビの脚本家・根室典彦は40歳を過ぎて、いまだ独身。実は大学を卒業してすぐに結婚したのだが、わずか6年で離婚。現在、妻と娘は札幌に住んでいる。クリスマスを間近に控えたある日、突然、娘のいぶきが訪ねてくる。別れた時、5歳だった娘は、19歳になっていた。いぶきは原稿用紙の束を差し出して言う。「私、小説家になりたいの。出版社の人、紹介して!」。人生最大のクリスマス・プレゼント、それは作家志望の家出娘だった……。』
公式HPより)


 突然訪れた娘の真意。忙しい中でのすれ違い。そんな中で、ふとした疑念が浮かび上がる。いぶきが持ち込んだ小説。どうもその小説の作者はいぶきではないようなのだ。

 離婚して以来13年振りに出会った娘。彼女は、本当に典彦の娘いぶきなのだろうか? 小説の作者は? そして、いぶきを名乗る少女の、本当の目的は――?

 全ての謎を乗せて、物語は聖夜、奇跡のエンディングを迎える――!!


 テーマは「家族愛」と言ったところでしょうか。キャラメルにしてはちょっと込み入った話でしたが、じんときました。

 キャラメルは家族連れや年配のお客さんも多く、今回も小学生から60代と見える上品なおばさまなど、様々なお客さんがいらっしゃったのですが、客席のあちこちからすすり泣く声が聞こえてきましたよ。独身の自分もジンとくるんですから、家族のある方はよけい胸に迫る芝居だったでしょうね。

 終わった後、友人Mと語ったもんですよ。


「周り泣いてたねー」
「泣いてたね!」
「家族っていいもんですね!」
「泣けるね!」
「俺たち孤独死必至だけどね!」
「別の意味で泣けるね!!」


 くそう、どっかで大逆転してやるからなあ!←20年前くらいから言ってます

 西川さんのあの爆笑ギャグが少なかったのは残念でしたが、いぶき役の黒川智花ちゃんも可愛くて声も出てて、とちりもなくて「やるなあ!」と思いましたね。

 それはともかく。

 またテンション上がらせてくれたのが、次回公演のお知らせですよ! 次回春公演は、1時間の短編2本建ての「ハーフタイムシアター」。しかもその演目が!!


梶尾真治原作『すべての風景の中にあなたがいます』

恩田陸原作『光の帝国』


 うおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!(天に拳を突き上げながら)

 俺を随喜の涙でぐちょぐちょにさせ、「一度見た作品は二度見ない」俺にDVDを買わせたキャラメルボックスの超傑作『ミス・ダンデライオン』の原作者梶尾真治氏と、デビュー作『六番目の小夜子』以来、ずっと追い続けてきた(でも書くの早すぎで振り落とされた)恩田陸さんの二本立て!? マジッスか!? 夢ッスか!?

 こいつぁ見ずに死ねないぜ! わっふー!(≧▽≦) ――って、あれ?


大阪公演:2・19→22 サンケイホールプリーゼ


 公 演 た っ た 3 日 か よ 。


 東京じゃ24日間もやるのに!? ちょ!?

 そんなわけで、ファンクラブ入るか、東京まで見に行くか真剣に検討中です。けっこう本気です。


 続く!  


Posted by MAD at 21:34Comments(0)観劇録。

2008年06月16日

メタル・マクベス。




 写真は今日の晩飯、梅田ヨドバシカメラの上にある京風パスタ屋「先斗町入る」で食ったパスタ。大変おいしかったが、全体的に薄味だったので、ミートソースやクリーム等、味の濃いめのやつをセレクトした方がいいかも。




 今日は梅田のブルク7まで、ゲキ×シネという、「録画した演劇の映像を映画館で流す」ってやつに行ってきた。演目は「メタル・マクベス」

 シェークスピアの四大悲劇の一つ、「マクベス」を下敷きに、人気脚本家宮藤官九郎が脚本化した作品である。

 あらすじは以下。


「時は2206年。

繰り返される戦争によって世界はリセットされ、瓦礫の荒野と化していた。そこには、未来を占う魔女が3人……

日々戦いは繰り返され、絶大な勢力を誇るレスポール王率いるESP軍が、将軍ランダムスター(マクベス)指揮のもと、他の軍を次々と征していた。
そこへ、3人の魔女が現れ、ランダムスターに「ランダムスターこそが未来の国王である」との予言を告げ、1枚のCDを渡す。

それは、1980年代に活躍したへヴィメタルバンド「メタル マクベス」の伝説のCD。歌詞に込められた意味が殺人予告となっており、「メタル マクベス」バンドの人間模様がランダムスターの国王となる道につながる予言となっていた。

やがて夫が国王となる予言を知ったランダムスター夫人は、予言を現実のものとすべく夫をそそのかし、レスポール王の息子レスポールJr.を犯人に仕立て、王を殺すという計画殺人を企てる。

レスポール王から手柄として与えられた領地マホガニー城で、その計画は実行される。ランダムスター夫妻は、ESP軍の勝利を祝う宴を開き、王とその息子、そして友人たちとの喜びの祝宴が幕を閉じた時、事件の幕は切って落とされた。

ためらうランダムスターをけしかける夫人。そして計画は成功し、王を殺した犯人に仕立て上げられたレスポールJr.は、城から逃げ出した。

王を永遠の眠りに導いたことで罪の意識に苛まれ、自分たちの永遠の眠りが奪われてしまったランダムスター夫妻。それでも王となる野心に向かって、突き進んでいく……」

というお話。(e+の特集ページより)


 で、感想なんですが。

 うーん、正直今までの「ゲキ×シネ」作品と比べると、あまり楽しみきれなかったです。

 役者と演出は素晴らしかった。

 主人公のランダムスター役の内野聖陽さんは言うに及ばず、ずば抜けた存在感と腹に響く声の上條恒彦さんに、いかついのに、目が異様にクリクリしてて可愛い橋本じゅん。作中の冗談のようなパロディ演歌を見事に歌い上げ、またシリアスな場面でもキッチリ存在感を見せた森山未來に、安定した職人技を見せる粟根まこと、高田聖子。役者陣の演技力は流石の一言。

 長セリフもとちらず忘れず、動き回っても割れない声量に、キレのある動きと華のある見栄。基本であり、最も難しい部分であるそこをここまで完璧に実現されると、ただ脱帽するより他にない。

 その役者陣の中でも、ひときわ輝いていたと思えるのが、ヒロイン役の松たか子嬢だ。権力欲に燃え、ランダムスターを焚きつける悪女としての前半と、ランダムスターの狂気に押しつぶされ、自らも狂気に陥る後半の演技はどちらも素晴らしく、まさしく見入ってしまいました。松たか子って、こんなにいい役者さんだったのか! マジでときめいたぜ。

 演出もすごい。今回は、俯瞰が多く「演劇を近い席から見ているような」臨場感を得られた今までのゲキ×シネと違い、アップシーンが多く、普通のTVや映画のような編集がなされていたせいで演出があまり見れなかったが、それでも作中で歌われる歌の歌詞をスクリーンに投影する時、曲調に合わせてやり方を変えたり、網目に画像を投射し、多層的な場面を作り出すなど、おお!と思わされる演出が随所にあった。


 では、なにがそんなに不満だったかというと、やはり宮藤官九郎氏による脚本だ。


 わざわざ登場人物をギターメーカーの名前にする意味も分からないし、過去のヘヴィメタバンドの話と重ねて、物語を二重構造にする意図も分からない。しかも原作に沿ったキャラクター造形なのか、マクベスことランダムスターが感情移入しにくい相手なんだ。主君を殺した罪の呵責でドンドン頭がおかしくなっていくんだけど、それが急すぎるし、なんだか心に響かない。おなじ悪でも、「朧の森~」のライほど徹底し、またそこから起きる全てを引き受ける覚悟をした、「悪党」なら感情移入もできたんだけど。

 あれなら、過去か未来のどちらかに話を絞り、2時間もので、「傑出した武勇を誇りながら、自らの罪に恐れおののき自滅していくランダムスターとその妻、それに対抗する反乱軍達」という話にした方が、ありがちだけど、締まった話になったんじゃないかなあ。

 小ネタとかは面白かったんですけどね。


 おなじゲキ×シネでも、「髑髏城の七人」はアカ・アオともに超超超傑作、「朧の森に棲む鬼」は超傑作だったんで、だいぶ評価が辛くなってしまいました。ですが、ゲキ×シネには本当に期待してるので、これからもいい作品を届けていただきたいです。実際のお芝居見に行くよりお値段も安く、チケットも普通に取れるので、演劇未経験の人も誘いやすいし、薦めやすいですしね。

 で、ハマってくれると、一緒に行ったり、感想で盛り上がれる相手も増えるしね! ただでさえ友達少ないのに、演劇見てる奴はもっと少ないんじゃー!! 増えて欲しいんじゃー!! でも、チケット取れなくなると困るんで、俺が行く日は混むなよ!(本音)


 今度行く『五右衛門ROCK』は当たりだといいなあ。S席取ったんだし、頼むぜおい! 間違えてだけど!  


Posted by MAD at 01:51Comments(3)観劇録。