2009年06月09日
リターン・オブ・東北。たぶん6話くらい。

俺が泊まったのは、同じく乳頭温泉郷にある「黒湯温泉」という宿だった。古き湯治場の風情を今に残す、ひなびた湯宿である。乳頭温泉郷では鶴の湯に次ぐ歴史を誇り、「上の湯」「下の湯」の二つの温泉を有し、高い人気を誇っている。

ご飯がいかにも昔ながらの温泉料理だったのが、ちと残念だったが、温泉の風情は抜群。中でも「上の湯」の杉皮葺きの露天は、なんだか自分が遙か江戸の昔にまでタイムスリップしたかのような雰囲気を、味あわせてくれた。

湯小屋になった下の湯もまた、楽しい。浸かっていたら、おそらく宿の人らしきおいちゃんに声をかけられ、話が弾んでしまうなど、思わぬ楽しい時間を過ごせました。ああ、いいなあ。温泉に来たなあ。
ただ、やはり一人だと手持ちぶさたになるモノで。
持ってきた本も読み終わってしまったし、向こうの様子を聞こうにも、ケータイは圏外だ。部屋にTVもない。ラジオもねえ。車もそれほど走ってねえ。さすが乳頭温泉郷。秘湯の名は伊達じゃねーぜ。
仕方ない。俺は荷物を漁るとiPod touchを取り出した。適当に動画でも見るか。

しばらくまんじゅうを食いながら、iPodでアメトークを見ていたが、なんだか自分がとても可哀想な生き物な気がしてきたので、やめた。
寝るか。
俺は部屋の明かりを消すと、ごろりと横になった。ふと、窓の外を見る。そこには、皓々とした満月が輝いていた。

ああ、いいな、と俺は思った。あの満月を見ながら、風呂に入るってどうだろう? タイムスリップした気分を味あわせてくれた、上の湯に。うん、いいな。それで、ぴったりな曲を聴きながら、ボーッとあの月を見てるんだ。それは、きっと素敵な時間に違いない。
どんな曲が似合うかな。俺は、くりりとiPodのプレイリストを流した。Moon River? Fly me to the moon? 今宵の月のように? 月さえも眠る夜?
……いや、これだな。俺はある曲を見つけると、ポチッと、再生ボタンを押した。イヤホンの向こうから、うわずったような、寝ぼけたような、優しい声が流れ出す。斉藤和義の「月影」だった。
♪今夜夢のバスに揺られている 街はまだ眠る
♪晴れた夜に輝く月 どこまでもついてくる
俺は月を見上げた。風呂には誰か入っているようだった。もうちょっとしたら、入りに行こうかな。俺はそう思った。iPodはビニール袋に包んでおけば平気だろうか。しまったな、と思う。G'z Oneに入れておけば、防水だからマシだったのに。――いや。俺はあることに思い至って、くつくつ笑う。
イヤホンつけるなら一緒か。そこからお湯がしみちまう。
♪十年前にもしもちょっと行けるのなら 何をしようかな
♪あの懐かしい 街に出かけ 月の影をめざして
みんな、今頃どうしてるだろう。そんなことをふと思った。
きっと、宴会でも開いているのだろう。囲炉裏であぶった魚をアテに、手土産の酒をあおりながら、バカ話は夜まで続く。そんな風に過ごしていてくれるなら最高だ。目を閉じて、俺は思う。
♪気がつけば ほら、あの時の匂いがする
♪見覚えのある 石を蹴飛ばして夢見てる少年
「十年一昔」といい、「十年一日」という。きっと、それはどちらも真実なのだろう。歳月は必ず過ぎ行く。けれど「一昔」に変わってしまうものもあれば、「一日」程度しか変わらぬものもある。
たぶん、鶴の湯の宴会場では、あの時と変わらぬ時間が流れているだろう。10数年前、たまり場になっていた、生臭坊主の家で過ごしたのと同じ時間が。そして、あの頃より皺の増えた顔に、変わらぬ笑顔を浮かべているに違いない。
(翌日聞かされたが、状況は想像通りだったらしい。炙った魚のひれ酒など楽しみつつ、風呂で、部屋で、囲炉裏端で。人を変え場所を変えつまみを変え、バカ話は尽きせず続いたのだそうな。そして部屋ではBGMがわりに、『疾風!アイアンリーガー』のDVDが流されていた。それは、あの頃、俺たちが愛した作品だった)
♪晴れた夜には誰の後ろにも 月はついてくる
♪変わったもの 変わらないもの すべては胸の中に
そんなことを考えているうちに、俺はいつしか眠りに落ちていた。
その晩、俺は夢を見た。詳しい内容は差し込んだ朝の光に溶けて消えてしまったが、それはとても懐かしく、幸せな夢だったことを覚えている。
(続く)
2009年06月08日
リターン・オブ・東北。たぶん5話くらい。
さて。酒蔵を出て、次に向かったのはうどん作りである。
秋田といえば日本三大うどんの一角、稲庭うどんの産地である! そりゃあ食うさ! 作れるなら作るさ!
今回申し込んだのは、稲庭うどんの老舗「佐藤養助本店」の「稲庭うどん手造り体験工房」(要予約、700円)であった。稲庭うどんのの代表的行程「綯(な)う」「つぶし」「のばし」が体験できる。
http://www.sato-yoske.co.jp/handmadestudio.htm
ちょっと遅刻しながら着いたお店で、我々は勇躍うどん作り体験に突入した!

金属棒に生地を巻き付け、引っ張ってうにょーんと伸ばす。そして、伸ばした棒の片側をひっかけて、下に向かって、引く! 引く! 引くぅぅぅ!!!!って、予想以上に延びるなこれええええ!!!!

なお、作ったうどんは最後に職人さんが手を加えて送ってくれる。(送料別途) 家で食ってもうまかった。
ちなみに、お昼ご飯は、ここでうどん食べました。うまうま。余談だが、酒蔵見学を終えたとき、案内してくださった酒蔵の方が「あそこおいしいよ」と教えてくださったのも、佐藤養助本店の、別のお店であった。地元で愛されてるお店っていいね。

ああ、満足。そして我々は、今日の宿泊地へと向かった。
ゴッ! ゴガガガガッ!!!
「ちょ!? MAD君、どこ行くの!? この道合ってるの!?」
「まかせときんしゃーい! うははははー!!!!」
そう高笑いしながら、車は未舗装の道を突っ走っていた。どー考えても対面通行不可の狭さだったり、水芭蕉の群生地があったり、ガードレール無かったりの超山道に、なんだか妙なハイテンションになる一行を見て、俺はほくそ笑んだ。まあ、確かに宿なんてなさそうな場所だわな。まだ「死体を埋めに行く」と言う方が信じられそうな山道である。
だがしかし、この奥に、名にし負う、伝説の温泉宿があるんだぜベイベ?
アクセルを踏み込み、最後の坂を越える。突如開けた光景を見て、次の瞬間、車内に「おおっ」とどよめきが走った。
まるで時代劇にでてくる、隠れ里のような光景。こここそが、今日一行の宿となる乳頭温泉郷「鶴の湯温泉」であった。

乳頭温泉郷「鶴の湯温泉」! 温泉好きで、ここを知らない者はモグリであろう!
乳白色のお湯をたたえた大露天風呂をはじめ、4つの源泉を有し、宿泊棟は乳頭温泉郷最古を誇る、築100年以上の茅葺き古民家! その中には囲炉裏があり、夜食ではそれを囲んで、名物の芋鍋を食うのである。これがまたなんと言うか、まんが日本むかし話の1シーンのようで、たまらんのだそうな。
それでいて、宿泊料は一泊2食付きで8、550円から。日本最強の秘境温泉と呼ばれる所以である。
http://www.tsurunoyu.com/
いわゆる「秘湯の宿」では珍しいことに、バス旅行も受け入れている。おかげでなかなか予約が取れない超人気宿なのだが、今回、たまたま偶然にも取れてしまったのである。なんたるラッキー。
さあみんな! 今宵一夜を満喫するといいよ!
ま あ 、 俺 だ け 別 の 宿 な ん で す け ど 。
最初参加者5名の予定だったので、3人部屋2つ押さえてたら、あれよあれよと人数増えて、気づけば7人になってたのである。で、追加しよーとしたら、満室でもう無理だった、と。こいつぁ傑作だ! あっはっはっは!
ここで、宿を変えようという意見もでた。
だがしかし!
さっきも言ったが、滅多に取れない名宿なのである! ぜひ泊まって欲しいのである! それに、幹事は言うなれば、TRPGのマスターと同じ。旅行を終えてからの「いやあ、楽しかったよ!」というのが最高のご褒美なのである。それが幹事の心意気なのである!
とゆーわけで。
「皆さんさよーならー! 明日9時半に迎えにくるから、首の根洗って待ってやがれコンチクショー!」(ブロロロロロー!!)
俺は一行に別れを告げると、一人別の宿へ向かった。
(続く)
2009年06月05日
リターン・オブ・東北。たぶん4話くらい。
去年の東北旅行記、続き。2日目。たぶん4話くらい。
翌日。レンタカーに乗って我々が向かったのは、銘酒「まんさくの花」で有名な東北の名酒蔵日の丸醸造様であった。
http://www.hinomaru-sake.com/
うちの先輩は飲んべぞろいである。中でも、日本酒好きが多い。「せっかく東北に行くなら、是非酒蔵見学を」という要望が出たのは、むしろ必然であった。
だが、これがなかなかの難題だった。調べてみて分かったのだが、繁忙期ではないこの季節、酒蔵は土日がお休みなのである。
観光客向けの、資料館を兼ねた蔵ならあった。これにするか? しかし、それで「蔵元見学」と言えるのか?
悩みつつ調査を続ける俺様。そのときだった。酒造組合のHPで、その名を見つけたのは。
「まんさくの花」 日の丸醸造。
その名は聞いたことがあった。アル添酒全盛の時代、いち早くそこからの脱皮を試み、質のよい酒の醸造に乗り出し、爾来酒好きから高い評価を得ている蔵元の一つである。
こういう蔵元を見学できるなら。
思わずクリックしたHPに、「千客万来」という、酒蔵見学受付の項目があった。普段は受け付けていないが、予約をすれば可能。その来客者の記録を読んでみる。――と。
!!!! 土日に蔵元見学してる写真がある! しかも、すごく暖かくて、いい感じだ! 俺は即電話をとった!
(Trrrr......ガチャ)「すいません、酒蔵見学をさせていただきたいんですが!」
「いいですよ。いつでしょう?」
「日曜なんですが!」
「あー、日曜は一応お休みなんですよ。どこからいらっしゃるんですか?」
「関西です!」
「か、関西!? え? 何人様くらい?」
「7人です!」
「な、7人!? あの酒販店の方か何かですか!?」
「いえ。 一 般 人 で す 。」
「……。ちょっとお待ちください。(ええ、そうです。はい。日曜に。ごにょごにょ)」
そして、しばらく受話器の向こうで言葉が交わされた後、その受付の女の人はいった。
「分かりました。どうぞお待ちしております」
日 の 丸 醸 造 さ ん 最 高 。
わざわざ休みの日に来て案内してくださるってよぅ! しかも、普段は使ってない旧蔵をわざわざ開けて案内してくださるってよう!
だが、この程度、日の丸醸造様の素晴らしさにとって、まだまだ序の口にすぎなかったのだと、我々は後で思い知るのである。
そして、当日朝。
「あああああ、すびばせぇぇぇん・・・。たどりつけないんでええええすぅぅぅぅ」
俺様は半泣きになっていらっしゃった。
カーナビがあるからいいや!とばかりに、地図を印刷せずにきたのである。したら、電話番号入れて出てきた先は、新工場だったのである。そりゃそうだ。誰が普段使ってない旧蔵の電話番号なんぞ連絡先に載せる。
電話で道を聞きながら、あっちいったりこっちいったりと、気分はカツレツキッカに案内されるアムロである。違いはアムロには帰れる場所があったが、俺はこれ以上不出来を重ねると、同行している先輩方に帰る場所どころか、命まで奪われそうなことだけだ。
「あ、目印見えた! あそこだ、あの角曲がれぇぇぇいいいい!!!」
「いやっほおおうううう!!!!」

なんとかたどり着いた日の丸醸造様旧酒蔵。さて車はどこに止めるんだろうかと見回していると、おやおや? さっき曲がった角にたたずんでらした、年輩の方がこっちに向かって歩いていらっしゃいますよ?
「MAD様ですね。いらっしゃいませ。車はそこに止めてください」
くくくく蔵の方でしたカー!? て、あれ? じゃあ、ひょっとして、我々が来るのずっと待っていてくださったんでしょうか!? あの角で、20分以上!? えええええ!? すみません! 生まれてきてすみません!!!!
「あはは。よろしいですよ。分かりにくいところですみません。ようこそいらっしゃいました」
一同平伏しつつ蔵にはいり。そして。
ご 案 内 は ご 丁 寧 を 極 め た 。

「こちらが精米をするところですね。米の種類はこんなのがあって、この機械でこれこれこう」
一同「ほほー」
「で、ここで蒸します。蒸した米はこの蒸籠に並べてうんぬんかんぬん」
一同「うひょー!」

「で、あちらが仕込み場ですね。できたらこのタンクに入れます」
一同「のっぴょろぴょー」

ご案内は1時間をゆうに超えた。
いやあ、めちゃめちゃ興味深い&おもしろい! 昔ながらの仕込みの行程を、本物を見ながら、リアルなエピソードまで聞いて! 笑ったり感心したり、すげえためになりました!
しかし、メモを取ったりしていなかったため、一年たつと聞いたことをぜんぜん覚えてない俺。最悪である。
「良かったら、こちらもどうぞ」
最後に、そう言われてご案内していただいたのは、屋敷に寄り添って建つ蔵であった。
江戸時代に建てられて放置されていたものを近年整備し、落語会や音楽会を開いたり、蔵祭りのさいに公開したりして、近年好評を得ているのだという。国の登録有形文化財。普段は締め切っているこの蔵を、わざわざ我々のために開けてくださるというのである。なんだかもう、申し訳ないを通り越して土下座したくなってきた。

「うおおおおおお!!!!!!」
開いた光景を見て、我々は歓声を上げた。かっこいい! しかもベンガラで、すごく大正ロマンな感じがたまりません! つか、あまりに素敵で、写真取り忘れた! いっぱい写真載せてるとこ見つけたので、この辺見せて頂くといいと思う!
http://harropage.blog39.fc2.com/blog-entry-666.html
「壁に柱が埋め込んであるでしょう? あれ、実はすごく贅沢なんです。一本の青森ヒバから取った一枚板を、人が通り抜けられないほどの間隔で埋め込んである。でもそれは外からは見えない」
「ほほー」
「そういうのが粋だったみたいですね。今じゃあとうてい作れない、豪勢で手の掛かった蔵だそうです」
「うはあ、江戸川乱歩とかで蔵に押し込められて、とか、座敷牢とかあるけど、これなら十分住めるねえ」
「 む し ろ 住 み た い で す 」
そして、観光を終えたら試飲会なのである。
「どうぞ、良かったら飲んでみてください」(ドン!)
「うひょー! 吟醸大吟醸! うめええええ!!!!」
「リンゴのお酒、めちゃめちゃ口当たりよくておいしいよ!? なんだこれ!?」
「あはぅん、たまんねええええ!!!!」
10種類以上いろいろ試飲させてもらい、満足した先輩方はなんかいろいろ家にお酒を送ってました。
「ええと、一応このあと、もう一軒観光蔵をルートに入れておりますが?」
「この感動を消したくないから行かない」
「ですよねー」
最後にお土産までいただき、しかも無料。
あ な た が 神 か 。
東北の人は、人がいい。そんな言葉では言い尽くせないほどのご案内を受け、我々は感激とともにその地を去った。
日の丸醸造最高。まんさくの花びゅりほー。
大満足をかみしめつつ、我々の旅は続くのであった。続く。
2008年10月08日
第二回東北侵攻 ~トド作戦~ 初日第二章「禁じられた遊び」
夕刻6時過ぎ。我々はなんとかガンダム・ショット・バー「ZION」へたどり着いた。今回の東北再訪で、俺が最も楽しみにしていたのがここである。
仙台にガンダム・バーがあると聞いたのは、前回の東北旅行が終わってからのことであった。ガンダムを題材にしたバー。そんな美味しいネタを見逃していたなんて! これはオタとして行かねばなるまい!
そして勇躍足を踏み入れたその場所には!

い き な り で っ か い ジ オ ラ マ 。
ナニゴトー!?
ドキドキしながら席に着くと、連邦の制服を着たおねいちゃんが注文を取りに来る。やたらお水っぽいおねいちゃんなのは、きっと隣でやってるガンダム・キャバクラと人員がかぶっているからであろう。いや、キャバクラかどうかは知らんが。
さて、なにを頼むか。とりあえずなにかお腹に入れたいなー、とメニューを見て、俺は爆笑した。


◎ギレン系
・3倍のスピードで食べろ!ピラフ
・シャアも大好きオムライス
・デラーズフリート決起集会で出た肉シュウマイ
◎キシリア系
・マクベのもやし炒め
・キシリアの家庭菜園で育てた野菜炒め
・ララァの手作り春巻
・ビグロの一夜干し
◎ガルマ系
・ハモンのもてなしチーズ盛り合わせ
・イセリナも大好きチョコレート盛り合わせ
・グフのヒートロッドパスタ
◎COCKTAIL
・ザク(カシスソーダ)
・グフ(カシスオレンジ)
・ドダイ(サイドカー)
◎お金持ち特別メニュー
・ドズルの水替わり(ドンペリ白)
・ギレンが愛した(ドンペリピンク)
なんじゃこりゃー!?(笑) うはあ、いいね! こーゆーの大好き! とりあえず「3倍のスピードで食べろ!ピラフ」と「グフのヒートロッドパスタ」ちょうだい!
そして、しばらくして出てきたものはと言いますと。


な ん だ こ の シ ュ ー ル な 光 景 。
しかも、結構な人数で行ったせいで、気づくと机の上は注文品でいっぱい。結果。↓

気 分 は も う 戦 争

机の上がガンプラで埋め尽くしですよ! とても飲み屋の景色とは思えん。イカスー!(≧∇≦)ノ彡 バンバン!
・・・でもこれ、衛生的には大丈夫なんでしょか?(笑)
ことほど左様に面白いメニューばっかりなんですが、できたら、メシはよそで食ってきた方がいいと思います。なぜってここ、「ショットバー」だから。つまり「ちびちびお酒を飲みつつ、グダグダしゃべる」のがメインの場所なんですね。
だから、ぶっちゃけた話、料理はたいして美味しくないですし、製造スピードも遅いです。俺等が頼んだ品も、出てくるまで30分以上かかったしね。
どこかでご飯を食べ、そして2軒目としてここに来て、プロジェクターで流されている劇場版ガンダムを見つつグダグダしゃべる、というのがここの正しい楽しみ方な気がします。スポーツ・バーのガンダム版ですな。
そんな奇妙なガンダム・バー「ZION」。ガンダム好きなら一度は行ってみていいのではないかと。2度はいいけど。姉妹店「連邦軍」もできたらしいしね!
それはいいんですが。その流されていた劇場版ガンダムを見てたら、あれれ? 右肩になんか文字らしきモノが見える。なんだアレ? なんて書いてあるんだ? うむむ?
BS2
録 画 か よ 。
ガンダム・バー名乗るなら、せめてDVD-BOXくらい買えー!? 音変わってて気持ち悪いって言うこだわりなら、LD-BOX揃えとけー!?
そんな俺の叫びをせに、仙台の夜は更けていくのであった。続く!
2008年10月07日
第二回東北侵攻 ~トド作戦~ 初日第一章「鷲は舞い降りた」

5月17日(土)。
その日、青葉城や伊達政宗公の廟所「瑞鳳殿」を周り、タン塩定食に舌鼓を売った後、我々はクリネックススタジアム宮城に向かった。東北楽天ゴールデンイーグルスと、埼玉西武ライオンズとの試合を見るためにである。
楽天の先発投手はドミンゴ、西武は帆足。帆足の立ち上がりの乱れを突いて楽天が先制の一点をあげるや、試合は息詰まる投手戦になった。
すげえ。俺はギュッと手を握り、ゴクリとツバを飲んだ。
試合は一時、突然の雨で中断はしたものの、熱気は冷めること無かった。8回、9回と連続で西武が加点し勝ち越しの体勢に入るが、その裏の回で楽天が取り返す。試合は延長戦へ入った。10回。11回。両雄一歩も譲らぬまま、試合は緊迫と混迷の度合いを深めていく。そして12回裏。草野のタイムリーヒットで、楽天が劇的な勝利を挙げた。
フー、と俺はため息をついた。ギュッと握った拳をほどく。すげえ。草野のヒーロー・インタビューを聞きながら、俺は思った。すげえ。
ち ゃ ん と プ ロ 野 球 に な っ て る 。
いやもー、おいちゃんビックリですわ! 思い起こせば前回見たのは3年前の4月でありました。相手は千葉ロッテマリーンズ。名将ボビー・バレンタインに率いられ、この年オリオンズ時代から数えて31年ぶり、千葉ロッテとしては初の日本一を果たすなど、乗りに乗っていた球団である。一方東北楽天ゴールデンイーグルスはまだ球団創設初年度で、選手は失礼ながら、近鉄バッファローズ消滅時に、引き取り手がなかった選手が大半で、“スター”と呼べるのは岩熊くらいしかいなかった。その戦力不足は顕著で、創設第二戦目にこのロッテに対し、0-26という、日本プロ野球史上「1試合最多失点完封負け」のタイ記録の、記録的大敗を被っていた。
この日も同じくロッテの猛攻を支えきれず、ただ一人のスター選手岩熊が炎上。2回で7失点。この2回ロッテの猛攻時が、本当につらくてねー。ひょっとして、あの記録的失点を越えるんじゃないだろうか、とあちこちでボソボソ言ってるという、非常に重苦しい雰囲気。おかげでストライクが一球入るたびに拍手が起こり、三振ともなれば、大喝采である。どこの少年野球だ。
しかもできたばかりとあって、応援が全然できあがってなくてねー! 1塁側と応援団の陣取る外野席で、鳴ってる応援歌が違うとゆー。しかも両方とも慣れてないから、「え? あれ? そっち鳴らすの? え? え?」みたいな感じで、いつの間にか両者演奏ストップ。一方で「Lotte is my Life」という横断幕を掲げ、一糸乱れぬ応援で盛り上げるロッテ応援団。一方で、7回の“ラッキーセブン”すらうまく応援を合わせられない楽天応援団。コレに対する楽天アナウンサーがすごかった。
「皆さん! 素晴らしい応援を見せて下さった千葉ロッテ応援団の皆さんに、盛大な拍手を!!」
そして、巻き起こる拍手! 「え? なに? どゆこと!?」と一瞬固まるロッテ応援団!! 隣で一緒に見ていた先輩のNさんがアゴをスッカーン!と地面まで落とした。
「ちょ!? よその応援に拍手て、そんなん見たことも聞いたこともねえぞ!?」
その後、ロッテ応援団がお礼返ししたんですけど、それが「お、応援したから返しただけだからね! 本当は、感謝なんかしてないんだからね!」みたいなツンデレ風味で、たいそう萌えました。
結局、その試合は4-12で楽天の完敗だったんですが、その帰路、行きかう人々が語る言葉に、先輩のNさんが再びアゴをスッカーン!と地面まで落としておりました。
「負けたけど、3回以降は勝ってたよねえ」
「ちょ!? ありえへんて! 負けたチームにそれって!? どこまで好意的やねん仙台の人たち!?」
ことほど左様に(色んな意味で)規格外だった東北楽天ゴールデンイーグルスさんなのですが、知将野村監督の手腕によるものか、それともさすがに4年目ともなると慣れたのか、応援もちゃんと揃い、試合も危なげなく、一球ごとに拍手も起こりませんでした。うん、なんだろう。ホッとしたけど、なんか寂しいこの気持ちは。
あと、Mr.カラスコ見れなかったのは残念だったなあ。唇噛み切るかと思った。(そこまで!?)
そんな甘酸っぱい気持ちを抱きつつ、我々は次の目的地、「ガンダム・バー」を目指したのであった。
(続く)