2008年11月17日

11月15日(土)晴れ。 2/3


【前回までのあらすじ】

『時に西暦200X年11月15日。主人公“always sleepy(常に眠たきもの)”MADは、追い求めていた「伝説の名探偵」の部屋があるという噂を聞きつけ、神戸へと降り立った。向かうは異人街。かつて“鬼”とも呼ばれ、恐れられた異人達を封じ込め、日本の中の異界“居留地”として隔離したという治外法権の街である。


「・・・水先案内人はお前か」
「ああ。さあ行こうぜうぇ~っぷ!!」


 案内人である旧友“drunken samurai(酔いどれ剣士)”友人Mに連れられ赴いた魔窟「英國館」。だが、その扉はただでは開かなかった。


「さあ、あの屋敷に奴の部屋があるのは分かっている! 入れてもらおうか!」
「ケーッケッケッケ、あの家に入りたいなら、このババアからチケットを買うんだねえ」
「クソ、足下見やがって! いくらだ!?」
「700円さあ。でも、お得な3枚つづりがオススメだよケーッケッケッケ!!」


 そして、魔窟へと乗り込む二人。しかし、その部屋に名探偵の姿はなかった。


「・・・もぬけの殻か、うぇ~っぷ」
「いや、この部屋の乱雑振り、まだ遠くへは行ってないはずだ。捜せ!」


 二人が次に飛び込んだのは、「洋館長屋」。かつて異人達を押し込めた、狭く暗き迷宮である。


「洋館と言うより、むしろ“妖館”だな」
「吐き気が増してきたぜ、オェ。・・・出口はここだな。てぃやっ!!」


 そして首尾良く迷宮を突破した二人がたどりついたのが「ベンの家」であった。数ある“異人”の中にあって、同胞からも畏怖された男“Max's rifle(魔弾の射手)”ベン・アリソン。一丁の単発銃を武器としたこの“彷徨える英國人”の前には、空を制した大鷲も、地を支配した大虎も敵し得ず、ただ一撃の下に葬り去られたという。

 その最強の戦士の館に足を踏み入れた二人は、驚愕の表情を浮かべた。


「く、友人M、これは!?」
「ああ。――囲まれているな」


 翼長3mは凌ごうかという怪鳥ハクトウワシに、猛々しい瞳を向ける白き魔狼。巨大な角を構え冷徹な瞳で睥睨するオリックスに、小馬鹿にしたような冷笑を浮かべる山猫。そして彼らの後には、2.5mを越える巨躯を誇る、地上最大最強の肉食獣北極熊が屹立していた。


「なるほどここは“屍獣の館”というわけだ」
「またまた、すぐには出られそうにないな。――オェップ」


 二人は一瞬視線を交差させニヤリと笑うと、群がる屍獣の群れめがけ、一気に間合いを詰めるのであった。』



 う ん 、 嘘 は 言 っ て い な い 。



 まあ、そんなこんなで我々は、次の目的地神戸オリエンタル劇場へと向かったわけなんですよ! そこでは本日、俺が愛してやまない演劇集団キャラメルボックスの芝居『君の心臓の鼓動が聞こえる場所』が公演されることになっているのだ!


11月15日(土)晴れ。 2/3


 ただ、さすが人気劇団とあってチケットは完売。ただ補助席を使った当日券があるというので、それを目当てに訪れたワケなのである。

 12時ごろたどり着いたが、本日は夜公演もあるとあって、列は6人程度と大したことはなかった。折りたたみ式の椅子を借り、列に並ぶ。チケットの販売は1時からだ。さすがにこのあたりで体力も限界。俺と友人Mは、ここでしばしの仮眠を取った。すさまじい勢いで時間が吹っ飛び、目を閉じたと思ったら、もうチケット販売。1時間が10分のようだった。

 なんとか、一階中央最後部補助席という、まあまあの場所を確保し、我々はワクワクテカテカしながら、劇場へと足を踏み入れた。さあ、久々のキャラメルですよ! テンション上がるぜ! 楽しみだうっひょー!(≧▽≦)

 今回は久々の看板座付作家成井豊さんの書き下ろし新作! ストーリーは以下の通りですよっ!


『テレビの脚本家・根室典彦は40歳を過ぎて、いまだ独身。実は大学を卒業してすぐに結婚したのだが、わずか6年で離婚。現在、妻と娘は札幌に住んでいる。クリスマスを間近に控えたある日、突然、娘のいぶきが訪ねてくる。別れた時、5歳だった娘は、19歳になっていた。いぶきは原稿用紙の束を差し出して言う。「私、小説家になりたいの。出版社の人、紹介して!」。人生最大のクリスマス・プレゼント、それは作家志望の家出娘だった……。』
公式HPより)


 突然訪れた娘の真意。忙しい中でのすれ違い。そんな中で、ふとした疑念が浮かび上がる。いぶきが持ち込んだ小説。どうもその小説の作者はいぶきではないようなのだ。

 離婚して以来13年振りに出会った娘。彼女は、本当に典彦の娘いぶきなのだろうか? 小説の作者は? そして、いぶきを名乗る少女の、本当の目的は――?

 全ての謎を乗せて、物語は聖夜、奇跡のエンディングを迎える――!!


 テーマは「家族愛」と言ったところでしょうか。キャラメルにしてはちょっと込み入った話でしたが、じんときました。

 キャラメルは家族連れや年配のお客さんも多く、今回も小学生から60代と見える上品なおばさまなど、様々なお客さんがいらっしゃったのですが、客席のあちこちからすすり泣く声が聞こえてきましたよ。独身の自分もジンとくるんですから、家族のある方はよけい胸に迫る芝居だったでしょうね。

 終わった後、友人Mと語ったもんですよ。


「周り泣いてたねー」
「泣いてたね!」
「家族っていいもんですね!」
「泣けるね!」
「俺たち孤独死必至だけどね!」
「別の意味で泣けるね!!」


 くそう、どっかで大逆転してやるからなあ!←20年前くらいから言ってます

 西川さんのあの爆笑ギャグが少なかったのは残念でしたが、いぶき役の黒川智花ちゃんも可愛くて声も出てて、とちりもなくて「やるなあ!」と思いましたね。

 それはともかく。

 またテンション上がらせてくれたのが、次回公演のお知らせですよ! 次回春公演は、1時間の短編2本建ての「ハーフタイムシアター」。しかもその演目が!!


梶尾真治原作『すべての風景の中にあなたがいます』

恩田陸原作『光の帝国』


 うおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!(天に拳を突き上げながら)

 俺を随喜の涙でぐちょぐちょにさせ、「一度見た作品は二度見ない」俺にDVDを買わせたキャラメルボックスの超傑作『ミス・ダンデライオン』の原作者梶尾真治氏と、デビュー作『六番目の小夜子』以来、ずっと追い続けてきた(でも書くの早すぎで振り落とされた)恩田陸さんの二本立て!? マジッスか!? 夢ッスか!?

 こいつぁ見ずに死ねないぜ! わっふー!(≧▽≦) ――って、あれ?


大阪公演:2・19→22 サンケイホールプリーゼ


 公 演 た っ た 3 日 か よ 。


 東京じゃ24日間もやるのに!? ちょ!?

 そんなわけで、ファンクラブ入るか、東京まで見に行くか真剣に検討中です。けっこう本気です。


 続く!


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