2008年06月16日

メタル・マクベス。


メタル・マクベス。

 写真は今日の晩飯、梅田ヨドバシカメラの上にある京風パスタ屋「先斗町入る」で食ったパスタ。大変おいしかったが、全体的に薄味だったので、ミートソースやクリーム等、味の濃いめのやつをセレクトした方がいいかも。


メタル・マクベス。

 今日は梅田のブルク7まで、ゲキ×シネという、「録画した演劇の映像を映画館で流す」ってやつに行ってきた。演目は「メタル・マクベス」

 シェークスピアの四大悲劇の一つ、「マクベス」を下敷きに、人気脚本家宮藤官九郎が脚本化した作品である。

 あらすじは以下。


「時は2206年。

繰り返される戦争によって世界はリセットされ、瓦礫の荒野と化していた。そこには、未来を占う魔女が3人……

日々戦いは繰り返され、絶大な勢力を誇るレスポール王率いるESP軍が、将軍ランダムスター(マクベス)指揮のもと、他の軍を次々と征していた。
そこへ、3人の魔女が現れ、ランダムスターに「ランダムスターこそが未来の国王である」との予言を告げ、1枚のCDを渡す。

それは、1980年代に活躍したへヴィメタルバンド「メタル マクベス」の伝説のCD。歌詞に込められた意味が殺人予告となっており、「メタル マクベス」バンドの人間模様がランダムスターの国王となる道につながる予言となっていた。

やがて夫が国王となる予言を知ったランダムスター夫人は、予言を現実のものとすべく夫をそそのかし、レスポール王の息子レスポールJr.を犯人に仕立て、王を殺すという計画殺人を企てる。

レスポール王から手柄として与えられた領地マホガニー城で、その計画は実行される。ランダムスター夫妻は、ESP軍の勝利を祝う宴を開き、王とその息子、そして友人たちとの喜びの祝宴が幕を閉じた時、事件の幕は切って落とされた。

ためらうランダムスターをけしかける夫人。そして計画は成功し、王を殺した犯人に仕立て上げられたレスポールJr.は、城から逃げ出した。

王を永遠の眠りに導いたことで罪の意識に苛まれ、自分たちの永遠の眠りが奪われてしまったランダムスター夫妻。それでも王となる野心に向かって、突き進んでいく……」

というお話。(e+の特集ページより)


 で、感想なんですが。

 うーん、正直今までの「ゲキ×シネ」作品と比べると、あまり楽しみきれなかったです。

 役者と演出は素晴らしかった。

 主人公のランダムスター役の内野聖陽さんは言うに及ばず、ずば抜けた存在感と腹に響く声の上條恒彦さんに、いかついのに、目が異様にクリクリしてて可愛い橋本じゅん。作中の冗談のようなパロディ演歌を見事に歌い上げ、またシリアスな場面でもキッチリ存在感を見せた森山未來に、安定した職人技を見せる粟根まこと、高田聖子。役者陣の演技力は流石の一言。

 長セリフもとちらず忘れず、動き回っても割れない声量に、キレのある動きと華のある見栄。基本であり、最も難しい部分であるそこをここまで完璧に実現されると、ただ脱帽するより他にない。

 その役者陣の中でも、ひときわ輝いていたと思えるのが、ヒロイン役の松たか子嬢だ。権力欲に燃え、ランダムスターを焚きつける悪女としての前半と、ランダムスターの狂気に押しつぶされ、自らも狂気に陥る後半の演技はどちらも素晴らしく、まさしく見入ってしまいました。松たか子って、こんなにいい役者さんだったのか! マジでときめいたぜ。

 演出もすごい。今回は、俯瞰が多く「演劇を近い席から見ているような」臨場感を得られた今までのゲキ×シネと違い、アップシーンが多く、普通のTVや映画のような編集がなされていたせいで演出があまり見れなかったが、それでも作中で歌われる歌の歌詞をスクリーンに投影する時、曲調に合わせてやり方を変えたり、網目に画像を投射し、多層的な場面を作り出すなど、おお!と思わされる演出が随所にあった。


 では、なにがそんなに不満だったかというと、やはり宮藤官九郎氏による脚本だ。


 わざわざ登場人物をギターメーカーの名前にする意味も分からないし、過去のヘヴィメタバンドの話と重ねて、物語を二重構造にする意図も分からない。しかも原作に沿ったキャラクター造形なのか、マクベスことランダムスターが感情移入しにくい相手なんだ。主君を殺した罪の呵責でドンドン頭がおかしくなっていくんだけど、それが急すぎるし、なんだか心に響かない。おなじ悪でも、「朧の森~」のライほど徹底し、またそこから起きる全てを引き受ける覚悟をした、「悪党」なら感情移入もできたんだけど。

 あれなら、過去か未来のどちらかに話を絞り、2時間もので、「傑出した武勇を誇りながら、自らの罪に恐れおののき自滅していくランダムスターとその妻、それに対抗する反乱軍達」という話にした方が、ありがちだけど、締まった話になったんじゃないかなあ。

 小ネタとかは面白かったんですけどね。


 おなじゲキ×シネでも、「髑髏城の七人」はアカ・アオともに超超超傑作、「朧の森に棲む鬼」は超傑作だったんで、だいぶ評価が辛くなってしまいました。ですが、ゲキ×シネには本当に期待してるので、これからもいい作品を届けていただきたいです。実際のお芝居見に行くよりお値段も安く、チケットも普通に取れるので、演劇未経験の人も誘いやすいし、薦めやすいですしね。

 で、ハマってくれると、一緒に行ったり、感想で盛り上がれる相手も増えるしね! ただでさえ友達少ないのに、演劇見てる奴はもっと少ないんじゃー!! 増えて欲しいんじゃー!! でも、チケット取れなくなると困るんで、俺が行く日は混むなよ!(本音)


 今度行く『五右衛門ROCK』は当たりだといいなあ。S席取ったんだし、頼むぜおい! 間違えてだけど!


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この記事へのコメント
私も新感線ファンです私も初めて大阪公演のチケットが取れて 入手困難な新感線を
やっと生で見る機会が出来て本当に今からワクワクしてます。初めて新感線を見たのが深夜の特集から 星の忍者 ドラゴンロック
後完全にはまるきっけになったのが髑髏城の七人 もうこれで完全にはまって 昼の新感線特集全て網羅しました。 得に髑髏城は
もうこれぞ新感線て感じで やっぱり古田さんの捨てのすけ 粟根さんのランベイが素敵で サギリも大好きなキャラクターです スサノオ魔性のけんも
ビデオに撮って何度も見てます 犬夜叉も髑髏城アオドクロもDVDもってます 是非お友達になって下さい
Posted by 琴音 at 2008年06月16日 21:12
私も大好きですよ
私が好きな役者は
古田新太 橋本じゅん 橋本さとし 聖子さん 粟根さん 橋本さとしはノロイが大好きで
じゅんさんはゴウテン抜かずの兵庫 古田さん粟根さんは髑髏城
ランベイと捨てのすけカッコイイの一言
役によって全く表情が違って後色気ムンムンで髑髏城は初めて見た時泣いた エンディングまで見たら泣いてたその位良かった 是非お友達になって下さいちなみに私もはつ観劇に行きます。 チケットが取れて 今からワクワクしてます。
Posted by 琴 at 2008年06月16日 21:30
●琴音様&琴様
いらっしゃいませー!

新感線のファンの方ですか! うれしいなあ♪

星の忍者とドラゴンロックご覧になったんですか。うらやましいですねえ。俺は初の新感線は近所の琵琶湖ホールに来た「犬夜叉」。次が西遊記で、「そんなでもないかな?」と思ってたら、ゲキ×シネの髑髏城でガガーン!とやられました。

もう頭の中沸騰して、完全にのめり込みましたねえ。あれは本当に「完璧な芝居」でした。こんなのがあるから、芝居を見るのは止められねえ!って心から思える。

役者さんとしては古田新太さん、阿部サダヲさんはもちろんのこと、あと粟根まことさんがめちゃめちゃ好きです。俺が大好きな別の劇団に「演劇集団キャラメルボックス」という劇団があるのですが、そこに客演で出たとき、もう暴走しまくりでねえ。腹筋攣りそうなギャグを連発して、美味しいとこ、全部もっていきやがった。

それ以来一目惚れ状態ですよ!

五右衛門ロックにも古田さん、粟根さん出るんですよねえ。めっちゃ楽しみです。いい作品だといいですね。おたがい、めいっぱい楽しみましょう!

また良かったらお立ち寄り下さいませ!(^―^)
Posted by MADMAD at 2008年06月17日 00:13
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