2008年01月14日
風雲録。「鬼狩り士」完結編

「骨ッ! 骨がーッ!?」
川を飛び越し、イカした写真を撮ろうとジャンプした俺様。その足下に、80cmはあろうとかいう大きな骨が転がっていた。なんの生き物かは分からない。俺は慌てて飛び退こうとして、そこが狭い岩場の上だと思い出し、たたらを踏んだ。
「うひーッ!」
半泣きになって戻ろうとする俺に、友人Sが叫んだ!
「写真!」
・・・は?
「写真撮って写真! 骨ーッ!!」
そう。奴は超ド級の骨マニアだったのだ。
「イヤだっつの! コエエっつの!」
「いいから! 早く!!」
な に が い い ん だ 。
そりゃアンタはいいだろうよ! ああ、気持ち悪い。仕方ないので頑張って写真を撮りました。さらに頑張って滝の写真も撮った俺もえらいと思います。
ジャンプして戻り、撮った写真を見た友人Sはこう言いました。
「あんまり好みの骨じゃないなー。どうでもいいや」
鬼だ! ここに鬼がいるよ! 鬼の首のミイラは見れなかったけど、本物が見れたよ! チルチルミチルの青い鳥はおうちにいたけど、鬼も身近にいるんだね! すごいや!
「なんか言った?」
「いえ別に」
そして山を下った俺たちは、そのまま次の目的地、大滝鍾乳洞(http://www13.ocn.ne.jp/~ootaki/)へ向かった。
大滝鍾乳洞は郡上八幡そばにある鍾乳洞で、その名の通り、なんと中に滝があるという珍しい鍾乳洞である。しかも、入り口まではケーブルカーで登るという。なんて心躍る設定であろうか!
ただ、ここのHP。「愛地球博を前にスペシャルプランをご用意しました!(ちょっと気が早い?)」とか「夏向けご家族様プラン!」とか、「いつから放置されてんねんオイ!」って場末感バリバリのHPだったのである。本当に営業してるのであろうか。途中にあった釣り堀でご飯を食べると、ちゃっかり印刷していったWeb割引券を握りしめながら、我々はかなりドキドキしながら鍾乳洞へ向かった。
※HP、先日更新されたみたいでマトモになってました
大滝鍾乳洞近辺は、思ったよりメジャーな観光地になっていた。バスもとめられる大きな駐車場。何軒かの宿。そして、お食事どころ。昔、この近くの洞窟にケイビングに来たけど(http://www.odss.co.jp/gifu/carving/carving01.htm)あそこはもっとコンパクトだったけどなあ。まあ、こっちもうら寂れ感には溢れておりましたけれども。
営業もちゃんとやっていたので、割引券出して中に入った。チケットをもらって前へ進むと、おお、確かにケーブルカーが前に待っている。昔は材木でも運んでいたのだろうか。10人程度が乗れそうな、屋根のついた緑の車体。おじさんがニッコリ笑っていった。どうぞ。

歓声を上げて乗り込む。一番前の席に陣取り、さあ出発進行!
がたん、と重い音を立てて、ケーブルカーは動き出した。引っ張り上げられる。ほんの2、3分ほどの小旅行。うずうずする身体を木製のベンチに押し込み、着くやいなや飛び出した。ああ、写真に撮りたいのに、構図的に収まる場所がない! おのれ! あきらめて歩き出した俺たちをあざ笑うように、一つの看板が光っていた。

「お帰りは徒歩です」
いやわざわざ、そんなご立派な看板にせんでも。苦笑して転じた視線の先には、工事現場によくある、プレハブ立ての事務所にありがちなアルミの安っぽいドアが待っていた。

「えー、・・・まさか?」
「これが入り口かよ!?」
洞窟やからぽっかり入り口が開いてるかと思いきや、ドアが取付けられていようとは! どこまでも俺たちの予想を裏切ってくれる鍾乳洞だぜ!
入る前から爆笑を繰り返しつつ、俺たちは扉をくぐった。
「うおー!」
歓声が上がる。中は予想以上に大きく、そして長かった。次々現れる不思議な光景。ムリヤリ付けられた名前。なんで鍾乳洞ってあんな奇妙な名前付けたがるんだろう。まあ、ソレがなけりゃガンガン進んでいってまわりあんまり見ないのも確かだけどさ。
奥に進むにつれ、湿度がじわじわと上がり始める。奥からは、ドドドドドという音が響く。ちょろちょろと、流れる水が太さを増して、金属の階段が急角度になって俺たちを小広間に導く。そこには――
滝!!
さっき見た御手洗の滝ほどの大きさも迫力もない。しかし、ぽっかりと開けた高い天井から降り注ぐ滝の姿は、十分神秘的だった。滝壺は小さな泉を形成し、壁に刻まれた不動明王と脇侍がそれを見守る。そばの水飲み場に設けられたコップですくった水は、かすかに苦いような、ザラザラとした舌触りがあった。
そこから、歩くことさらに10数分。息苦しいほど満ちていた湿度が和らいだその先に、出口が待っていた。
「ぷはー」
「いやあ、思ったより良かったねえ!」
「うん! これは来た甲斐があった!」
山道を下りながら、口々に言い合う。自然の造形の妙には、まったく驚かされる。まあでも、一番驚かされたのはあの入り口だったけどな! なぜ工事現場風!?
それにしても、あそこで停電したら余裕で死ねるな。うん。
その後は、郡上八幡に戻って郡上八幡城の見物。
そろそろ閉館も近いってことで、急いで向かった。城自体はそれ程昔の面影を残してるわけでもなくボチボチなのだが、上にあった企画がなんつーか。
行った当時、絶賛放映中であったNHK大河ドラマ『功名が辻』の主人公“お千代”が、郡上の生まれであるという説があるってんで、それにあわせて『賢妻の心得十カ条』なる「賢妻と呼ばれた千代の知恵を現代でも通じることばで紹介」ってイベントがされてたんですけど、これがもう!
「男はいくつになっても子供なので、子供に接するようにして育てましょう」とか、「男は強い女を嫌うもの。男の前では弱い女性を演じましょう」とか、「夫の上司とその家族に好かれるようにしましょう」とか、「賢妻」と言うよりそれただの腹黒じゃねえの?的な身も蓋もない言葉がズラリ。あんなん見てたら、恐くて結婚なんざできねえよ! 見てなくても結婚できてませんけど! なに? 「できるけどしない」と「できない」の間には巨大な溝が――って巨大なお世話だ。
その後、はじめて郡上八幡に来た友人Mのために、街を散策。宗祇水や飛びこみで知られる新橋などを訪ねた後、前に来た時にも寄った鉄板料理「泉坂」で食事。ここのご飯は本当に美味しい。前に来た時にはカウンターだったんで、作ってるのを目の前で見れて面白かったんだが、今回は奥座敷。ゆっくりはできたけど、ちょっと残念であった。目の前で、いろいろ作ってる手さばき見たり、美味しそうな料理見て「それなんですか?」「それ一つ俺たちも!」みたいなやりとりができるのもやっぱり楽しいしね。
おいしいごはんをお腹いっぱいに食べて、岐阜旅行終了。帰途に就きました。ああ、楽しかった。
次のリベンジのさいには、どこに行くかな。そろそろこの近辺は行き尽くした感があるからなあ。なんかのイベントとからめるかな?
次回こそ鬼の首のミイラが見たいな。今回は人の皮をかぶった鬼しか見れなかったからな! いや誰のこととは言いませんが!
「なんか言った?」
「いえ別に」
岐阜は今日も日本晴れだ。
おしまい。
Posted by MAD at 00:28│Comments(0)
│風雲録。「岐阜鬼の首ツアー」
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