2007年09月21日
昭和枯れススキ。
その日、俺の睡眠時間は2時間半だった。例によって仕事が終わったのは23時。そこからメシ食って風呂入った後、旅行のBGMを作ったり、行き先を調べていたりしたのである。しかも、iTunesの野郎が俺のプレイリスト破壊しやがってさあ! 一から作り直しですよ! 夜中の3時に!
さらに不具合起きたりした影響で、同じの二回も作る羽目になった。ぬおー、頭がガンガンするよう。
そんなハードな戦いと短い睡眠時間を耐え抜き、俺は目を覚ました。iPodをつかむ。BGMは完璧。ネタも仕込んだ。いいとこ見せるぜ。さあ出発だ! 今陽が昇る!とばかりに、マルコばりのピュアな瞳で外を見た俺は目を疑った。
ク ル マ が な い 。
なあんだ、まだ夢見てんのか俺。早く起きなくちゃハッハッハ。
――って、なぜなぜどーして、ホワーイ!? 兄貴か!? ちゃんとメールしたじゃんホラ! 今日クルマ使うって! ほら、24日にって!
今 日 2 0 日 。
・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。(ぷしっ)←耳血吹いた
Trrrrr・・・(ガチャ)
『あ、Hさん? スイマセン。クルマ出せなくなっちゃった。てへ☆』
『・・・は?』
「いいとこ見せるぜ」作戦 < 糸冬 了 >
いやあ、開始前に作戦が失敗するとは、世の中まったく油断大敵ですな! しょっぱい話だぜ!(しょっぱいのはお前の行動だ)
そして2時間後。俺たち一行4人組様は奈良にいた。
今回向かったのは、奈良と三重との境にある曽爾高原である。奈良県民をして「辺境」と呼ばしめ、るるぶにすら掲載がない現代の秘境ではあるが、広大なススキ野原で知られ、写真愛好家や俳人の方々にはすこぶる評判の良い、隠れた名所なのである。
ススキのピークにはやや早い。もう半月もすれば、穂を開いて立ち枯れたススキが黄金色に輝き、昼には太陽、夜には月、そして夕暮れには茜さす夕焼けの光を受けて照り映え、それは見事な景色になるのだそうだ。それは写真で見るだけでも、恐ろしいまでに美しかった。ぜひその時期にまた、足を運びたいと深く思わされたものである。
そして。
その季節の前に訪れた我々は。
ひゅおおおおお!!!!!!
ゴゴゴゴゴ!!!!!!!!!!!
「うひょお! 風がッ!!」
「雨、雨がちべたいよー!!」
「ちょっと!? 霧で前が見えないんだけど!? 本当に道こっちなの!?」
なんだか遭難一歩手前だった。

誰の日頃の行いか、その日は大変天気が悪く、雨は降るわ霧はヒドいわ。ええ、ハイキングというよりはむしろ「探検」でした。まったく! 誰か雨男でもいるんじゃないの!?(俺だ)
「もう、寒いなあっ」
「あ、お茶屋あるよ! 甘酒飲みたい甘酒! 俺は甘酒見かけたら呑まないと死んじゃう病なんだ!」
「じゃあ、遠慮なく死ぬといいと思うよー?」
「お姉さん俺甘酒! そっちは? アメ湯? ようし、俺のオゴリだ! 遠慮なく呑むといいよ! 自慢じゃないが、俺は税込300円までは気前がいいんだ!」
「それ、あまり人前で言わない方がいいと思う・・・」
で、そこでワイワイやってると、お茶屋の奥さんが話しかけてきた。
「どっから着たの?」
「ええと、滋賀と、京都からです」
「へえ。天気悪くてあいにくでしたね。でもね、この時期でもいいとこはいっぱいあってね。例えば・・・」
そこから、30分くらい色んな話を聞いた。足下に咲いてる花や、秋以外の曽爾高原の見所。伝説。地元の事情。エトセトラエトセトラ。
「お姉さん、解説うまいッスねえ」
「結婚してここ来る前は、バスガイドやってたから」
「なるほどー!」
気づくと雨も止み、時々とは言え、日も射すくらいには天気が回復していた。俺たちは茶屋を辞すると、また青々としたススキ野原へと足を踏み出した。茶屋の奥さんに聞いた足下の花や、渡る風の草いきれを堪能しながら、車を止めておいたふもとの『曽爾高原ファームガーデン』へ。そこで昼飯を食ったあと、1時間ほどだべって帰りました。おもろかったー。
次は「湖東湖北、クラブハリエとマジックバーの旅」とか言ってるけど、10月末頃にまた、一度足を運んでみたいものである。
それはともかく。
この曽爾高原の中核をなすお亀池。夜にはライトアップするのか、ぐるりと池の周囲に灯籠が設けてあるんですが。
霧 の 中 で 見 る と 妖 怪 ポ ス ト に し か 見 え ま せ ん 。

助けて鬼太郎! ついでに俺も「仕事もなんにもない」身分にして! 妖怪はまだできないけど きっと覚えます! ネズミ男くらいならなんとか! あと、夢子ちゃん紹介して下さい。鳥乙女でもいいです。(それは悪魔くん)
妖 怪 名 は 鳥 頭 あ た り で ひ と つ 。
Posted by MAD at 00:12│Comments(0)
│風雲録。「曽爾高原」
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