2007年12月13日

超ラノベ風妄想バトン。その4。



4、【NORIMITSUさん】と精神が入れ替わってしまった。

 その光景を、俺は則光の中から見ていた。自らの目で見ると同時に、則光の中からも見ていた。それは、則光も同じだった。その時俺は則光であり、則光は俺だった。

 ――これが「使う」ということか。

 俺の中を、力が溢れていた。細胞の一つ一つが賦活され、ほとんど物理的な熱量を持って荒れ狂っていた。目眩くような高揚感と、絶対的な“力”への自信が俺を包む。


「ふン。化ケたと思エば、四本カ」

 そう、せせら笑う声がした。

「せめテ九本なレば敵シようモあロうに」

 インコ頭だった。

「「アホウが」」

 俺と則光。二人の口より、同時に失笑が漏れた。頭中で、命令を下す。やれ。

「承知」

 次の瞬間、神速の一撃を持って、則光の手刀がインコ頭の身体を貫いていた。


「カ・・・ハァッ!?」

 なにも、見えなかったのだろう。一瞬、なにが起きたのか理解できなかったインコ頭は、自らの身体を貫く腕を見て、目を見開いた。

「んナっ!?」
「お馬鹿さん。人を見かけで判断するものやあらしまへんえ」

 深紅の着物をさらに赤く染め上げて、則光はニコリと笑った。ずずっと抜き出した手で今度は喉笛を掴み、軽々と持ち上げる。

「九尾はしょせん仙狐の最高位。天狐になると、順に尻尾は減りおすの」

 言って、則光は締め上げたインコ頭を地面に叩きつけた。うめき声を上げるインコ頭の頭蓋をアスファルトに押しつけながら、静かに笑う。

「さあ、お吐きなさい。あなたのご主人様はどこ?」
「く・・・クカカッ!! 言うハずがあルか!」
「そう。じゃあ、力ずくで教えてもらうわ」

 あっさりそう言うと、則光はインコ頭の双眸に目を合わせた。視線を介し、見えない触手を伸ばす。つややかに濡れ光る黒一色の目に沿って、ずうるり、ずるりと這い進んだその手は、やがてインコ頭のまぶたを持ち上げ、眼球に沿って頭蓋の奥深くを目指した。

 インコ頭が総毛だった。見えざる触手が、脳に到達したのだ。

「ああら、これがホントの“鳥肌”ね♪」

 則光はくすくす笑いながらそう言うと、指二本ほどの太さだった触手を、微細な繊毛へと分裂させた。今やインコ頭の脳は、無数の糸ミミズのような触手によって、びっしりと覆い尽くされていた。

「これが最後のチャンス。あなたのボスはどこ?」
「く」
「く?」
「くたバれ化けギつネ!」

 ついっと、則光の口に、ひどく残酷な笑みが浮かんだ。片時も休まずうねくり、はいずり回っていた触手が、ピタリと止まった。


 そう。じゃあ、さようなら。


 その言葉を契機に、数兆の触手が一斉に浸食を開始した。脳の皺をこじ開け、触手は中へとめり込んでいく。より奥へ。より深くへ。シナプスをたどり脳細胞を搦め、触手は思考の要、大脳新皮質そのものを緊縛した。脳内を疾る電気信号が解析され、かわって自らの望む指令が下される。ボスはどこ? 誰? 能力は? 頭中がかき回され、記憶と思考が引きずり出される感覚に、インコ頭は戦慄し、絶叫した。やメてヤめてあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!!!!!!1


「ほぅら、見つけた♪」


 宝物を見つけた子供のような歓声があがり、見えない触手がようやく引き出された頃、インコ頭の人格は完全に崩壊していた。

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