2010年06月15日
a・ chi-a・chiアドベンチャー!第五階層
あれ? 「a・ chi-a・chiアドベンチャー!」って言いながら、3と4、全然a・ chi-a・chi関係なくね?
まあいいや! とりあえず続きー!!
「じゃあ、そろそろ宿の方に向かう?」
と聞いた俺に、友人Mが「いや待て」と言った。
「ん? どした?」
「近所に小松姫の墓があるぞ?」
「なん……だと?」
小松姫は上田藩初代藩主(後に松代藩に移封)真田信幸の正室である。
第一次上田合戦における真田の軍略に惚れ、そして恐れたかの”戦国無双”本多忠勝が、自陣営への取り込みを謀って、自分の長女を輿入れさせたのだといわれている。なお、このとき家康は、小松姫を自らの養子(一説には秀忠の養子)にしてから嫁がせている。真田家と、信幸への評価の高さがうかがえる逸話である。
気の強さで知られる女傑であり、通称”鬼嫁”。某やる夫真田の雑談スレでは、「陰謀大好きの親父と空気読まない弟、それに鬼嫁がいなければ、信幸さんはもうちょっと長生きできたのに……」と言うのが鉄板ネタとなっている。(※真田信幸の享年は93歳)
ちなみにその女傑っぷりは、嘘か誠か、こんな逸話が残されていることからも偲ばれよう。
●小松姫仏恥義理伝説その1「婿取り」
(´(●●)`)「小松よ。ぬしにもそろそろ、誰かをめあわせねばな」
ξ゚ ⊿゚)ξ「ほう? ”東方不敗”本多忠勝の娘にして、家康様。お主の義娘でもあるこの我に、嫁に行けと? おもしろい。婿候補を、一堂に集めい!」
――某日。某所の大広間
(なになに? なんで俺たち集められたの?)(なんか、すげえ目で睨んでる女いるんですけど!?)(あれ、本多平八殿の娘らしいよ!?)(マジで!? あの親にしてこの子ありだな!)(しかも、大殿様の義娘)(えええええ!? 超VIPじゃん!)(うあああああ!? なんかこっちに突っ込んでくるー!?)
ξ゚ ⊿゚)ξ「そち、顔を見せい!」(ガッ!)
(!!)(武士の命とも言うべき髷を引っ張った……だと!?)
ξ゚ ⊿゚)ξ「違うな。ではそち、顔を見せよ」(ガッ!!)
(まただ!)(なんと無礼な!)(しかしあの娘は、本多平八殿の娘にして、大殿の義娘!!)(く!? 我らには、耐えるしか残されていないというのか!?)
ξ゚ ⊿゚)ξ「違う! こいつも違う! ほらほら、顔を見せるがいい! 我の目にかなう男はおらんのかー!? ウワハハハハー!!!」
パシィーンッ!!!!
ξ゚ ⊿゚)ξ「ぬう!?」
(!!!!)(あの若侍!)(扇子で!)(小松姫の手を打ちおった!?)
_、_
( ,_ノ` )y━・~~~「よしな、嬢ちゃん。髷は、武士の命。気軽に触っていいもんじゃねえぜ?」
ξ゚ ⊿゚)ξ「我の手を打つとはな。命が惜しくないか、無礼者。名を聞こうか」
_、_
( ,_ノ` )y━・~~~「信幸。真田安房守昌幸が嫡男、源三郎信幸だ」
ξ゚ ⊿゚)ξ「くくく、面白い! この戦国末世の世に、汝がごとき漢がまだいようとはな! 気に入った! 汝を我が夫と認めよう!」
_、_
( ,_ノ` )y━・~~~「……え?」
ξ゚ ⊿゚)ξ「この三国一の幸せ者め! さあ、皆の者! 祝言の準備じゃ!」
_、_
(;,_ノ` )y━・~~~「え? いや、ちょ、ちょっと待って」
ξ゚ ⊿゚)ξ「大殿様、よろしいですな!」
(´(●●)`)「信幸くん、義娘をよろしく頼む。まさか、そんなことはありはしないと思うが。よもや嫌とは言うまいね? な あ 、 平 八 ? 」
(▼(工)▼メ)「ま゙っ」
( ゚Д゚)y━・~~~「」
(゜Д゜)y━・~~~「」
か く し て 二 人 は 結 ば れ た 。
●小松姫仏恥義理伝説その2「銃後の守り」
( ´_ゝ`)「兄上と敵対し、豊臣方につくことに決まったわけですが、父上。なんでとっとと上田に帰らず、兄上支配の沼田に寄るんですか?」
( ゚皿゚)「分からぬか信繁! これが今生の別れになるかもしれん。最後に孫の顔が見たいんじゃよ!」
( ´_ゝ`)「なるほど」
(▼皿▼メ)「(……てクク! 本当は城に入れたが最後! そのまま沼田城乗っとるって寸法じゃーい!)」
( ´_ゝ`)「(あーまた、なんか企んでやがるよこの糞親父)――ってあれ? 父上?」
( ゚皿゚)「どうした?」
( ´_ゝ`)「城の城門の前に、義姉上がおられますよ? 戦 装 束 で 」
( ゚皿゚)「なんじゃとー!?」
ξ゚ ⊿゚)ξ「おう、義親父。なにしに来やがった」
( ゚皿゚)「いや、あの、今生の別れに孫の顔を見せていただきにですね」
ξ゚ ⊿゚)ξ「あ!? 寝言は寝てから言いやがれこの山猿が! てめえが敵に回ったってのは、うちの亭主から聞いてんだよ! そんな奴を城に入れられるか!」
( ゚皿゚)「ぼ、ボク何も企んでないよ? オイラ怪しいもんじゃないよ!?」
ξ゚ ⊿゚)ξ「うるせえ! ここを通りてえってんなら、アタイを殺してから通んなぁー!!!!」
(; ´_ゝ`)「うわあ父上! 義姉上が薙刀ブン回して突っ込んできますー!?」
( ゚皿゚)「うひゃああああ!? 退けー! 信繁、退くのじゃああああー!?」
――数刻後。近隣の寺、正覚寺にて。
( ゚皿゚)「うう、ひどい目にあった」
( ´_ゝ`)「さすが義姉上、銃後の守りは万全ですな」
( ゚皿゚)「くそ、あの鬼嫁め! いつか目にもの見せてやっからな!」
ξ゚ ⊿゚)ξ「あら? なにかおっしゃいまして?」
( ゚皿゚)「げぇ!? 小松!? いや、さすがは本多忠勝の娘。武家の妻女とはこうあるべきだと褒めてたんだよ? ホントダヨ?」
ξ゚ ⊿゚)ξ「あら、それは光栄ですわ」
( ゚皿゚)「それより小松! なぜここに!?」
ξ゚ ⊿゚)ξ「何をおっしゃってるんです? お義父様にお会わせしようと、子どもたちを連れてきたに決まってるじゃありませんか」
( ´_ゝ`)「え?」
ξ゚ ⊿゚)ξ「先程は、大変失礼いたしました。徳川方の目もございますし、あの時は、ああするしか無かったんですの」
( ゚皿゚)「!!! そうだったのか! すまん小松! お前を誤解したワシを許してくれい!」
ξ゚ ⊿゚)ξ「いいんですのよ、お義父様。さあ、お前たち、お祖父様ですよ?」
ヽ(゚∀゚)ノ ワーイ ヽ(゚∀゚)ノ オジイチャーン キャッキャ
(●^皿^●)「フフフフフ」
――城にあっては舅といえどその中に入れず、さりとてその願いを無碍にもせずに、場を改めて孫と会う機会を作る。
小松姫のこの行いは、後世、良妻賢母の鑑として讃えられた。
( ´_ゝ`)「ありがとうございます、義姉上。……ところで」
ξ゚ ⊿゚)ξ「どうしました?」
( ´_ゝ`)「 こ の 寺 を 取 り 囲 ん で い る 兵 は 一 体 ? 」
ξ゚ ⊿゚)ξ「あ、気づいてた? いやーねえ☆ ただの護衛よ!」
( ´_ゝ`)「ご、護衛?」
ξ゚ ⊿゚)ξ「ええ! ほら、最近物騒じゃない? か弱い女性と子どもだけじゃ危ないでしょ? 決して、監視とか、示威行為とか、 ア タ イ ら に 手 ぇ 出 し た ら ブ チ 殺 す ぞ と か 、そーゆーんじゃないからね☆」
(; ゚ _ゝ゚ )「」
(;゚ _ゝ ゚ )「」
●小松姫仏恥義理伝説その3「小松、その愛」
( ´_ゝ`)「父上! 父上大変です! 石田治部少輔が、関ヶ原で敗れ、処刑されたそうです!」
( ゚皿゚)「なん……だと!?」
( ´_ゝ`)「どういたしましょう? これで我らも叛軍。程なく徳川より、処罰の兵が押し寄せましょう!」
( ゚皿゚)「臆するな信繁! この上田城は天険の要害! 我らはこの城に拠り、かつては家康を、そして此度は秀忠のこわっぱ目に一泡吹かせてやったではないか!」
( ´_ゝ`)「!! では、父上!」
( ゚皿゚)「うむ! まだ北に上杉、伊達、九州には島津があり、なにより大阪に秀頼公がおわす! 勝負が決まったわけではない! この上田城にこもって、徳川めに、今一度目にもの見せてやろうではないか!」
( ´_ゝ`)「さすがです父上ー! ――ってどうした? なに? 沼田の義姉上より手紙が? どれどれ」(ガサガサ)
J( 'ー`)し 義父上へ げんきですか いま書状してます
( ゚皿゚) うるさい死ね 寺、監視の兵で囲みやがって 書状送ってくんな殺すぞ
J( 'ー`)し ごめんね。小松姫書状はじめてだから、ごめんね
( ゚皿゚) うるさいくたばれ、書状送んな
J( 'ー`)し 食事はしていますか? 心配です
( ゚皿゚) 死ね鬼嫁
J( 'ー`)し 沼田にいる上田城兵の家族たちも心配しています
( ゚皿゚) え?
J( 'ー`)し だから、皆の不安を和らげるため 「安全な」 沼田城に避難させてあげました
( ゚皿゚) ちょ? 小松姫さん、ちょっと――
J( 'ー`)し 身体に気をつけてね そして
ξ゚ ⊿゚)ξ 上 田 城 兵 の 皆 さ ん に よ ろ し く な
(; ´_ゝ`)「父上、これって……」
(; ゚皿゚)「うん」
(; ゚皿゚)(; ゚_ゝ゚) 「 「 人 質 と ら れ た ー ! ? 」 」
(; ゚_ゝ゚) 「ど、どうしましょう父上!?」
(; ゚皿゚)「あ、慌てるでない信繁! この昌幸とて、表裏比興の者と謳われた男よ! ワシに考えが!」
(; ´_ゝ`)「……」
(; ゚皿゚)「考え……が……」
(; ´_ゝ`)「……」
(; ゚皿゚)「……」
間 も な く 上 田 城 は 開 城 し た 。
●小松姫仏恥義理伝説その4「小松ニズム」
(;´Д`)「加賀の殿様より預かった献上品、大事に運ばねばならんのう」
(-@∀@)「まったくじゃあ。なんといっても、将軍家への献上品じゃからのう」
ξ゚ ⊿゚)ξ「まったくよねえ」(ガサゴソ)
Σ(´д`;)「誰ー!? つか、なんでアンタ献上品を漁ってんの!?」
ξ゚ ⊿゚)ξ「わが名は小松姫。この上田を治める領主、信幸様のハニーよ!」
(;-@∀@)「真田伊豆守の奥方様!? なんでそんな方が、略奪なんて真似を!? この品は、加賀前田家から将軍家への献上品ですぞ!? いくら奥方様と言えども――」
ξ゚ ⊿゚)ξ「バッカねえ、アンタたち、知らないの?」
(;´Д`)(;-@∀@)「は?」
ξ゚ ⊿゚)ξ「アタシはね、大御所様の義娘なの。将軍家の一員。だから」
(;´Д`)(;-@∀@)「だから?」
ξ゚ ⊿゚)ξ「将軍家のものはアタシの物! アタシの物はアタシの物なのよ!」
(;´Д`)(;-@∀@)「ひぃぃぃぃ!? ジャイアニズムー!?」
(;●´(エ)`)「……で、代わりにこの書状を持っていけって、お前らに渡したわけか」
・゚・(ノД`)「そうなんでございます、将軍様ー!」
ξ゚ ⊿゚)ξ『献上品は確かにいただきました。前田家を怒っちゃやーよ☆ Comats☆EYE』
(;●´(エ)`)「……そうか」
(;●´(エ)`)「……」
(;●´(エ)`)「……」
(;●´(エ)`)「 小 松 な ら 仕 方 な い な 」
ΣΣ(゚д゚lll)「エエエエエエー!?」
か く し て 、 前 田 家 に も 、 真 田 家 に も 、 何 も お 咎 め は 無 か っ た 。
●余談 その略奪品の送り先
――紀州九度山某所。
J( 'ー`)し 義父上へげんきですか。いま書状してます
( ´皿`) あ、こりゃどうも小松姫様。いつもありがとうございます
J( 'ー`)し ごめんね。小松姫書状ヘタだから、ごめんね
( ´皿`) いやいやそんなこと無いっスよ! 源三郎くんと小松姫様からの書状、超楽しみにしてます!
J( 'ー`)し お金ふりこんでおきました。たいせつにつかってね 食事はしていますか?
( ´皿`) いやー、いつもすみませんねえ ご飯はね、なんとか食べられてるんですけど、さすがに家臣が16人も付いてきちゃったから、色々物入で
J( 'ー`)し え?
( ´皿`) あと10両! いや、5両でいいんですけど、なんとかならない!?
J( 'ー`)し いや、あの、うちも今ものすごく厳しくって、送ったお金も、ハニーと切り詰めまくって、なんとか工面した――
( ´皿`) あとね、僕いい馬が超欲しいの! それも、生きの良い若駒が! 買ってー☆ お・ね・が・い☆
J( 'ー`)し いや、だから、そんなお金、うちには――
( ´_ゝ`) あ! 義姉上だ! 鮭、送ってくれて あざーっす!
J( 'ー`)し あ、源次郎殿!
( ´_ゝ`) 超旨かったっス!!
J( 'ー`)し (フフ、さすが源次郎殿は、義父上と違ってしっかりしてらっしゃる) いいんですよ――
( ´_ゝ`) で、姉上! 次はね! サケはサケでも、できれば焼酎送ってくれませんかね!?
J( 'ー`)し え?
( ´_ゝ`) ちゃんと瓶の上までなみなみとついで、ガッチリ蓋して送ってくださいね!
J( 'ー`)し えええー!?
( ´皿`) いやあ、できた息子と嫁を持って、僕たちは幸せだなあ
( ´_ゝ`) まったくですなあ、父上
( ´皿`)( ´_ゝ`) ハッハッハ!!!
ξ゚ ⊿゚)ξ ( こ の 、 ニ ー ト ど も が … … ! ! ! )
ことほど左様な伝説を今に残す、小松姫。その人柄が偲ばれようと言うものである。そのお墓がここにあるのだと言う! そりゃあ、行かずばならんでしょう!
細い道を右往左往しながらなんとかたどり着いたのは正覚寺。桜をはじめとする多くの花が植えられた、立派なお寺さんでした。
立ち並ぶ墓石の間をくぐりぬけ、少し奥の方にある立派な霊屋と並んで、小松姫様のお墓はありました。石灯籠のような、大きな墓石でした。
さやさやと風が鳴り、繚乱と桜の花弁が舞う中、手を合わせ、しばらくして退去した。
稀代の猛将を父に持ち、文字通り激動の時代に真田家を陰から支えた小松姫。信幸は彼女を深く愛し、当時の武将としては異例なことに、彼女の生前には妾を持たず、生涯においても、彼女以外に室を持っていない。
晩年病にかかり、江戸から草津温泉へ湯治に向かう途中、武蔵国鴻巣で亡くなったという。夫の信幸はこれを悲しみ、「我が家から光が消えた」と言って嘆いたという。光と言っても、決して小松明の光ではない。決して。
戒名は大蓮院殿英誉皓月大禅定尼。享年は48歳。墓は埼玉県鴻巣市勝願寺、長野県上田市芳泉寺、そしてここ、群馬県沼田市正覚寺の三ヶ所に分骨されているのだが、 彼女が亡くなった当時、信幸自身は上田で政務をとり、沼田には我が子信吉を置いて治めさせていたと言う。その沼田にあえて分骨したことからも、彼女がいかにこの地を愛し、また領民達からも慕われていたと言うことが偲ばれよう。そして、その細やかな配慮に浮かぶ、信幸の妻への思いも。
小松姫。
数々の伝説に彩られる真田の歴史の中に、ひときわ大きく、清冽な香りを乗せて、華やかに咲いた花の、それが名前である。
続く。
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Posted by MAD at 03:26│Comments(0)
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