2010年06月12日
招き猫ダック。
「男くん、男くん。秋せつらみたいにさあ、糸を使って操ったり切ったりするよーな奴を”糸使い”って呼ぶじゃない?」
「いきなりですね、女さん。なんです?」
「まあ、聞いてよ! 獣を使うやつは、”獣使い”。風を使う奴は”風使い”」
「うん」
「子供を使う奴は”初めてのお使い”」
「いや、それは違うでしょ」
「じゃあさ、 ”召使い”は?」
「は?」
「その理論に従えば、召使いは ” 召 し を 使 う も の ” な ん じ ゃ な い の ?」
「ないですって! 大体、なんです? ”召し”って!?」
「そりゃあ、アレよ! 召 喚 獣 よ ! 」
「召喚獣? 召喚獣って、FFのバハムートとかオーディン、エッグマンみたいな?」
「エッグマン……? まあ、そうよ! で、その召喚獣を使って、主人の命じた仕事をやってるわけよ! オーディン呼んで庭の剪定させたり、アトモス呼んで掃除したり!」
「アトモス。それは吸引力の変わらない唯一の掃除機」
「あと、今晩魚食べたいなーって時に、リヴァイアサン呼んだり」
「食べるの!?」
「キャンプの時は、イフリート呼んだらいいわよね! BBQで火おこしもせずに済むし、立ってるだけでキャンプファイヤーとして使用可能よ! 火の番もしなくていいわ!」
「食材も人間も、全部消し炭になりそうですけど……」
「すごーい! 召使い便利ー!! 決めた! 男くん、私、将来召使いになるわ!」
「は?」
「召使いって、どうやったらなれるのかしらね? やっぱり、専門学校ってあるのかしら? 調査よ! 男くん、さっそく調査に行きましょう!」
「そうですね。でもまず、お昼ご飯を食べませんか?」
「そんな時間ないわよ! 善は急げって! ほら!」
「そうですか。残念だなあ。今日のお弁当、女さんのお好きなカニクリームコロッケ作ってきたのに」
「え?」
「かぼちゃも、すごくいい感じに炊けたのになあ。甘甘で、ホクホク」
「甘甘で、ホクホク……」(じゅる)
「しかも、ご飯は豆ご飯とタケノコご飯のセパレート! なかなかの自信作だったのですが」
「(ポンと手を叩いて)ま、まあ昔から『腹が減っては戦ができぬ』っていうし! やっぱりご飯を食べてから出かけましょー!」
「本当ですか? 嬉しいなあ」
「あああああ!? ミートボールに、卵焼きも入ってるー♪」
「お茶もありますからね。ちゃんと、よくかんで食べてくださいよ?」
「はーい♪」
「すげーな。”召使い”の話なんざ忘れて、一心不乱に食ってるよ」
「”暴走機関車”女さんをあんなに上手く扱えるの、あいつだけ――っつか、誰も文句いえねーか」
「男のメシ、うめーからなあ」
「さながら、あいつは、アレだな」
「ん?」
「食わせることで、言うことを聞かす――『メシ使い』だな」
お後がよろしいようで。
Posted by MAD at 18:46│Comments(0)
│駄文。
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