2008年03月09日
そこんトコロ!
で、所さんなんですけどね。(唐突)
スゴいんですよー。目からウロコが落ちまくりなんですよ! カー&ライフスタイルマガジンを標榜する「Daytona」って雑誌に載ってる連載をまとめた「世田谷ベース」ってムック本を読んでるんですけどね。もう、ページ1枚めくるたびにうおおおおー!!ってなもんですよ。いやあ、なんて俺の世界と了見は狭いんだ。
たとえば、ロンブーの淳との対談。淳が刀集めてるって話をしたら、あっさり所さん言うことにゃ。
所「刀はツバとか、いろんなものがついてておもしろいよね。それ、一回、切っちゃえよ! なんかこのやろうっ! だいなしにしてやる!って」
淳「(笑)」
所「オレでフィニッシュくれてやると。句読点にしてやると。そうすると、あなたが死んだあと、2007年の時代に歴史が残るじゃん。このままいっちゃうと、次のヒトにバトンタッチするだけじゃん」
淳「だけど、時代を汚す感じがしません?」
所「なにいってんだよ。自分が生きてる時代が一番大事なワケだろ?」
淳「いや、そんなプッ壊せないですよ」
所「そんな、なんか切ってみなって言ってんだよ。それで、欠けた痕を細かい砥石とかで、ごまかしてみるとか。このまま宝として残すと、次のヒトの宝となって、未来永劫宝として残るだけで、自分はそこに残らないよ」
で、淳がそりゃ出来ないっていうと、あっさりと「じゃあいいや」って言って、続けて言うことにゃ
所「ツカをはずして、うちにポンチとかいろいろあるから名前入れとけよ。あとに気づかずに開けたとき、台無しだなって誰かが思うよ。でも、そこに自分が持っていた証が入るワケだよ。ウチはね、性格が違うからだろうけど、必ず、これは所ジョージが一回触ったものだって言うのがないといやだね。(中略)刀だってウチのものだなって分かるよ。ツバをメッキしちゃったりとかね」
淳「エエっ?」
所「江戸時代からのツバをメッキしちゃってね。ブラスチックみたいな、最低な感じになっちやうわけ。大体、刃もオレが研いでるからね。風呂場で! なんでもやってみたいんだよ」
それに対し、「価値は失っていくわけじゃないですか」と言う淳に、返す言葉がまた振るってて
所「価値はだって、時代の流れの中の全体の価値なんだから、1000万円の時代があって、100万円になったっていいんだよ。自分の前を通り過ぎてるんだから」
淳「自分の前を通り過ぎたことで、価値が下がるのはいいんですか?」
所「全然、かまわないね。なんでよ?」
潭「そこの感覚に、まだ行けないですね。もっと価値が上がって欲しいとか思っちゃいますね。欲があるんですかね。ボクが」
所「あ、そっか。この價段で買ったものが、こんな値段になったんだ!とかね。でも、お金なんて所詮紙だから。そんなもんがいくら増えたってしょうがない」
淳「オオオオッ」
所「そいつに刻みこまなきゃ! ホントだよ」
淳「そりゃ新しい価値観ですね」
所「今度ウチに来たときに、スンゴイカタナ見せてあげるよ。そのカタナはオレそのものだから。サヤとツカは今のドライカーポンっていって、ウェットじゃなくてF1の床とかに使っている焼くやつで、作った静岡でしか焼けないんだよ。知り合いがいないと、釜を動かして焼いてくんないのよ」
淳「えっ、それ、それ、反りやなんかカタナに合わせて作るんですか?
所「そうだよ。F1だよ。それだけでも、カタイは折れないはでモノスゴイよ」
淳「これだけでイケるみたいな」
所「ツバには所、喜、福、寿っでレーザーで彫ってあって! たぶん、食いつくと思うよ。オレも室町のカタナにこれつけてー! って思うと思うよ」。
淳「やってみたいッスね」
所「超、カッコイイよ」
淳「一回そっちにいくと、新たな価値観で生きていけそうですね」
所「そうだよ。あなたの考え方でいくと、今の時代にはあってるんだけど、公園は公園として未来に残そうっていう考え方だからね。公園なんて、ぐちゃぐちゃにしてなくなっちゃえばいいんだよ」
淳「(笑)」
所「今、使わなきゃしょうががないだろ。だって」
淳「そうか、家に帰ってうーん。どうするかな。迷彩のカタナ欲しいんですよ」
所「いいじゃんそれ」
と、見事に淳が憑物落としされるんだが(笑)、俺が本当に衝撃受けたのはこっから先だ。
所「この先のことを考えてるんだろ? でも、先はないから。未来なんかないから」
淳「ええっ?」
所「未来にタイムマシンでいったとすんじゃん? でも、ついた瞬間、全部そっからうしろは過去だから。ココとココしかないのよ。今現在、ココが頂点なのよ。オレらずっと頂点で生きてるわけだから、未来に生きているわけ。だから、あるものは使わなきゃならないのよ。そういうことだよ」
淳「へエエエ」
所「間違ってるんだよね。今のエコロジーとか、将来の子供のためにいい地球をなんて。いい地球を残すんだったら、みんな死にゃいいんだから。そうすりゃ、地球はキレーイに残るから」
淳「そうですね」
所「そうでしょ?」
淳「人間が生きてるから汚くなるんですもんね」
所「でも、そりゃできないんだから」
淳「スゲー価値観。植えつけられましたよ」
所「こういう話をするのも、あなたが、室町時代の刀を未来に持ってこうとしてるから、それを止めてるわけだよ」
淳「でも、ボクのもとに、がんばって持ってきてるヒトもいるわけじゃないですか」
所「そんなガンバってなんてウソだから。たいした苦労じゃないんだよ。それを大変だったなんて、間にウケちゃって。ヒトがいいんだね。そんなのウソウソほんとに」
所「コレ見つけるの大変だったんですよとかいってっけど。たいしたことねーんだよ。大体、オメーが見つけられたんだろと。ね? そういうことなんだよ」
淳「あー、なんかここの数分の会話で。ボクの刀の価値がなくなってしまいました。たいしたことないんだなと」
所「じゃ、そのカタナと、ウチのカタナで、一回ツバぜりあいやろうよ。楽しいんだから」
淳「・・・・・・」
所「ウチの裏庭に竹がスンゴイ生えてて、近所迷惑になぅてるから。あれもただ、チェンソーで切るとつまらないじゃん。こういう切れ味のいい刀で、シャキンシャキンって切ってくと、スンゴイ気持ちいいよ! また青竹はよく切れるんだ。ジャバーって。乾いちゃってるタケはよく切れないけどね」
淳「そんなふうに使ったことないし、使おうと思ったことないもん」
所「みんなの宝ものだから、大事にしてんだよそれ。自分が宝物だったら、自分が使うことによった宝ものだから。オレが役にたったってことが宝物だから。あなたの場合は、だから管理してんだよ。無料でね」
淳「ヒトがいいにも、ほどがありますよね。この後のヒトのために、それ管理してんですもんね。そんなのイヤです。汚してこう。オレのカタナ」
所「そうだね、ステーキなんか切って食べるといいかもしんないね。シャクシャクってね」
あの不良キャラで売ってるロンブーの淳相手に「人がいいねえ」なんて言える人、そういないよな。
正直ですね、ものすごく腑に落ちたんですよね。ストン、と。前に骨董集めてる人で、淳と同じ言い方してる人いたんだよね。「何百年もたった品が、たまたま自分が預かってるだけ。永遠に続く連鎖の中で、自分はその輪の一つ」みたいなコメントしてる人が。
その時はその時で、「おお! 壮大な!!」と思ったんだけど、所さんの見方をすると、同じ立場でも、向いてる方が真逆なわけで。連続性の中で預かってるからといって、それに手を加えたらイカンなんてこたないんだよね。作ったその時、そのままがいいなんて、それも見てる奴だけの価値観。それに手を加えることで「自分にとっての最高」に作り替えることは、何ら責められることじゃない。まあ、責められたところで、そのころにゃこの世にいないしな。(笑)
さらに。
所「そういえば、タバコやめたんだってね」
淳「吸ってる意味を見出せなくなったんで」
所「はぁ。何のためにすってるか分からなくなったんだ。バカだねえ。そういうところがダメだよ」
所「人間がなんのために生きてるのか? って、よくいう永遠のテーマだよ。でもそれが答えだからね。答えからスタートしちゃってるから、みんな答えがでないんだよ。笞えにいるから。つまり、なんのために生きているのか? って思うのが、生きてる意味なんだよ」
淳「へええええええ! すげ!!」
所「そうだよ。タバコも、なんのためにタバコをすってるのかな??って思うことがタバコ吸ってる意味だよ」
淳「いきなり、答えにいっちゃぅてるから、それ以上の答えが出ないってことですね」
所「よく、これが体によくないとか、利とか害を考えているけど、遠うからそれ。15だったら、1+14とか2+13か、永遠といろいろな計算があるじゃん。なんだって、あてはまるじゃん。そんなこと考えたってしょうがないってことだよ」
淳「その過程は、どうでもいいってことですか?」
所「なんのために吸ってるのかな?っていうのが答えだから」
淳スゴイなぁ。はじめてだな」
所「二コチン中毒とか、それは個々違う計算で生きてるんだから、当てはまんないんだよ。統計学的なことには。『なんのために、すってんのかな?』 それは答えだから」
これに対し、淳が言うのが、案外常識人の意見で。
淳「でも、アメリカで生まれた文化を引き継いでく感があるじやないですか。先進国が今止めはじめてるのは、やっぱり、人類が到達したんだと思うんですよね。タバコってものを開発したけど、やっぱり体によくないんじゃないかと。オレもそうだと思ったんです」
所「でも、体によくないことはしないほうがいいってなったら、もうカプセルの中で寝てるに限るよ。それはナニが楽しいの?ってことになるわけじやん。ね。ヒトから口に食事を運んでもらって、TV なんか見て。つまり、歩くこととか、怪我をすることとか、外で汗をかくこととか、そういうことが幸せなワケだから。そのひとつだよ。タバコは」
淳「いや、わかんなくはない。体に悪いことをしている自分っていうね」
所「いや、年だよ。健康を考えだしたんだよ。ヒトよりも、健康でいたいっていう欲が出てきたんだよ。オレもそういう時期あったんだよ。でも。やめて半年もすると、一本くらい吸ったっていいんじゃないの?」
淳「いやいや、やめてくださいよ。一本ノリで吸っちゃうと、また最初っからやりなおしなの、分かってるんですよ」
所「タバコでは自殺できないんだよ? 締め切って、タバコ何本吸ったって死なないだろ? 排ガスなんて、20分くらいで死ぬよ! 練炭なんか10分くらいで死ぬよ」
淳「(笑)」
所「それ考えると、排ガスはずーっと出てるし、クルマ作るのだって、鉄溶かすんだからどんなエコなクルマ作ったって作るときにC02がたくさん出るんだから」
淳「そうですよね」
所「そう考えると、みんながやってるエコは、これは、いい額面を出して売るためのエコだから、それに参加してどーすんだと」
淳「アアアアッ。ショックですね」
所「聞かない方がよかった? ほら、君がカタナを大事に持ってるから、こんな話になっちゃったじゃないか」
淳「いや、新しい考え方で・・・」
コペルニクス的発想の転換に、頭ん中ぐちゃぐちゃにされて頭抱える淳。それに対し、最後に一言。
所「ま、この考え方は間違ってると思うよ」
すげえええええeeeeee!!!!!!!!!
いやあもう、役者が違いすぎますなっ! ここまで持ってきて、最後にこう落とすか!みたいなっ。こーゆー目からウロコの発言が、ボロボロ載ってやんの。いやあ、この本一冊読むだけで、俺の目の魚鱗の陣が、車懸かりの陣でボコボコですよ!! なに? 意味が分からん? 奇遇だな、俺もだ。
他にもですね・・・。
(続く)
Posted by MAD at 22:40│Comments(0)
│日記。
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