左ななめうえ３０ｃｍ。

　前に「お店をやりたい」というグリ友さんから誘われて、おうちまでお鍋を食べに行ったことがあんだが、それからその子がお店をやった時、こうやったら儲かるっつか、やってけんじゃね？ってのを１週間くらい、延々考えてたことがある。頼まれてもいないのに。

　料理の質やサービスは当たり前。「起業の前には、想定してる３分の１の売り上げで３年我慢できるか考えてから起業しろ」ってアドバイスを見かけたことがあるが、そういう覚悟に加え、コンセプト的に「立って」もいないと、今時難しい気がする。

　「うちはこれが売り！」ってやつね。ダイヤモンド・ダイニングなんて、それを社是にしてて、１００店１００業態的に、バラエティ豊かな店舗を展開してて、面白いよね。一方で料理で使う食材の８割を共通化しててコストダウンをはかってるのがミソで、原価率的には同業他社よりも健闘してるとか。

　「面白そう！」というコンセプトで客寄せし、「きてみたら安くて美味しくて楽しい！」と思わせて、リピーターにするわけだ。

　その子の条件はと言いますと。

・場所は京都。円山公園の近く。
・店は以前おじいちゃんがお店をやっていた、住居兼店舗。街屋。
・お母さんと二人で作る。
・料理は秋田名物「しょっつる鍋」。地元仕込みの超本格派。旨い。
・部屋は二部屋。


　店舗が持ち家ってのはメリットだな。賃貸料払わなくていいっての強い。ただ、場所的に奥まったとこにあり、車でおいそれと入っていける場所じゃないのは、逆につらい。

　「京都でしょっつる」というのは珍しいけど、京料理を食べたい観光客にスルーされるので、痛し痒し。

　問題は、この難しい場所と料理で、どうやってお客を連れてくるか、だ。


　ほんで、ここで俺が考えたのが、京都って立地を活かし、外人観光客に特化してみるってどうよ？ってコンセプト。

　お客は昼と晩に、一組ずつのみで要予約。外国人の多いユースホステルや安宿に集中的に営業をかけて、ビラを置いてもらう。「日本の“普通の”家庭で、“普通の”食事を味わってみませんか？」ってのが売り。観光客で「他国の日常を味わってみたい！」と思ってる人は、想像以上に多いと思うんだ。送迎有り。

　で、その食べる部屋は、２種類。一つは一階で、普通の民家の、普通の台所。もう一つは２階に作って、Zen-Styleのすげえ凝った部屋にしておく。開けた瞬間、歓声が起きるような。

　そのもう一つの部屋を使って、裏コンセプトを仕込みたい。それは「エキゾチック・ジャパン」！　このコースで提供するのは「SHOGUN」や「GEISHA」「NINJA」「SAMURAI」といったコース。で、選んだコースによってコスプレができるのな！　ちなみにこれは、ちょんまげのかぶり物と裃で食事をとるスタイルで、中伊豆で外国人客に絶大な人気を得ている「御宿さか屋」のパクリだ。（笑）





　給仕はもちろん、着物で。とにかく、「外人さんが夢見ている日本」を、これでもか！と見せてあげるのがキモだ。

　懐石のように、通しのメニューは手書き。プラス英語の解説を入れる。そして、迎えたときや着替えたあとで写真を撮り、食事が終わるまでに加工。そして、お帰りの際に渡してあげるのだ！　漢字で書かれた外人さんの名前を入れて！


　これのメリット。

・外人さん、特に欧米の人は、漢字大好き。アートにしか見えないらしい。当て字で名前を書いてあげ、その意味を教えてあげると死ぬほど喜ばれる。
・持って帰って周りに見せびらかすことにより、ただで宣伝してくれる。
・思い出は、時間を追って美化されるもの。きれいな形で残った写真は、それをさらに補強してくれる。

　飲み物入れてコースで、客単価５０００円は余裕だと思うんだよな。基本二人として１万。昼と晩の２組で２万。フルで予約が埋まれば月６０万だけど、３分の１でも２０万。１年くらいして口コミで評判あがれば、稼働率三分の二くらいはいけるんじゃないかなー。

　日本人向けにさらにコース練ると面白いと思う。「DAIMYO」「HIME」「NINJA」から始まって、「OCHIMUSHA」「HYAKUSHO」「RONIN」とかあって、それぞれ特別メニューがあるのな。「DAIMYO」なら「鯛の尾頭付き」、「RONIN」なら「白むすびにたくあん、水」とか。ダイヤモンドダイニングみたいなでかいとこでやっても面白いと思うんだけどなあ。着替えるの時間かかるから、かぶり物システムにして。１万以上する特別コースとして、丸武産業で買った本物の大鎧が着れるコースを、一日一組限定で作ったりして。刀は振り回されるとやばいから写真撮るときだけで、通常は抜いたら花が出てくるジョークグッズの刀にしておく、とか。


　そーゆー仕掛けや、益率いくらで回そうとか、内装とか、納豆など「外人さんが興味あるけどどこで食べたらいいか分からない＆いっぱい頼むのは怖い」と思ってるメニューを小皿で集めた「NIPPON　CHARABGE　SET」みたいなの作ったら受けないかとか、そーゆーことを延々考えてました。スゲエ楽しかった！


　自　分　じ　ゃ　絶　対　や　り　ま　せ　ん　け　ど　ね　。


　料理できないしね！　酔っぱらいキライだしね！　外食産業の過酷さは異常。誰かやってくれないかなあ。行くのに。