2009年05月01日

幸せ特急便。サプライズ・佐賀!!!その4


「いやあ、いいお湯でしたなー」
「まったくですなー」

 武雄温泉は大変いいお湯であった。とぅるんっ、とした触感の、いわゆる「美人の湯」系列で、上がるとお肌もすべすべである。あー、気持ちよかった!

「さて、行くか!」
「おう!」

 さあ、身も心もサッパリとした! 次に向かうのは佐賀観光だ!

 しかし、観光もなにも、見たいところも予定もない。マジで今回の企画「Pさんと生臭坊主をビックリさせる」だけが目的だったからな! 仕方ないので、友人Mが行きてえっつーところに連れて行ってあげることにした。ああ、なんとすばらしき友情であろうか!

「こんなワケわからん企画に付き合わされて、それくらい無いとやってられません」
「はっはっは、友人Mナイスジョーク!」

 さて。まず向かったのが佐賀城本丸歴史館であった。友人Mはケータイの待ち受けを城の画像にしてるくらいの歴史オタクなので、行きたいとこを聞くと、だいたい城や博物館系になるのである。簡単に言うと変態である。


幸せ特急便。サプライズ・佐賀!!!その4


 さて、その佐賀城本丸歴史館であるが、これが予想外に頑張った施設であった。「最近復元されたらしいよ?」という生臭坊主の言葉に何の気無しに行ったのだが、これはなかなか!

 藩主が政治を行い、生活をしていた本丸御殿の一部を再現したという建物で、HPの説明を借りれば『本丸御殿を3D画面で探検できる「バーチャル佐賀城」や大砲の弾を持ち上げることができるコーナー、大隈重信の声が聞こえる電話、○×クイズやゲームがある寺子屋風の情報コーナーなど』があって楽しめます。まあ、「バーチャル佐賀城」だけは「なんでわざわざ本物に来てるのに、バーチャル体験せにゃならんの?」と、その存在意義を疑ったりもしましたが!

 なにより印象に残ったのは、公共施設らしからぬ対応の良さ。入り口に係員の人がいて、常に「いらっしゃいませ」や「靴箱はそちらを」と声を掛けていたり、ボランティアの案内人の方が常駐していたりと、フレンドリーな接客が良かったです。そうだよねえ、箱物ってハードを凝りがちだけど、結局旅行に行って思い出に残ることって、「人に親切にしてもらった」「こんなことみんなでした」という「人間相手の思い出」なんだよね。ハードよりソフト。物より思い出。

 入館料は無し。ただし、満足の気持ちに応じてご寄付を」というのも、その姿勢の表れなんでしょう。

 ぶっちゃけ、派手な展示があるわけでも、目玉品が飾ってあるわけでも、凝った演出があるわけでもないので、そーゆーのを期待していくとがっかりするかもしれません。でも、気楽な気持ちで期待せずに行くと、予想外に楽しめる。そういう施設でありました。今後とも頑張って欲しいなあ。

◆佐賀城本丸歴史館
http://sagajou.jp/index.php


 さて、ここで生臭坊主ともお別れし、我々は再び北上を開始した。向かうは唐津である。呼子から佐賀に下る途上で、昨日通った気もするが、気にしてはいけないのである。ましてや「なんて無駄な行程だ」なん思ってはいけないのである。だいたい、この旅行でムダじゃない部分なんて一個もねーよ!(威張るな)

 ヘコヘコと運転すること2時間。ようやっとたどり着いた我々が立ち寄った先は、唐津城であった。


幸せ特急便。サプライズ・佐賀!!!その4


 唐津城は江戸時代初期の慶長7年(1602年)、寺沢広高によって築城され、江戸時代を通じて唐津藩の藩庁となった城である。唐津湾に面して建てられた海城であり、東側を流れる松浦川を含め、三方を水で囲まれたその立地と絶景、そして江戸時代を通じて6家が入れ替わった藩史などは興味深いが、城自体は復元された模擬天守であり、それ程興味を引くものではない。が。

「いやあ、唐津まで来るこたぁそうないだろうし、こりゃ見とかないとね! そうだろ!? そうだよね! うはあ!」

 友人Mは絶好調であった。

 友人Mはケータイの待ち受けを城の画像にしてるくらいの城マニアなので、復元だろうと現存だろうと、そこに城があると聞けば即参上なのである。簡単に言うと変態である。

「いやあ、面白いねえ! いいねえ!」
「まったくそうだねえ」

 俺は心にもない相づちを適当に打ちつつ、城に飾ってあった唐ワン君を見ていた。「あのデッサンからよくこんだけ直せたな」と、唐津のぬいぐるみ屋GJと思いつつ。


幸せ特急便。サプライズ・佐賀!!!その4

↑“あの”デッサン


幸せ特急便。サプライズ・佐賀!!!その4

↑飾ってあったぬいぐるみ


 さて。唐津城は見た。さあ次に行く場所は!


「名護屋城跡だな」
「は? 名古屋城て、ここは佐賀だぞ? 今から電車乗って行くって、そりゃムリだろ」
「ちげえ! 名護屋城だよ名護屋城! 秀吉の唐入りの根拠地になった城! 唐津城はその遺材を流用して建てられたの!」
「さいですか」
「いやあ、その陣跡、一度見てみたかったんだよねえ」
「あの、友人M?」
「ん?」
「そう言えば昨日『伊達政宗陣跡』とか見た気はしますが」
「うむ」
「 た だ の 野 原 だ っ た 気 が す る ん で す が 」
「そのなにもないところに古人の息づかいを感じる! それが歴史学徒というものじゃないかね! 浪漫じゃないかね!」
「そんなこと思うかこの妄想野郎ー!!!」

 ついに、城すらなくなったよ! しかし、燃える変態に抗えるはずもなく、その名護屋城跡とやらに足を向ける我々なのであった。くそう、どうせ行くならその横に立ってる中学校だか高校だかの女生徒の姿態を見たかった! これがホントの名護屋嬢見学――ってウーシャシャシャシャ!!!(≧▽≦)ノシ バンバン


「 て め え の 方 が 変 態 だ よ 」


 さて。in名護屋城跡。今では史跡として広大な公園となっているこの場所でありましたが。


「さあ行くか!」
「いや、あの、友人M?」
「ん? どした?」
「 豪 雨 な ん で す け れ ど も 」

 そう! 唐津城を出たあたりから雨が降り出していたのだが、ここにいたって、その降りは尋常じゃないほどの勢いになっていた。

「さあ行くか!」
「だから、ナチュラルに行こうとするなよ!? めちゃめちゃ降ってんじゃねえか! カサもカッパもねえんだぞ!? 俺風邪ひいてんだぞ!?」
「なにを言ってるんだ! ここまで来て名護屋城に行かなきゃ、あとで絶対後悔するだろう!?」
「 し ね え よ 。 むしろ風邪悪化したら、そっちのが後悔する――って行きがったよあの野郎ぉぉぉ!!!!」

 これだから変態は度し難い! 仕方ない。俺もその後を追い、豪雨の中をひた走った。

「友人M!」
「ん?」
「とりあえずあそこにある名護屋城博物館を目指そう! 雨風もしのげるし、ここで全体像を確認して、見るポイントを抑えればいいんじゃね!?」
「OK、いい考えだ! レッツゴー!」
「どりゃあああああ!!!」




 定 休 日 。



 ・・・。
 ・・・・・・。
 ・・・・・・・・・。

 その看板を見た瞬間、俺の中で何かが弾けた。

「・・・くぞ」
「え? なに?」
「名護屋城跡制覇すんぞ友人Mー! ついてこいやぁぁぁあ!!!!」
「えええええ!?」

 もう怒った! こうなりゃヤケだ! 着ていたパーカーのフードをかぶり、俺は戦闘態勢に突入した! 公園入り口、管理局発見! 城跡に入るには、ここで清掃協力金を払わねばならぬらしい。OK! 了解だ!

「管理局のおねえさん!」
「は、はい!?」
「城跡の一番上まで、どれくらい!?」
「ええと、普通に歩いて15分もあれば大丈夫ですが・・・・・・」
「OK! 行ける! 行くぞ友人M! おるぁぁぁぁ!!!!」
「ちょ!? 雨ですよー!?」

 お姉さんの爆笑を背中に聞きつつ、俺たちは山上へと向かう道をひた走った! そして!


「ゴボ!? ゲボガボ!? グゲガゴボ!?」

 5分後。

 呼吸困難と疲労で変な痙攣を起こしている俺がいたと、後世の歴史家は伝えている。


本日の教訓:運動は定期的に。無理は禁物です。


続く!


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