左ななめうえ３０ｃｍ。

　散髪に行こうと思ったら、起きたら３時だった。キャラメルコーン買ってきた。

　菌類の不思議展行きてえなあ。かもされてえ～。
http://www11.plala.or.jp/apathy/tmp/2008moyashi.html




　覚えてる限りで初夢。


　その日、俺が家にいると、１０年前に戻れることになった。なんともめでたいことである。

　てゅいんてゅいんてゅいん～♪と１０年前に戻った俺は、かすりの着物に丸坊主、あどけない笑顔の童子となった。戻りすぎだろ。

　住まいは木造２階建て。ススキ野原の真ん中に立つ一軒家である。昭和３０年代くらいの雑貨屋を想像していただきたい。気分は「ぼくの夏休み」である。決して「毎日が日曜日」ではないのでそこんとこ４６４９。まあ、いつそうなってもおかしくないダメ社員だがな！

　ご近所の板塀をくぐり抜け、俺は兄たちが暮らす離れへと向かった。そこは沼沢のほとりに立つあばら屋で、水面には無数の水芭蕉が花を咲かせていた。

　水晶のような湖水を渡って、風が花を揺らす。俺は、それを陶然と見ていた。

　こんな美しい景色が、１０年後には埋め立てられ、住宅地となって、跡形も無くなくなるのだ。とるに足らないつまらないものを手に入れるため、失ってはならないものを、俺たちは失ってしまった。壊してはいけないものを、俺たちは壊してしまった。

　それは、もう取り戻せない景色。二度と、帰ってこない記憶。


　こ　ん　な　と　こ　、　住　ん　だ　覚　え　も　な　い　け　ど　な　。


　俺が住んでるのは新興住宅地で、家の前は生まれてこの方、Ｋ藤さん家とＭ田さん家、そして公園である。誰の記憶なんだこれは。

　あばら屋に入り、一人で遊んでいるとロボットがおそってきた。近所で「エヴァンゲリオン展」が開催されており、これはそのアトラクションなのだという。なるほど、これは本格的だ。それはいいが、アトラクション用のロボットが、本物のミサイルやレーザーを発射するのはいささか過激ではないでしょうかガイナックスさん？

　見事ロボットを返り討ちにした俺は、その勢いで「エヴァンゲリオン展」会場へと突入した。ちなみにエヴァは、昨年公開された映画版しか見たことがない。どんな作品なのだろうとワクワクしていると、ビッグサプライズ！　壁に隠された秘密の言葉を全部見つけると、限定グッズがもらえると言うではないか！

　さっそく探し出す俺。するとそこに、自転車に乗った郵便配達がやってきた。聞くに、その限定グッズ・プレゼントには時間制限があって、郵便配達夫が立ち去ってしまえばゲームオーバーなのだという。きっと、原作にそういうシーンがあるのだろう。見たこと無いから知らないが、なんと奇妙な話であろうか。一度「エヴァンゲリオン」を見ねばならんな。そう心に誓う俺であった。

　時間は刻々と過ぎていく。慌てて探す俺だが、キーワードは遅々として見つからない。その時であった。郵便配達夫が自転車にまたがったのは！

　ヤバイ。このままでは限定グッズがもらえない！　あせった俺はガッ！と郵便配達夫のコートをつかんだ。「なにを！？」　叫ぶ郵便配達夫を慌てず騒がず逆さにすると、小脇に抱えて、俺は探索を続けた。なんというひらめきであろうか！　小脇に抱えられては、さすがの郵便配達夫も自転車に乗れない。俺は、モクモクとキーワード探索を続けるのであった。


　あれから、何時間たっただろう。日はもうかげり、辺りは暗くなり始めていた。


　閉館時間が近い。俺はキーワード探索をあきらめ、立ち上がり、そして驚いた。小脇に抱えていた郵便配達夫がいなくなっているではないか！　バカな！　俺はあのロングコートをがっちりつかんでいたはず！

　そこには、かわりに長いタオルが収まっていた。なるほど、変わり身の術か。敵ながら、やりおる。いつかまた会おう、郵便配達よ。

　「EBANGERION」。白地に紅く、鮮やかに描かれたロングタオルを握りしめ、俺はそうつぶやくのだった。


（完）


　今年もいい１年になりそうだぜ！！（目をそらしながら）