讃岐うどんツアー行かれるなら、出来れば平日。ダメでも土曜がオススメです。日祝日は混むし、「讃岐うどんブーム」の代表であり、“釜玉”発祥の地である名店「山越」が休みだから。
オススメ順路は、そうだなあ。やまうち→池内→山越→なかむら(あるいは“中村”)→長田in香の香→小縣屋なんていかがでしょう? がもうや谷川製麺所、日の出製麺所など、他にもオススメしたいお店は山ほどありますが、これを回れば一通りの麺とうどんのバリエーション、面白シチュエーションは堪能出来ると思います。
勝負は「朝11時までに何店回れるか」。11時を過ぎると一気に列が伸び、待ち時間が長くなります。製麺所系は1時くらいまでしか営業してないお店が多いので、回れるお店が減ってしまいます。特に「山越」「なかむら」に11時以降に行くのは自殺行為。できれば9時から、どんなに遅れても10時には回り始めたいところ。逆に、12時前になったら別イベントを入れて列を回避。観光をしつつうどんを消化し、午後からの「一般店系」めぐりに備えたいものです。
観光ですが、もしお腹に余裕があれば、間に「中野うどん学校」を入れるのもいいでしょう。ここはうどん作り体験をさせてくれるお店ですが、講師の方が非常になれていて盛り上げ上手。有名人も多数来ていて、飾ってあるサインを見るのも楽しいです。ただし、体験後は「作ったうどんを食べる」ことになるので、お腹はさらに埋まると思って下さい。またこの学校は運営しているお土産屋さんの上階にあるのですが、金比羅さんの真ん前にあって、無料駐車場もあるので、体験後に金比羅さんを昇るのもいいコースです。なお、金比羅さん前は土産物屋の激戦区で、走っていると大量のおっちゃん達が自分とこの駐車場に止まらせようとあやしげな動きをしてきますが、相手にしてはいけません。
お城好きなら、高松城を訪ねるのもいいでしょう。往時の風情を今に残す、いい城です。甘い物がお好きなら、金比羅さん近くにある
「へんこつ屋」と、
「八十八の清水屋」がオススメです。へんこつ屋は長い歴史を誇る老舗和菓子屋で、冬場に絶品の善哉を出すオススメのお店なのですが、名高いのは奥の部屋。「訪れた者が墨を擦り、好きなことをわら半紙に書いてはっていく」という伝統があり、部屋中それでビッシリ! 耳なし法一みたいになってます。面白いよ!
「八十八の清水屋」は、夏にオススメ。だいぶ離れたところにあるので、最後のシメに行った方がいいです。ここのところてんは臭みがなく、本当に美味しい。水際というシチュエーションがさらに良く、さやけき風がさやさやと、旅に疲れた身体をほどよく冷やしてくれます。となりお墓だけど。
ネタ好きなら「うどんアイス」。
うどん会館で食えます。いりこや麺がそのまま入ったアイスは、ノリのいい奴なら爆笑間違いなしですぜ。
もしだいぶ早朝からついてしまう、と言うのであれば、うどんではなく朝粥から始めるのも面白いでしょう。栗林公園内にある
「花園亭」では朝7時から、絶景を望みつつ、朝粥をお召し上がり頂けます。
あとは温泉でもあればいいのですが、残念ながら四国は「温泉不毛の地」と言わざるを得ません。愛媛の道後温泉以外で胸を張ってオススメ出来る温泉は、自分にはありません。余談ですが、8年前に出かけたとき「カブトムシ温泉」という看板を見つけて「ちょ!? マジ!?」とスーパー気になったのですが、後日行くと潰れてました。無念。どんな温泉だったんだー!!
こんなとこかなあ。あと、できたらでいいんですが
『恐るべきさぬきうどん』とゆー本を読んでくだせええええ!!! 行く店のページだけでもいいですから! これは“麺通団団長”こと
田尾和俊さんという方が書かれた本で、讃岐うどんブームは、まさしくこの本から始まったという傑作なのです! 映画「UDON」の元ネタもこれ。抱腹絶倒の超超名著で、腰抜かすくらい笑えます。これ読んでから行くと、うどん巡りが100倍楽しめますぜ! ぜひ!!
あと、最近行ったときの旅行記上げておきますので、良かったら雰囲気つかむ参考にしてくだせえ。まあ、まったく参考にならないけどね!!
昔の日記。「ウドンウィッチの怪」。
「やつらがそこまで迫っている。無限に続く永劫回帰。世界には、開けてはいけない扉があるのだ。知らない方がいい真実があるのだ。ああ、奴らの足音が扉の向こうまで・・・!!」
(Michael Arthur Daglus Jr.の日記より)
先輩Nさん&その相方Aさんとともに、讃岐うどんツアーに行ってきた。
はじめて讃岐うどん食いにいってより、はや8年。行った回数は20回を越える。そう言うと「よっぽどうどんが好きなんですね!」と言われるが、甘い! 食べるとあまりの甘さに鼻がツーンと来て歯に染みるトルコのお菓子バクラウより甘い! これにはもっと深い理由があるのだ!
いいだろ? まず一度旅行に行くとする。自慢する→折からのブームもあって、みんな興味津々→ガイド頼まれる→よっしゃよっしゃ→出かける→自慢する→折からのブームもあって、みんな興味津々→ガイド頼まれる→よっしゃよっしゃ(以下無限スパイラル)
以上! 「深い理由」終了!!(浅えよ) いや、旅行自体超好きだからいいんですけど!!
Nさんは今まで何度かご一緒しているからいいとして、相方のAさんは讃岐うどん初体験。とりあえず、今回は王道で行こう。“王者”山越がお休みなのは痛いが、固麺、柔らか麺、熱いの、冷たいの、釜揚げ、釜玉、しょうゆうどんなどなど、基本を一通り体験できるお店をセレクト。その中から、シチュエーションもグッドなお店をピックアップしてみた。
製麺所型からは、やまうち、池内、なかむら。この3つ食って、余裕有るようなら宮武を加えよう。これで基本の麺2種と、あやしいシチュエーションは堪能してもらえるはずだ。このあたりは、できたら11時までに廻ってしまいたい。特になかむら。土日でその時間越えるのは自殺行為やからなあ。急に列が伸びやんの!
そこでお腹が一杯になったら、一休みして綾南町うどん会館でうどんアイスを食べてもらう。これはアイスにイリコやうどんの切れ端やらが入ったイッピンである。なお、この場合のイッピンとは「逸品」ではなく「イカレた品」の略であるのは言うまでもない。(ひでえ)
ついでにこんぴらさんでも登ってもらうか? で、小腹すいたところで長田in香の香。絶品の出汁を思い知れ。あそこの出汁はマジで飲める。まだ行けるってんなら“しょうゆうどん発祥の地”小縣屋。あのうどんの腰と大根自分でおろすとゆーシチュエーションは絶品だが、量的にちょっとお腹にツライかも。この2つは一般店でもあるし、閉店は夜。いつ行っても打ち立てゆでたてのうどんが食えるし、店も駐車場も広く、回転も速い。昼過ぎに行っても問題あるまい。
デザートはそうだな。久々に八十八の清水屋行ってみるか! あそこのところてん旨いからなー。ショボイところてんに香る海藻臭が全然無い。
おお、フルコース! でも、山越とがもう、田村が休みなのは残念なところだ。特に“王者”山越。知名度といい“釜玉発祥の地”としての存在感といい味といい、あそこ行かんと讃岐うどん行ったことにはならんだろうなあ。でも、お休みなのは仕方ない。どうしようもないのだ。
ううむ、コレは中々。案内し始めの頃よく行ってたお店がゴーロゴロ。そういや最近イベントに目を取られ、こういう基本に忠実なお店巡りをしてなかったな。体験型イベントがないのが残念なところだが、Aさんは相当食える女性と聞く。うどん巡りだけに特化しても、充分楽しんで頂けるだろう。
ざっと見たところ穴はない。よぅし! これで完璧。夜中4時。完徹の頭で考えたにしては上出来だ! 計画は完璧。明日は頑張ってガイドるぜ! Here We Goooooooooo!!!!!!!
そして翌日。
「・・・計画は完璧だったのになあ・・・」
「うおお!? 前が、前が見えねえーッ!?」
車に乗った俺たちの視界を、豪雨が染めていた。
「MADさん、これヤバイですよね!? 誰か雨男なの!?」
「はいはーい」←俺
「お前かー!?」
「でも俺、うどん旅行で雨降ったの1回しかないんだけどなあ。うどん神に愛される男だから。台風来て潰れたのは1回あったけど。とゆーわけで大丈夫ですよ! 根拠はないが!」
「本当に!? 食べられます!?」
「食えるのは食えますよ。大丈夫大丈夫」
俺はAさんを安心させるように言うと、目を閉じ、やや思案にふけった。
やまうちは屋内だからいいとして、なかむらはヤバイかなあ。とすると、製麺所型は並ばなくていいちょっと大きめか、ややマイナー路線をメインにして、長田in香の香や小縣屋あたりの店舗を攻めるか。ふむ。
そして目を開けて、俺は驚いた。なんと、台風かと見まがうまでに降りしきっていた雨が、あがっているではないか!!
「君、よく寝てたからねえ」
そう突っ込むNさんの言葉を聞き流しながら、俺はうどんの神に感謝の祈りを捧げるのであった。いあいあくとぅるふふたぐん!!(違)
ようし、じゃあ、さっそく喰いましょう! 一軒目はやまうちだー!!
やまうちは仲南町にあるうどん屋である。田んぼ向こうの山中にあり、最近でこそ道を拡張し建物を改装してちょっぴり分かりやすくなったが、最初来た時はマジで「本当に!? 本当にあるの!?」とドキドキしたものだ。製麺所型に近いが、朝9時から夕方17時までやってるうえ、シチュエーションといい、農家の納屋を改造したような建物などイチイチ最高なので、大体俺のうどん巡りはここから始まる。味は言うまでもない。
ここでは「熱いめん」と「熱いだし」を組み合わせた「あつあつ」を注文。うむ。相変わらずウマイ! この歯ごたえはどうですか! 前回食えなかった天ぷらが今日は充実だし、ぜひ食いたかったが、毎回ここで天ぷら食ってお腹一杯。あとで食えなくなってるのも事実だ。今日は涙を呑んであきらめよう。俺もたまには学習するのである。すぐ忘れるけど。
ああ、旨かった。お? 店頭でなんか売ってる。ここ、いつも店頭で野菜以外に妙なもん売ってるんだよなー。今回はなんだ?
タナゴ。4匹**円。←値段忘れた
・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
俺は周囲を見回した。一面の田んぼ。
いやまあ、近所で取れたんだろうけどさ! 誰が買うんだ誰が!? 店頭でタナゴを売るうどん屋「やまうち」。やまうちの恐ろしさを改めてかみしめつつ、俺たちは次の店へと向かった。
お次に向かったのは同じく製麺所型の店「池内」である。綾上町にあるうどん屋で、裏の田んぼと鯉を見ながらうどんを食べれる店として名高い。味も良くシチュエーションも楽しい。“王者”山越の近郊と言うこともあり、うどん巡りには最適な一軒と言えよう。山越今回休みだけど。
と、偉そうに言いつつ。
「MAD君、あの店でいいのかな?」
「・・・Nさん。自分でも驚きなんですが」
「どしたん?」
「僕、ここ行くん初めてですわ。てっきり行ったつもりになってた・・・」
そうだったんである。俺、てっきり何回か行ったつもりになってたが、ここ行ったこと無かったのだ! いやあ自分でもビックリ。記憶が混ざってたんかなー。
「ええと、入り口どこかな?」
初めてとゆーことで、さっそくとまどう俺様。ガイドの風上にも置けませんな! 風下に立ったがうぬの不覚よ! 同じくうどん巡りをしているらしき今時の若者2組のあとを追いかけ、狭い隙間から中へとはいる。そして。俺は驚愕した。
おお! なんと素晴らしいシチュエーション! 奥ではおばさま達がメンを作り、目の前には池。こんなイカした店を見逃していたとは! バカだ! 俺はバカだった!
慚愧の念を抱えつつ食ったうどんはやはり旨かった。それにしても。
「おばちゃん、そばくれそば!」
「あいな。元気やね」
「おう。そや、知っとるか? ○○ン家の××が・・・」
て、途中で来たご近所らしいお兄ちゃんがうどん買っておしゃべりして帰ったのだが(池内はそばも作ってる)、香川じゃ、朝っぱらからうどん食うんか! カルチャーショ~ック!!
ついでにも一つ。
「お、今時の若者カップル2組、軽2台に分乗か」
「香川ナンバーて、地元の人も巡るんかね?」
「香川の大学に進んだ県外の子らかもしれんですね。つきあい始めてまもなくで、有名な讃岐うどん食べてみようって。そいでWデート!」
「おお、初々しい! いいねそれ!」
「はっはっは、俺もそんな青春過ごしたかったー! おのれ事故れ貴様らー!?」
「ちょ、MAD君!?」
非常に大人げない俺の発言をBGMに、車は快調に道を進む。だが、時は11時過ぎ。恐れていた通り、なかむらは混んでて駐車できない状態であった。
「ああ、やっぱり! なかむらの麺は特殊でシチュエーションも楽しく、人気ありますしねえ。山越、やまうちと並んでうどん巡りのド定番みたいなイメージがあるし。11時過ぎたらやっぱ厳しいなあ」
あきらめて向かった宮武も本日臨時休業。宮武も名店として名高いお店なのだが、ここの特色として「ご近所づきあいを非常に大切にされる」という点があるのだ! 休日やゴールデンウィークに営業すると混んで道が路駐で鈴なり。ご近所様にご迷惑をおかけするってんで、いきなりお休みあそばされるのである。忙しいのが嫌いなだけかもしれんが。
ご近所づきあいを大切にされるその姿は大変ステキで尊敬に値するのだが、我々巡礼者にとっては寂しいことで。ま、しかし閉まってるものはしゃあない。
「MADくん、どうしよう?」
「うーん、ちょっと食ってお腹も空いてきたし、ここは長田in香の香行きましょう! あそこなら駐車場広いし店も広い。100%スンナリ食えるはずです!」
「了解! Go!」
予想はドンピシャ当たり、長田in香の香は混んではいたものの、見事に座れた。いやしかし、やっぱここのダシ旨いなー!! つい飲んじゃうよ。ゴクゴク。
「さて、次は?」
そう問うたNさんに俺は言った。
「丸亀市の『中村』行きましょう。あそこ、確かさっき満杯で食えなかった『なかむら』の親戚がやってるお店のハズです。で、そこで釜玉食いましょう! これなら麺も釜玉も両方味わえて完璧です!」
「なるほど。冴えてるねMAD君!」
前にも書いたことがあるが、うどん巡りの醍醐味は①味の旨さ②値段の安さ③オモろいシチュエーション④豊富なバリエーション⑤宝探しのようなワクワク感、の5つであると俺は考える。せっかく来てもらったからには、その全部を堪能してもらいたいのだ。
中村のクニクニ軟体麺と釜玉を食えれば、後で行く小縣屋のしょうゆうどんと合わせ、とりあえず大体のバリエーションとメニューを制覇できるはず。駐車場もあるし、止めやすいだろ。
この読みも見事的中。うまく車を止め、行列に並んで釜玉を食う。うめー! 中村の麺で釜玉食うの初めてだけどうめー!!
「山越のと全然違うねえ。面白いね!」
「まったくですねズビズビズバー!!」
満足し、とりあえず一休みしようと綾川町うどん会館を目指す。ここでは素っ頓狂なうどんアイスがあるのだ。前日一睡もしてなかった俺はここでグロッキー。寝てたので食えなかったけど。
さて、時間も経って小腹も空いた。次に向かうのは“醤油うどん発祥の地”小縣屋だー!! 食った。ウマイ! よそと違ってわざわざ擦らされる大根と、なによりすだちの一絞りがいいのよな! 激烈に旨くなる! やっぱ俺はここのうどん好きだなー。接客はイマイチなんだけど(笑)
さすがにお腹も一杯。最後に八十八の清水屋でところてん食いましょうところてん! ここマジで旨いんスよ! アプローチが非常にタイトですが。――って、うお! 道がちょっと広くなってる!? しかも立派な駐車場がー!? ネット通販で儲けたんでしょうか。昔は来たはいいが車止められるスペースなくて哀しく引き返したこともあったとゆーのに。
ただ、味は変わらず美味しいままでした。やっぱ黒蜜&黄粉がけ最高だな! 水の音もして気持ちがいいよ。横、墓地だけど。
「ふー」
「Aさん、満足して頂けました?」
「ええ! 色々有るんですね。楽しかった。また来たいなあ」
「はっはっは、俺近く、また来ますけどね」
「いいですね! いつ?」
「 来 週 」
「・・・」
「あ、再来週も来るかも」
「・・・」
ああ!? そんな目で俺を見ないで! 仕方ねえじゃねえか! 約束あんだもん!
やつらがそこまで迫っている。無限に続く永劫回帰。世界には、開けてはいけない扉があるのだ。知らない方がいい真実があるのだ。ああ、奴らの足音が扉の向こうまで・・・!!
「MAD君、うどん行こうぜー!」
ハーイ!
(『ウドンウィッチの怪』。完。)