銀河腹回り伝説。
西暦1997年。
“就職”という未曾有の大災厄の訪れにより、10kgという巨大な膨張を遂げた我が腹回りであったが、ここ数年は小康状態を保っていた。
だが、それは偽りの平和に過ぎなかった。
西暦2009年。
腹回りは再び、その侵攻を開始したのである。
それは、まさしく恐怖そのものだった。
かつての爆発的膨張こそ無かったものの、10年を超える歳月は、彼らに老獪さを与えていたのかもしれない。じりじりと何時の間にやらその領土は拡大され、それに従ってベルトの穴がひとつ、またひとつと外部へ向かって追いやられて行った。
そして、2009年12月。
ベ ル ト は つ い に 、 最 後 の 穴 へ と 到 達 し た 。
まずい。俺は思った。これはまずすぎる。ベルトの最後の穴は、食べ放題やご馳走など、限界突破の状況が訪れた時にのみ使用される、予備兵力。いうなれば「奥の手」のようなものであって、恒常的に使用するべきものではない。
甘かった。
俺はギリリと奥歯を噛んだ。
今の状況は、現実から目を背けてきたツケだ。膨れ上がる腹から目をそらし、ダラダラと飽食とただれた生活を続けてきた、その報いだ。
だが、と俺は思った。
それも今日までの話だ。
もう、現実から目を背けまい。気づかぬ振りをして、この腹を忘れることなど、もう二度とすまい。
徹底的な措置をとろう。断固たる意志で、やりぬこう。俺は決意した。
そして。
新 し い ベ ル ト を 買 っ た 。
これで超余裕っスよ! 一番内側の穴でウェルカムっスよ! まだ5つも穴あるっスよ! うひょー!!!(*≧∇≦)ノシ
新ベルト歴の、到来であった。
伝説が終わり、食事が始まる。
(完)
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