さあて、旨いもん食って、腹もくちくなった! さて、次はどうする!? どうなる!? あいふるー♪
とゆーわけで。我々はバーに向かっていた! バーですよバー! パーじゃないですよ!? あたいバカじゃないよ!?
我々も、もういい大人。食事が終われば、次はバーですよ! 雰囲気のいい店でしっぽりシケ込み、そしてそのまま夜の街へ…うふふってのが、やはり大人の付き合いってモンでやしょう! まあ、俺酒飲めないんだけどな! バーなんか3回くらいしか行ったことないけどな!
しかし、「大人のホワイトデー」を極めるには、バーは外せないのである。俺が決めた今決めた。ですよねTさん!?
「当然だー! ヤルッツェブロッケーン! さあ飲むぞMAD公!」
脳内に勇ましく響くTさんの声を聞きながら(別名:幻聴)、我々は敢然とバーへと乗り込んだ!
「はっはー、なかなかいい店じゃねえか! 酒持ってきやがれ酒ー! 死んだやつの衣装箱に15人♪ ヨーホー、ヨーホー、ラム酒を1本!」
なんだよその歌。つかさっきとキャラ違いすぎないですかTさん!?
「女は秘密が多い方が魅力的なのよ」
なるほど。女性は永遠の謎だなー。
「お客様、なにかお作りしましょうか?」
「メニューは無いナリか?」
「またキャラ変わった!?」
「ええ。ビールにシングルモルト、ワイン、ラム、なんでもございますが、カクテルであれば当店ではお客様がおっしゃったお好みに応じて、お作りしております」
「じゃあ、私は甘めのを」
「俺はさっぱりしたやつを。ノンアルコールで」
「かしこまりました。ごゆっくりどうぞ」
「すごいねー。お店もお洒落だし、なにこれ?」
「はっはっは、『京都で一番』って言う人も、けっこういる店ですよ。こんなお店でなにやってんだ俺?」
「誰に話しかけてるにょろ?」
「さあ? そう言えばここ、昔、一個下でイタリアンレストランもやってましてね」
「へえ」
「夜遅くまでの営業で、ここと同じでお洒落な内装だったんで、大人気。あるとき、某雑誌で『本命のあの子を口説くならここ!』という記事を見たある男が、その気になりましてね。狙ってたあの子と二人で遊びに行った帰り、ここを目指したそうですよ。しかし、分かりにくい場所だっつーんで、なかなかたどり着けない。お腹は減る。車内の会話はもっと減る。焦った男は道を聞きがてら予約の電話を入れたのですよ! そうすると、なんと!」
「なんと!?」
「『レストランは先月で閉めちゃいまして☆』と」
「……」
「……」
「で、その後、その子とは? ――って涙!?」
そんな会話が繰り広げられた後(俺の脳内で)、俺はカバンへと手を入れた。(ゴソゴソ)
「ケーキありがと。これ、つまらないものだけど…」
俺はそう言ってカバンから用意していたものを取り出した。
「おお、気ぃきくのワレ。どらどら」
ガサガサ。
ゴソゴソ。
「過剰包装やの。そろそろ地球環境に優しい配慮をやな――っておお!
「ネックレスやないかい!」
「おお、どや? 似合うけ?」
「似合いまくりですよ!」
「さんきうべりまっちや。これ、アクアマリンか? なかなかエエやつやんけ」
「でしょー! ムーンストーンのエエやつもあったんですけど、悩んでそっちにしましてん」
「なんで?」
「いや、店のお姉ちゃんに聞いたら、ムーンストーンは“幸運を呼ぶ”とかゆーやつだったんで。一方、アクアマリンは“行動力を上げる”って聞いたから」
「……意味が分かりませんが?」
「幸運値なんか上げても仕方ないでしょうー!? やはりゲーマーなら能力値を上げないと! TRPGは参加してなんぼですよ!?」
「 な ん の 話 だ 」
「それに、ただでさえパワフルなTさんを、さらにパワフルにしたら面白そうじゃないですか! スポーツカーにニトロターボ乗せるみたいなもんですよ! Tさんのどこまでいくの!?みたいな! うーっしゃっしゃっしゃ!」
「へえ。あと一つ聞きたいんだけど?」
「はい?」
「なんで海賊なの?」
「は?」
「だから、なんで私の人形海賊にしたのって聞いてるの!」
「ヤダなあ、Tさん。なんですか海賊って。それ海賊なんかじゃないですよ!」
「え? じゃあなに?」
「決まってるでしょう! 独眼竜政宗ですよ!」
「……は?」
「ほら、眼帯してるでしょう? 眼帯してるっていや、政宗しかいないじゃないですか! Tさん、政宗大好きだって言ってたし、これ見つけたときピピッと来ましたよ!」
「だから、これは海賊じゃー! ジョリー・ロジャーのスカーフ巻いとる政宗がどこにおるかー!?」
「ええ!? てっきり婆娑羅趣味かと!?」
「ンなワケあるかー!? お前も同じ姿にしたるー! オルァー!」
「うひー!? お助けー!?」
「うう、見事なクリティカルヒット。まさに、君は1000%……」
「死ね」(ザシュ)
かくしてMADは倒れた。だがしかし、これが最後のMADとは限らない。第2、第3のMADが現れるしれない。
本当のホワイトデーが訪れるまで、戦い続けろT! でも俺は二度とこんなことはしないぞT! 店員さんの視線が痛いんだT!
来 年 は 本 物 の チ ョ コ 待 っ て ま す ☆